本のタイトルは過去記事またはアマゾンへ飛びます。出版社等の確認にどうぞ。

2006年02月28日

ピンク・バス-角田光代

「ピンク・バス」 角田光代

ピンク・バス.jpgおはようございます。最近ダーツがマイブームになりつつありまして、二日連続でダーツ大会を開催しております。初日は思いっきり酔っぱらっていたのに、昨日はちょっとムキになりましてアルコールを抜いて挑戦してみました。なかなか上達しないけれど、まだまだこれからだぞってことで練習の真っ最中です。今、この時間は二日遅れでやってくるであろう筋肉痛との戦いの真っ最中です。

さてさて、ダーツなんかに夢中になっているので本を読む時間がなかなかとれなくなっていますけど、昨日は角田光代の「ピンク・バス」を読みました。"ピンク・バス"と"昨夜はたくさん夢を見た"の中編二つが収録されています。

"ピンク・バス"は妊婦サエコのお話。妊娠して喜んでいるサエコのところにある日旦那の姉の実夏子がやってきて、居候していく。実夏子はピンク・バスがお迎えに来るまでいさせてくれという。

"昨夜はたくさん夢を見た"は中古レコード屋さんでアルバイトをしながらふらふらしているカオルの物語。カオルは大学受験のために友人に家庭教師をお願いしたにもかかわらず、それに飽きちゃってスキー旅行に勝手に行って、スキーもせずに一日中かまくらをつくっているような女の子。ある日恋人でもあり、仲間の一人でもあるイタガキが青森から帰ってくると今までと変わっていた。そしてインドに旅立ってしまった。

裏表紙風にあらすじをまとめてみましたけど、ぜんぜんおもしろくなさそうですね。これじゃコピーライターや編集者にはなれそうにないですね。というより、あんまり何をいいたかったのか理解できなかったってのが本音なんですけどね。

このブログを見ている友人にも最近おもしろそうな本読んでないねって言われちゃったしね。絶対この人の本は面白いってのはあるんだけど、新規開拓しようとしている今は自分に合わない本に出会うのはしょうがないかな、なんて今は自分を慰めています。

でも一つだけ、よくテレビでみる世界の天気なんてコーナーについての記述があって、こんなもん誰が必要とするのかしらなんてカオルは思っていたのだけれど、イタガキがインドに旅立ってからそればっかり気になってしまい、彼の現在の生活を想像するのに具体性を持たせるのに役立っているなんて描写があります。僕の友人は現在何人か海外に留学していたり遊びに行ってたりするのですけど、世界の天気を見るたびにそんな彼らの彼女らのいる場所に思いをはせていたので、共感できるところでした。

この本の解説を石川忠司という文芸評論家が書いているのですけど、"角田光代の'疲労感'について"というタイトルでこれがなかなかどうして、いわゆるセンター試験の評論文のような堅い感じの文章で、それでいて、学術論文とも体裁が違って、要するにあんたなにがいいたいのさってつっこみをいれたくなるような文章でした。こんな文章久しぶりに見たななんて、ちょっと嬉しくなってしまいました。

角田光代の本は前に「まどろむ夜のUFO」を読んだだけだけど、"昨夜はたくさん夢を見た"が一番好きな作品かななんて思っています。




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2006年02月26日

バカさゆえ・・・。-姫野カオルコ

「バカさゆえ・・・。」 姫野カオルコ

バカさゆえ・・・。杉村太蔵がまたおかしなことを言っています。曰く

国会議員の資産公開はそれに要した時間を考えれば国家的損失である。国民は国会議員の資産に興味があるのだろうか。興味本位で知りたい人しかいないのではないか。(杉村太蔵ブログ)

って言ってるんですけど、どうしてこの人は思ったことをこうぽんぽん発言してしまうのでしょうかね。誰が政治家の資産を興味本位で知りたいというのでしょうか。これって元々、任期中の増減を知ることによって汚職その他の不正がないかどうかを国民がチェックするためにやっていたのでなかったでしたっけ。それを国民がミーハー根性でしか見ていないなんて言っていいのでしょうかね。それに、調べるために要した時間が国家的損失ってそんなの公人ならすぐにわかるようにしておくのが当然なのでなかろうか。だったら税務調査にはいられた会社がすべての領収書、請求書、帳簿をひっくり返して調べるのは大きな経済的損失って言ってもいいのかしらねぇ。新聞もこの暴言を取り上げないなんて、どうなっちゃってるのでしょうかね。

一通り怒ったところで本のご紹介!姫野カオルコの「バカさゆえ・・・。」です。姫野カオルコは「ハルカ・エイティ」で直木賞にもノミネートされた人だから知っている人も多いのじゃないかしら。裏表紙を読むと

サマンサは身を床にかがめると、ラリーの股間ですでに45口径マグナムのように堅くなったものを啜った。


なんて書いてあって、これはギャグ小説的官能小説か!?なんて思いながらページをめくっていきました。これは官能小説的ギャグ小説でしたよ。電車の中で読んでいたら身を前に屈めなければならないほど、官能的なのに、どっか笑ってしまう。そんな小説でした。

元ネタがりかちゃん人形や、奥様は魔女、魔法使いサリーやらあしたのジョーなんかでちょっと古いし、僕も読んだことや見たことがないものばっかりなので、そこまで細かいところはわからなかったのだけれど、なかなか楽しめました。

異性をひきつけるフェロモンの素とはなんぞやなんてことも書いてあって、無計画、無防備、無思慮の三無主義が大切だ。なんて書いてありました。これはその通りですね。恋愛は考えすぎるからいつもうまくいかない。流れに身をまかせて、欲望のままにいけばうまくいくことが多い。そして一番大切なことは

恋愛、これすべて、タイミング


なんて書いてあって、姫野カオルコ!おれと同じこと言ってるじゃないか!なんてちょっと興奮しながら読んでいましたよ。

知性とマゾヒストの関連性とか興味深く読ませていただきました。

こういうバカな発言はいくらでも笑えるのに、杉村太蔵のおバカな発言は全然笑えないですね。これはやっぱり若さゆえ・・・に出てきたからなのでしょうかね。




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2006年02月25日

光と影の誘惑-貫井徳郎

「光と影の誘惑」 貫井徳郎

光と影の誘惑おはようございます。

貫井徳郎の本2冊目です。中編4つが収められた「光と影の誘惑」。前回読んだのが思いの外よかったので今回も期待して読みはじめました。

誘拐が題材の"長く孤独な誘拐"、密室がテーマの"二十四羽の目撃者"、銀行強盗をする表題作"光と影の誘惑"、姉の行方を追う"我が母が教えたまいし歌"の四編が収められています。

"長く孤独な誘拐"は誘拐犯が実行犯を操るために実行犯の子供を誘拐するところからはじまる。そして真に誘拐したい子供を誘拐させて身代金の受け渡しが行われる。真の誘拐犯は・・・。って筋です。なかなか目新しかったのですけど途中で犯人がわかってしまった。

"我が母の教えたまいし歌"は自分が生まれる前にいたという姉の存在をしらされその姉の行方を追っていくというあらすじなんですけど、主人公皓一の恋人留美子の存在や、父親の死なんかによって物語に深みをもたせようとしたんだろうけど、それもあまりうまくいっていなくて姉もすぐにこいつだろうなって見当がついてしまったので、最後はストーリーを追うだけになってしまったのが残念でした。

表題作の"光と影に誘惑"は最後の最後でどんでん返しが起こって、途中ちょっとおかしいなってところはあったのですけど、最後まできてまた読み直す気になれなかったので??って感じで終わってしまいました。いつか再読するときにおもしろさが増すのだろうなって思っています。

"二十四羽の目撃者"は密室がテーマのミステリーでこれが四編の中では一番おもしろかったな。密室物なんて久しく見かけなかったし、といってもミステリーをほとんど読んでいなかったから当然なんですけどね。こういうトリックなんだぁって最後は感心すらしてしまいました。

なんだかただ、筋を紹介してるだけになっちゃったなぁ。最近うまく本に入り込めてないのですよね。ごめんなさいねm(._.)m ペこっ(誰に謝っているのだろうか。それが一番不思議だな。)







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2006年02月24日

新築物語-または、泥江龍彦はいかにして借地に家を建て替えたか-清水義範

「新築物語-または、泥江龍彦はいかにして借地に家を建て替えたか」 清水義範

新築物語オリンピックでフィギュアスケートの荒川静香選手が金メダルをとりましたね。ほんとうにおめでとうございます。表彰台に向かう彼女が素敵な笑顔をしていたのがすごく印象的でした。それにしても彼女、とっても東洋的な美人の顔立ちしていますね。最近の日本人にはみられないような美人さんですね。

昨日は清水義範の「新築物語」を読みましたよ。この本は作家泥江(ひじえ)龍彦が義母の死から、彼の奥さんに相続された借地にいかにして、家を建てたかってテーマで書かれています。泥江龍彦は誰がどうみても清水義範本人なのですけど、いわば自伝的小説ってやつですかね。

家を建てる時のあれやこれやの苦労、銀行からお金を借りたり、地主との交渉であったり、家の設計や家具の購入なんかが時間をおって描いてあって、帯にあるようにこれから家を買う人には絶好の参考書になるはずです。家を実際に建てたことのある人には自分のことのように思えるのじゃないかしら。

僕も男ですから、いつかは自分の家を建ててやるぞなんて思っているのですけど、そのときにこんな風にうまくできるかしらなんて思いながら読んでいました。泥江と奥さんが設計の時に外壁のタイルやフローリングの色なんかを決めるときの会話があるのですけど、泥江はすべてをまかっせきりにせず、かといって自分の意見を主張しすぎることのないように話しをすすめていきます。なかなかこうやってうまく奥さんと意見を合わせていくなんてこと自分にできるかしら、なんて考えてしまいました。

この奥さんって人がまたかわいらしい人で、丸っこい奥さんなんて表現されているのですけど、自分自身をちゃんともっていて素敵な人だなぁなんてうらやましくなってしまいました。

今、僕が住んでいるこの家も父と母が建てたものなんですけど、僕はそのとき中学生ぐらいだったかしら。あのころの記憶っておぼろげでしかないのだけれど、地鎮祭や上棟式なんかのことや、自分の部屋の壁紙がどんどん決まっていった頃のことを思い出していました。なんでも自分で決めないと気が済まない母だったので、誰も口出しできなかったことを思い出しました。

なんだか今日は本の感想なんてどうでもいい気分ですね。荒川静香の笑顔だけで十分です。






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2006年02月23日

99%の誘拐-岡嶋二人

「99%の誘拐」 岡嶋二人

バラ

99%の誘拐おはようございます。昨日は父の誕生日で、まぁ新聞読んで日付を見るまですっかり忘れていたんですけど、知り合いのおばさんから花束が届きました。キレイなバラの花束がテーブルの上の花瓶にささっているのを見ると心がなごみますね。真っ赤なバラの花なんて久しぶりに見たかも。でも、うちにはちゃんと手入れをする人がいないので、どんどん枯れていっちゃうだろうことを予想すると物悲しくなりますけどね。

昨日は岡嶋二人の「99%の誘拐」を読みました。ミステリーをあまり読まないのに最近手にとる機会が多い気がしますね。誘拐事件が難しいのは身代金の受け渡しの時に姿を見せなければならないからだそうです。接触の機会も多くなるのでそれで痕跡を残して逮捕されることが多いそうですね。それに、誘拐したのが赤ん坊でもないかぎり犯人の顔を見ることになるので身代金目的の誘拐のほとんどが目撃者を残さないために殺害までしてしまうのが重大事件になってしまう原因だと聞いたこともあります。

この本の犯人は誘拐から身代金の受け渡しなどの連絡までをすべてコンピュータを使って行います。すべてが機械仕掛け。だからなかなか犯人の尻尾をつかむことができません。そして、完全犯罪は成功する!って言いたいところなんですけど、タイトルに99%って書いてあるのが気になるんですよね。100%じゃないということはどっかでミスを犯していたんですね。偶然の突発的出来事が起これば失敗する、自分がミスをすればそれでおしまいだなんてことを犯人が言ってるので、計画は完璧だったけど、実行力に不安があるから99%なのか。それとも、最後の最後で見破られてしまうから99%なのか。タイトルに99%ってつけるほどそれはこの物語で大きな部分ではなかったのじゃないかしらなんて思ったりしたんですけどね。

この作品でも誘拐事件につきものの、犯人からの電話に逆探知するなんてシーンが出てくるのですけど、あれって実際のところどれぐらいの時間があれば逆探知できるものなんでしょうかね。いつも、できませんでした、という言葉しか刑事から出てこないのですけど、そんなに進歩しない機械なんでしょうかね。だったらやめちまえばなんて思ってしまうのはいくらか短絡的なんでしょうね。

それにしても、ミステリーってどうしてこうも長くなっちゃうんでしょうね。430ページぐらいあるんですけど、飽きっぽい僕は長編小説を読み始めるのにどうしても尻込みしてしまうので、こんなおもしろい本を手に取ることすらなかったかもしれないんですよね。といっても、この長さでも一回も本を置くことなく読んでしまったんですけどね。

「パーフェクト・プラン」の解説かなんかで、誘拐ミステリーとして、「99%の誘拐」との類似点かなんかが書いてあったので手に取った本でしたが、人の意見には素直に耳を傾けるべきですね。ちゃんとおもしろかっったもの。

それに自分の住んでいる地域の地名がでてくるのですけど、そういうことがあると物語がすっごく身近になりますね。あれはあんなところだから、ああいう道を通って、あの公園はここだろうななんて想像しながら楽しんでしまいました。




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2006年02月22日

パイロットフィッシュ-大崎善生

「パイロットフィッシュ」 大崎善生

パイロットフィッシュ昨日、インドに旅立つ友人を成田空港まで送ってきました。見送られるのや迎えられるとうれしいので、時間があればそういうときはなるべく空港まで行くようにしているのですけど、なんだか空港から一人で帰るのって寂しいですね。おはようございます。そいつがおみやげをおいていってくれました。インフルエンザをうつされたようです。熱もあるし、腰もだるいし。まったくあいつってやつは・・・。

さてさて、今日のは「パイロットフィッシュ」です。友人に本屋さんでよく見るけど、どんなのなんだろうね?って聞かれたので、本屋さんで見つけて思わず買ってしまいました。その友人に言ってあげたい。是非買いなさいと。

パイロットフィッシュ。それは熱帯魚などの水槽を作るときに、水槽の中の生態系をつくりだすために最初にいれる魚のこと。いいパイロットフィッシュを最初に水槽にいれることができれば、その魚の排泄物からバクテリアなどが生み出され、水草や他の魚などと共にちょうどよい生態系がつくられる。バクテリアが適切な量になったときに、パイロットフィッシュは水槽から取り出され、その水槽にいれようと思っていたアロワナなどの環境の変化に弱い高級魚がいれられる。取り出されたパイロットフィッシュは、生きたままトイレに流されたり、アロワナに食べさせたりと無残にも殺される。

作品は山崎君の現在と過去が交錯しながらすすんでいく。19年ぶりの恋人だった由希子からの電話。

一度出会った人間と、一度発した言葉と、人は二度と別れることはできない。


誰が誰のパイロットフィッシュで誰が誰のパイロットフィッシュでなかったのか。誰が高級魚で誰が高級魚ではなかったのか。誰もが過去の誰かに影響を受けて、その影響から現在の自分は逃れることはできない。そういったことが、透明感のある、広がりのある文章で綴られていく。

この本を読みながら、つい最近友人と話したことを思い出していた。自分が昔してきた恋愛と最近していた、これからするであろう恋愛はどうしても違うものになりそうだと。その違いをそのときはうまく言葉にすることができなかった。でも、この本を読みながらなんとなく、その言葉を見つけられたような気がする。昔していた恋愛は、お互いがお互いを成長させるために、時にはぶつかりあい、摩擦をひきおこしていたのだけれど、それが成長のためであったからこそ決定的なものにはなりえなかった。だってお互いが変われるって信じられたのだもの。そんな子たちが隣で一緒に笑ってくれて、泣いてくれて、喜んでくれて、怒ってくれた。そして楽しんでくれた。

これからするであろう恋愛は、もうお互いの生態系ができあがった状態で出会う人達とするのだろう。自分の生態系も不完全ながらも完成しきってしまっているだろうから、ぶつかることもないかもしれない。あるとしてもそれは決定的な言い争いになってしまいそうな気がする。これがわかっていなかったから最近してきた恋愛はうまくいかなかったのかな。自分の中であの子までの恋愛とあの子からの恋愛に決定的な線がひけるのはそんな理由からなのかしらってやっと言葉を見つけられたような気がする。

大崎善生は元々ノンフィクション作家だったらしい。そんな彼の初の小説作品がこの「パイロットフィッシュ」だ。なんでもできる人ってすごいな。この人の文章だと、ノンフィクションを書いたとしても創作的な感じがしてしまうだろうなって思うとちょっと損だろうなとは思うけど。
posted by kbb at 06:52 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(6) | 大崎善生

2006年02月21日

ラヴレター-岩井俊二

「ラヴレター」 岩井俊二

ラヴレターおはようございます。

なんだか、最近現実にありそうなお話ばっかり読んでいたので、もっとお話らしいお話を読みたくなって岩井俊二の「ラヴレター」を手に取ってみました。これは岩井俊二の「Love Letter」という映画の小説版です。裏表紙のあらすじには、亡くなった恋人の昔の住所に手紙を出したら返事が来た。そこは国道が通ってしまったせいで、住所が存在しないはずなのに。なんて書いてあるのでわくわくしながら読み始めたんですけど、そのからくりが結構最初の方であきらかにされてしまうので、お話らしさはなくなってしまいました。でも、でもとっても楽しめるお話でしたよ。あるっちゃあるし、ないっちゃないって設定でしたしね。

映画版の方は「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」という作品を見て岩井俊二のことが気になって一度レンタルビデオを借りてきたのですけど、なんだかそのとき見られるような気持ちじゃなくて、一度も再生しないまんま返した記憶があります。こんなに楽しめる物語だったのなら見ておけばよかったなんて今更後悔してみたりして。

この小説は作品のほとんどが手紙の往復でしめられています。フィアンセ、藤井樹を事故でなくした渡辺博子は恋人の3回忌にほんの遊び心で彼の、今はなくなっているはずの中学時代の住所に手紙を書きます。

拝啓 藤井樹様。
お元気ですか?私は元気です。


というだけの文面の手紙から始まるこの物語は・・・。ネタバレしたい!けど、これから読む人のためにネタバレしたくない!という葛藤の中でこの文章を書いています。(´Д⊂グスン
一つだけ言えるのは渡辺博子もすごいかわいいけど、もう一人の女の子の方が僕は好きかなってぐらいかしら。ってそんなこと誰も聞きたくないか・・・。

でも、この作品を読むと、なんだか誰かに手紙を書きたくなるようで、最後の解説では北川悦吏子が、アマゾンのレビュー欄では多くの人たちが手紙文の形で文章を書いています。そんなちょっとした暖かな気持ちにさせてくれる作品でしたね。

それに、出てくる人みんながちょっとした遊び心を持っていて、そんなところも気持ちを軽くさせてくれる作品です。それにさすが、映像をつくっている人だけあって、出てくるシーンを簡単に目に浮かべることができるのもうれしかったですね。昔、藤井樹が通っていた小学校なんかもなんだか見てみたい気がするし、図書室なんかの本の匂いまで伝わってきそうな気がします。

携帯やパソコンのメールのような無機質なものでなく、自分の手で書きあげる手紙に似た暖かさをこの作品は醸し出すことに成功しているのかもしれませんね。今まで一度もラヴレターなんて書いたことがないので、学生時代に一通でも出しておけばその想い出を思い出せたのになんて考えてしまいました。まぁ男子校だったので出す相手もいなかったのですけどね。

Love Letter
posted by kbb at 06:55 | 東京 🌁 | Comment(4) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ ア行

2006年02月20日

贅沢な恋愛

「贅沢な恋愛」 林真理子 北方謙三 藤堂志津子 村上龍 森瑤子 山川健一 山田詠美 村松友視 

贅沢な恋愛槇原敬之の「もう恋なんてしない」という曲にこういう歌詞があります。

君宛の郵便が ポストに届いてるうちは
片隅で迷っている 背中を思って心配だけど

さっき郵便受けを覗くと、5年前につきあってた彼女宛のカタログが届いていました。ほぼ住んでるんじゃないかってぐらいいたので、カタログなんかはうちの住所で登録していたようですけど、そんなカタログの一冊が今日届いていたのです。そのカタログの表紙を眺めながら彼女のあれやこれやを思い出していました。たまにはこういうの風に思い出すのもいいかななんて思ってね。その彼女からは前に、結婚しますって連絡をもらったので歌詞にあるようには心配はしていないのですけどね。幸せな結婚生活をしているといいなって思っています。

昨日の占いですけど、よくよく考えてみたら結果がわかるのはずっと先のことなんですよね。昨日は吉祥寺に飲みに行ってたくさんのかわいい女の子を見かけましたけどそのうちの誰かが・・・なんて自分を励ましてみることにします。

さてと、そんな素敵な恋愛をモチーフにしたアンソロジーの「贅沢な恋愛」を読みました。昨日の「贅沢な失恋」のテーマは失恋と食事でしたけど、今回のは恋愛と宝石がテーマです。八人の作家が八様の恋愛を描いてそれの中心であったり、さりげなくであったりアクセサリーが登場します。そこについている宝石は真珠であったりオパールであったり、またはプラチナだけのシンプルなアンクレットであったりします。正直言うと「贅沢な失恋」の方がお話としてはおもしろかったのですけど、今回のもなかなかうまくまとまっていましたね。

林真理子の"真珠の理由” という作品は一人の男をめぐって二人のまったく正反対の女性が争うというストーリーを気性の激しい方の女性の目を通して描いています。その女性と男性との出会いのシーンがなかなか素敵でした。あるパーティーで二人は出会うのですけど、最初から言い争いをしてしまいます。後日その日の話しをしたときに彼が彼女をそこで気に入った理由として、

途中で(言い争いを)やめなかったところが気に入った。

という描写がでてきます。「そうかしら」とか「そうはいっても」といって言葉を濁してうやむやに終わらせることがなかったのがいいと言うのですけど、こういう女性、僕も好きですね。思ったことを途中でやめるのなんて一緒にいる方もなんだかなぁって気持ちになってしまいますもの。こういう気性が激しく、自分の思っているところをちゃんと発言して、それを言った上でひけるところはちゃんとひける女性って素敵じゃないですか?なかなかそんな女性はいないですけどね。そんな女性に見合うような素敵な男性に僕もならないといけないですしね。

宝石と言えば、昔の素敵な思い出を思い出してしまいます。その子が7月生まれで誕生石がルビーということで、ルビーのついたピアスをプレゼントしました。本当にそれが本物のルビーだったかどうかはわからないけれど、とっても綺麗な赤色の石がついていました。まだそんなにお給料のよくなかった僕が結構奮発して買ったものなんですけどね。彼女は学校に行くときにそれを外して財布の中にしまって、下校の時に付け直すということをしていたようです。ある日、学校帰りに僕の家に来て悲しそうな顔をしています。顔を見たときに、今日はピアスしていないなって思っていたのですけど、どうしたのと聞くと片方のピアスを無くしてしまったと言って泣き出してしまいました。僕はそのとき、きっと悲しい顔をしていたのだと思います。彼女は怯えた顔をして、いつまでも僕の顔を見上げていました。
「しょうがないね」
といって、後日買い直してあげようと心に決めてその場は終わりました。それから毎日の様に会っていたのですけど、数日後彼女の耳に、無くしたはずのピアスとよく似たものがついていました。よく近づいて見なければわからないほど、それは似ていました。
「どうしたの?」
と聞くと彼女は
「似ているのを探してきて買って来ちゃった」
と言いました。そのときの僕の嬉しそうな顔を見て、見せてくれた誇らしげな笑顔とそのときの声はいまでもはっきりと思い出せますね。

なんてちょっと思い出にひたってしまいましたよ。ごめんなさい。

そうそう、この本の解説は鷺沢萌が書いているのですけど、収められているどの小説にも劣らない素敵な文章だったので、今度見つけたらこの人の本を買ってみようと思ってしまいましたとさ。


posted by kbb at 12:31 | 東京 ☁ | Comment(4) | TrackBack(0) | アンソロジー

2006年02月19日

贅沢な失恋

「贅沢な失恋」 林真理子 北方謙三 藤堂志津子 村上龍 森瑤子 山川健一 村松友視

贅沢な失恋今日の恋愛運は大吉らしくて、「とてもよい星まわりです。将来を伴にする相手とめぐり会えそうです。」と言われました。おはようございます、kbbです。それでちょっと今日一日を楽しみにしています。でも、昔TBSのカウントダウンTVの最後の占いで昔の彼女から連絡があるかもっていうのを見て一週間わくわくしてすごして、暇があれば携帯に目がいっちゃってたのですけど次の土曜日に落胆したことを思い出しました。さて吉とでるか凶とでるか、今日一日が楽しみですね。

手元に「贅沢な失恋」と「贅沢な恋愛」という二つの恋愛アンソロジーがあり、別れがあるから、新しい出会いがあるのだとの考え方通り、順番通り失恋の方から読んでみることにしました。

さすがにそうそうたる作家さんが書いているだけあって、どれもこれも面白かったですね。この「贅沢な失恋」。なにが贅沢なのかしらって思って手に取ったのですけど、別れ際が贅沢なんですね。素敵な料理を食べながらの別れ話が7つ収められています。雰囲気のよさそうな六本木のレストラン、じゅーじゅーと肉の焼ける音まで聞こえてきそうな焼肉屋さん、新鮮なネタが自慢の札幌ススキノのすしやさん、おいしい肉とワインがいただける代々木のステーキハウス、荻窪の住宅街の中にあるマスターのこだわりでいっぱいのレストランなど舞台は様々です。驚いたことにすべてのお店が実在のお店で、最後のページにはそれぞれのお店の連絡先なんかも載っています。一度足を運んでみたいところばっかりなのですけど、そこにいくと失恋するなんて、この本のおかげで思われたりしないのかしらって心配になってしまいました。

一番おもしろかったのは藤堂志津子の"やさしい言葉”というのでしたね。OLと年上の彼氏の話なんですけど、彼が好きでもないのにゲーム感覚で彼女と恋をしていることを知ってしまい、解約した定期預金が全部なくなるその日にススキノの寿司屋で別れ話をするというあらすじなんですけど、短編らしく最後にどんでん返しなんかもあったりして楽しめました。

北方謙三の"チーズに合うワイン"では男が二周りも年下の彼女の"女"を磨いていくのですけど、いい女になってきたと思ったら彼女が別の男といなくなってしまったというちょっとありえるストーリーがせつなくなりますね。彼は

女を磨き上げる方法はいろいろあるが、金をかけるのが一番安直で手間が省けた。


と言っていますが、これはどうなんでしょうかね。まぁ金をかけてあげられるほどお金を手にしたことがないのでなんとも言えないのですけど、こうやって磨かれた女ってのはすごくイヤな女になりそうですね。表面だけ磨かれて中身はくもりガラスのようにまったく心の見えない女になりそうでいやだな。まだまだ僕には女を磨くなんてどうやればいいのかわからないですね。若輩者ですから。

森瑤子の"わたしの大事な人だから"は男女の友情を描いたお話です。

一番大切な女とは恋愛しない。結婚もしない。


これはほんとにその通りだと思いますよ。そりゃ男だから、女友達とかと会ったときに、抱いたらどんな感じかなって想像したくなるときもあるけれど、恋愛してしまったら、もしそれが終わったときにその子との関係は二度と元に戻らなくなるのがこわいですものね。だから僕はつきあうときはその子と出会ってから初めのうちに、できれば4〜5回目のデートぐらいにはつきあうことにしてしまいたいのです。友達になってしまったら、その関係性を失うことのリスクを考えてしまってこわくなってしまうのです。なんてことを、最近友人と話していていたのを思い出しながら読んでいました。

明日は、新しい出会い編ということで「贅沢な恋愛」でも読もうと思います。


posted by kbb at 07:07 | 東京 ☀ | Comment(2) | TrackBack(1) | アンソロジー

2006年02月18日

かわいいかわいい手作りアクセサリー

友人に手作りでアクセサリーをつくってる子がいて、その子が今度吉祥寺ユザワヤの8階のレンタルボックスで展示販売をすることにしたので、それの応援のために宣伝しておきます。

このあいだ見てきたのですけど、かわいらしいネックレスやピアス、指輪なんかもおいてあって、一個500円ぐらいのようです。自分に彼女がいたらプレゼントしてあげるのになんて思ってしまいました。すべて手作りなので一点ものってのがウリみたいです。ていっても、同じのをつくろうとすると、こうしたいってなって作れないだけなんだけどねって暴露してましたが。

ネックレスピアスピアス

興味のある方は是非寄ってあげてください。吉祥寺ユザワヤ8階のレンタルボックス、正面右上の一番端、ボックスA-095ってところらしいです。
一応ブランド名なんかもあって"reir”(れいーる)なんて名前だそうです。スペイン語で笑うという意味の単語なんですって。なかなかおもしろい名前ですよね。

reir-accessoriesあっとhotmail.co.jp(あっとを@になおしてください)で、サイズ直しやデザインの要望なんかも受け付けているらしいので気軽に問い合わせなんかもどうぞって言ってました。

というわけでみなさまよろしくですm(._.)m ペこっ
これで宣伝広告料をもらえるかしら(笑)
posted by kbb at 19:11 | 東京 ☀ | Comment(4) | TrackBack(0) | 雑記

2006年02月16日

ビタミンF-重松清

「ビタミンF」 重松清

ビタミンF.jpg昨日は六本木ヒルズで2度目の有頂天ホテルを見てきました。思った通り二回見ても笑いっぱなしの2時間でしたね。それに謎の部分や見直したかった部分を確認できたのでよかったです。それにしても六本木ヒルズの映画館の座り心地はいいですね。駐車場が無料じゃないのが残念ですが。

それと昨日は風習に反しまして、男からの手作りお菓子をばらまいてみました。スウィートポテト作ったのですけど結構おいしくできたのですが、まだプレゼントした人たちからおいしかったよ報告がないので、どうだったのか心配です。実は市販のスウィートポテトを一回か二回ぐらいしか食べたことがないので、ほんとはどんな味のお菓子かわからないのですよね。大丈夫だったのかしら・・・。おなかを壊すようなことはないと思うのだけれど。

さてと、相変わらず長い前置きですが、「ビタミンF」の感想でも書きますかね。帯に家族小説のマスターピースなんて書いてあって、はじめて重松清の本を手に取ったのですけど期待して読みました。

familyやfriend、fightなどのFで始まる言葉をテーマにした7つの短編が収められています。直木賞受賞作だそうです。いやーおもしろかった。読みながら考えてしまったり、応援してみたり、涙ぐんでみたり十分に感情移入をしながら読みましたよ。ただ家族小説のマスターピースって部分にはちょっと反論したいことがあって、これは父親小説のマスターピースですよ。だってすべてが父親の視点から書いてあって、自分の娘の初体験の相手を殺してやりたいと思う父親や、わからなくなってきた息子に対する父親の気持ちなんてのがモチーフになっていて、女性が読んだらちょっとって思うところも多いのじゃないかしらね。でも、20代中盤ぐらいの女性に読んでもらいたいですね。父親はこう思っているんだぞって知って欲しいです。父親以外の男にチョコレートあげてる場合じゃないですよ。

「ゲンコツ」という作品ではおやじ狩りをする少年達に腹をたてたりしながら、老けることについて考えちゃいました。40歳を目前にした男が最近の少年を怖がりながらも腹立たしさを感じている。ある日同じマンションに住む家族の一人息子の非行を目撃して・・・って話しなんですけど。なんだか自分の老いを発見するのってけっして自分の体力のなさや考え方から気付くものじゃなくて、周りの男性、特に自分の父親の背中が小さくなったことに気付くところからはじまるんじゃないかって思っちゃいました。最近僕も、父が椅子にすわってるところを背中からみると小さくなったななんておもったりして、そういえば手にもしわが増えてきたし、顔にもしみがでてきたし。そうやって育ててくれたんだなってそういうのを見ながら再確認したりしてね。自分もそういうことに気付くことができるようになったんだなって思っちゃいましたよ。でも、自分はまだまだ若いですからって強がりを言ってみます。

最近なんだか父親に育ててくれてありがとうって言いたくなるような本ばっかり読んでいるのですけど、そういう言葉って気恥ずかしくて面と向かってなかなか言えないでいました。だから今回、スウィートポテトを父の机に上において、メールでおいておいたから食べてねって言葉と共にいつもありがとうと付け加えてみました。ひとこと「おいしかったよ」なんて返信がきたけど、やっと言えて嬉しかったですね。女性には毎年そうやって父親との仲を修復するバレンタインデーなんて行事があったんだって思っちゃいましたよ。

posted by kbb at 05:49 | 東京 ☔ | Comment(2) | TrackBack(2) | 小説・エッセイ サ行

2006年02月15日

映画 県庁の星

県庁の星チラシ 

予告通り映画「県庁の星」(公式サイト)の試写会に行って参りました。原作は2005年9月にでたばっかりの小説「県庁の星」、作者は桂望実です。映画化が早かったんですね。銀座のヤマハホールに行って来たのですけれど、ひさしぶりの銀座にどきどきわくわくでした。みなさん着飾ってなんだか街全体がまぶしかったです。ちょっと遅くについたのですけれど、なかなかいい席に座れてよかったです。

感想はといえばすっごくおもしろかったですよ。原作を読んだことが無かったので、事前情報は劇場で見た映画の予告編だけでした。だからか、よけいな先入観がなかったので楽しく見られました。劇場が一体感をもって笑える映画っていいですよね。

主演は織田裕二と柴崎コウです。織田裕二ってかっこいいですよね。頭のつまさきから足のてっぺんまで神経が行き渡っていて立ち居振る舞いがキレイなんだもの。柴崎コウも美人さんだし、美男美女をみたければこの映画はおすすめですよ。

まぁそれだけでなく、ストーリーも素晴らしかったです。織田裕二演じる県庁のエリート公務員、野村が民間交流研修の一人に選ばれて、スーパー満天堂に行きます。彼の指導係が柴崎コウ演じるパートのお姉さん、二宮。民のやりかたに反発する野村がだんだんと官僚主義、お役所主義から脱してそこで得たものをもって県庁に帰って、県庁を改革しようとするといったお話です。野村には婚約者がいるのだけれど、出世できなくなったとわかると婚約破棄されて、最後は二宮と・・・。っていうお話もあって、面白かったですね。二宮が野村をデートに誘う場面があるのですけど、その誘い方がなんともいえず面白くて、ためになって、今度使ってみようかと真剣に考えてしまいました。

県庁のエリート公務員が民間交流でスーパーの店員へっていう設定がまずおもしろかったですね。この設定ならおもしろいストーリーをつくりやすいもの。そして改革なんて今の流行り言葉ですから、おもしろくないはずがない。

この映画は今年の四月から就職する人たちに是非みてもらいたいです。まだ凝り固まっていなくて違う考え方を吸収できる人たちに理想をもった仕事をしてもらいたいもの。それより上の人がみると、そんなのムリだよ、なんてしらけた感想を持っちゃうかもしれないけど、そういった人たちもこの映画を見て、おもいっきり笑って少しでも昔の自分を思いだしてもらえればなんて思ってしまいました。

いやぁ最近日本映画がおもしろいですね。うれしい限りです。明日はこのあいだ売り切れで「三丁目の夕日」を見られなかった六本木ヒルズで二回目の「有頂天ホテル」を見てきますよ。今回はばっちり予約して席もとってもらったので、入れないことはないはずです。問題は朝一の回なのでちゃんと起きられるかどうかが心配ですね。だったらこんな時間に更新するなって話しですね。明日遅刻したら、このブログを見て怒られちゃいますね。さてと寝ますか。おやすみなさい。

県庁の星
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2006年02月14日

バースデイ-鈴木光司

「バースデイ」 鈴木光司

バースデイ.jpg久しぶりに昔流行った動物占いとやらをやってみました。

新動物占い

結果は親分肌のぞうらしいです。あなたは落ち着きがあり、なんていわれてもまったく自覚がないのが残念です。他人の口出しや干渉を受け付けません、なんてところはあっているかも。相性抜群なのは親身になって悩みの相談相手になってくれるひつじさんらしいので私はひつじさんよ、って方は自己申告のほどよろしくお願いします。ひつじさんからのチョコレートも待ってるんだからっ。

って昨日読んだ本とは全然関係ないんだけどね。古本屋でおもしろい本を物色していたら、昔はまった鈴木光司の本を見つけました。読んだかなってぱらぱらとめくってみたら「リング」という文字が見えるじゃないですか。「リング」「らせん」「ループ」に関係のある短編が3作収まっている作品集でした。3部作は全部読んでいてたしかあれは「リング」だったと思うけど、映画を見て僕が思い描いていた貞子はあんなおどろおどろしくなくて、美しさの中に狂気を秘めている存在だったのにあんな風に描かれちゃって、それで遠ざかったことを思い出したりしながら、短編だし、つまらなかったら読まずに放っておけばいいよ、ぐらいの気持ちで買ったのですけど、その思いはいいほうに裏切られましたね。

最近父親の目から描いたエッセイが多くてちょっと飽きていた鈴木光司でしたけど、やはりかれはフィクションを書かせた方がうまいですね。あれだけ、完成された3部作にまだ付け足すことがあったなんてってちょっとびっくりしてしまいました。「空に浮かぶ棺」「レモンハート」「ハッピー・バースデイ」の三作が収録されているのですけど、「空に浮かぶ棺」は「らせん」の高野舞が貞子を産むシーン。「レモンハート」は「リング」をさかのぼること30年前の貞子がまだ劇団員だった頃の話し。「ハッピー・バースデイ」は「ループ」の後日談という形ですべての物語が続いています。また3部作を読みたくなってきたぞ。でも長いのとこわくてトイレに行けなくなっちゃうかもしれない(と、かわいこぶってみる)のでなかなか手が伸びないのですけどね。「レモンハート」は「リング0」として仲間由紀恵主演で映画化もされているらしいのでこれも見てみたいですね。でも一人で見るのはこわいかも・・・。

これは角川ホラー文庫で読んだのですけど、ホラー文庫っていうわりに全然こわくなくて、おどろおどろしいシーンもないですしね。夜中一人で読んでも全然トイレにいけるような本でしたよ。それよりはむしろ恋愛小説のような感覚で読んでいました。ただ3部作を読んでいない人にはまったく理解できないところも多々あるのでおすすめしません。逆に3部作が好きな人は是非是非読んだ方がいいと思います。

ちょっと本筋とはずれるのですけど気になったところを。「レモンハート」の中で遠山という男と貞子が恋仲になるのですけど、30年後の遠山がつぶやくシーンがあります。彼は30年前のことを思い出しながら4つの「もし」を自分に問いかけます。

もし、貞子と結婚していたらどうなるか?
もし、地球最後の時がやってくるとしてそのときは誰と一緒に過ごすのか?
もし、もう一度人生をやり直せるなら生活をだれと共にするか?
もし、生涯にたった一度しか女を抱けないとして、その相手はだれか?

なんてことなんですけど、彼はこの問いを通して30年前も今でも貞子を愛していることを再確認するのですけど、僕の場合はこの4つの質問すべてで相手が異なることに気付いてしまいました。これは今まで誰も心から愛したことがなかったってことなんでしょうかね。それとも恋愛と結婚は違うものだから、それぞれ相手が違うのは当然なんでしょうかね、なんてことをホラーを読みながら考えてしまう僕はいかがなもんでしょうか。


posted by kbb at 08:10 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ サ行

2006年02月13日

転校生-沢野ひとし

「転校生」 沢野ひとし

転校生11日に表参道ヒルズなんてものがオープンしたらしいですね。全然しらなかったです。昔は表参道あたりでぶいぶい言わせていたのに。メインターゲットは

「マイナス10歳のマインド」を持つ「O・TO・NA」たち(シブヤ経済新聞参考)


らしいです。はじめてこの言葉を読んだとき背筋がぞわーーってなってしまいました。こんなコピーを作ってる人たちにちゃんとしたお店作りができるのか不安になってしまいましたよ。

さて昨日読んだ沢野ひとしさんはちょうど上のコピーにGOサインをだした人と同じぐらいの年代の人だと思うんですけどね。今ちょうど50代の会社で責任をとる立場にある人たちですね。「転校生」は雑誌「本の雑誌」に連載したものをまとめたもので、彼の自伝的エッセイというか小説というか青春時代の回想のようなものが題材です。短編がいくつも入っていて長さはちょうどよいぐらいでしたね。東京で生まれて中学で千葉に引っ越して浪人していっぱい恋をして、失恋をして、結婚してってことが書いてあります。

初恋のことなんかも書いてあって、彼女の名前や彼女にプレゼントした本のことや歩いた場所、話した雰囲気はよく覚えているのに、彼女の顔がすっかり思い出せないなんてことが書いてあります。そういえば初恋ってそんなもんですよね。恋に恋していた証拠でしょうかね。相手なんてほんとは誰でもいいんでしょうね。誰としたいかではなくて(自分が)何をしたいかが初恋なんてものなんでしょうね。

表題作の「転校生」ですけど、これは沢野少年が千葉に引っ越してからの話しです。千葉といっても山のほうではなくて、稲毛の海岸のほうなんですけど、一学年上に東京から転校してきた、千葉生まれの田舎っぽい女の子とは違った都会っぽい雰囲気を身にまとった女の子との恋が描かれています。中学生のくせにウイスキーを隠し持って二人で飲んだり、友達の家に泊まるといって彼女の家に泊まったりしたなんてことが書いてありますね。それでいて彼女はピアノがうまかったり、音楽大学にいくなんて子で、この頃の人たちはみんなこんな風に恋を楽しんでいたのでしょうかね。今なら彼女の家に泊まるなんてことになったらヤルことしか考えられなくて、ヒニンのことをにわかに勉強したりしちゃうだろうに、沢野少年は布団が敷かれるまで帰りたかったなんて思っていたみたいですよ。純情なんでしょうね。

とまぁこういったことが書かれているわけですけど、モラトリアム世代というか酒と音楽に溺れて将来に不安を感じつつそれを忘れるために小説や映画で時間をつぶすなんてどっかの誰かさんのことを見ているようでいやになってしまったってのが本音かしら。

さて、今日は「県庁の星」の試写会行ってきます。結局仕事が休みだっていう弟の彼女と行ってきますよ。明日あたり感想書けるかしら。







posted by kbb at 11:46 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | 小説・エッセイ サ行

2006年02月12日

映画 博士の愛した数式

博士の愛した数式

実はちょっと前に映画 博士の愛した数式をみてきました。どうやって感想書こうか考えていたらこんなに時間がたっててびっくり。

2/1の映画の日にね。はじめて映画の日に映画を観に行ったのだけれど、安くていいね。ちょっとびっくりしてしまいましたよ。

吉岡秀隆演じる数学教師ルート君の高校の教室の教壇から物語ははじまる。ルート君の頭には寝癖があってルートの→√の部分を表しているらしいけど、それはちょっとやりすぎだろうって気持ちになる。コケシがでてきたりして伏線がいっぱい張ってある映像だななんて思って、ちょっと難しかったな。能を見に行く場面があるのだけれど、それがちょっと長くてこのシーンで何を伝えたかったんだろうってちょっと不思議に思っちゃった。博士の上着に止めてある紙も少なくてイメージとはちょっと違ったしね。でも寺尾聰はさすがに演技がうまいですね。しっかりと博士を演じていましたね。

最近吉岡秀隆は最近いろんな映画に出ていますね。ここまでうれっこになるなんて予想してなかったな。深津絵里もかわいかったですね。素敵な女性でした。

全般的にこの監督はこういう風にあの物語を読んだのかぁって感じでみてました。ちょっと客観的になりすぎて、うまく物語に入れなかったのが残念。自分の好きな本が原作なだけあって、もう自分自身の中に「博士の愛した数式」の世界があるので、そのイメージをいかに映像化してくれるだろうかって期待してみてるから、それと少しでも違うと違うのに!って思っちゃうのよね。

特に未亡人にクローズアップしてある作品だなって思いましたよ。でも、未亡人の気持ちをああいう風に解釈して欲しくなかったななんて思ったりしてね。博士も未亡人だけはちゃんと理解しているような描き方をしていたからそこもちょっとって・・・。

ここまで書けばみなさんは期待しないで観に行ってくれるだろうから逆にいいかしらね。でも、映像もキレイだし、プロモーションでよく流れているように桜の咲いているシーンもあって、撮影期間が長かったんだろうなって思いましたよ。舞台が長野になってるから神宮球場はでてこないけれど、いいロケハンしてるね。一度ドライブに行ってみたくなるような映像でした。

映画公式サイトはこちらから。

こんなのを見つけてちょっとびっくり。漫画化されていたんですね。

博士の愛した数式コミック.jpg


posted by kbb at 08:37 | 東京 ☀ | Comment(3) | TrackBack(13) | 映画

犬のミステリー

「犬のミステリー」 鮎川哲也編

犬のミステリーかわいい女の子がでてくる夢を二本立てで見ました。美女とバイク二人乗りしている夢と、美女と一緒に机を並べてスペイン語を習っている夢でした。でもね、二人とも彼氏持ちで、バイク二人乗りした方は妊娠3ヶ月って言ってました。しかもノーヘルで、昔よくかぶっていたオレンジ色のキャップを二人してかぶって。だれか夢判断できる人に僕の無意識の部分を聞いてみたいですね。

さてさて、本屋さんで棚をみていたらタイトルに「犬」とついた本を見つけて思わず買ってしまいました。そういえば犬好きのくせに犬がでてくる本をあんまり読んでいないなと思い立ちさっそく購入。鮎川哲也編集らしいのですけど、実はこの人しらないの。書いている作家さんも佐野洋以外は知らないのですよ。実は。どの人も有名な人なのかしらね。一応あげておくと、佐野洋、仁木悦子、香山滋、多岐川恭、椿みちこ、御手洗徹、竹村直伸、樹下太郎というラインナップです。

やっぱり佐野洋のものはおもしろかったですね。よく練りこまれていてすらっと読めました。他にも椿みちこの「赤い犬」とか竹村直伸の「タロの死」、御手洗徹の「野犬と女優」なんかもおもしろかったですね。

ただ1986年初版発行で初出が昭和30年代のが多いので、情景や表現がちょっと古くさかったりするのだけれど、それも写真がうまく色あせていくような感じでけっして不快に感じるようなこともなかったですね。タイトルに「犬のミステリー」ってあるように、どれもうまくストーリーが考えられているので、ちょっと疲れたときとかに手にとるといいかもって思いました。

でも、どれもこれも犬が死んでいっちゃうのが残念ですね。手にとったときには探偵のように犬が大事な手がかりをみつけてきて、それでミステリーが解き明かされるみたいなのを想像していたのですけど、その予想は大きく外れてしまいました。犬を伏線として扱ってるのが多かったですね。残念でなりません。どなたかそういった作品ご存じの方いらっしゃいませんか?



posted by kbb at 07:19 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | アンソロジー

2006年02月10日

パーフェクト・プラン-柳原慧

「パーフェクト・プラン」 柳原慧

パーフェクト・プラン.jpgきのうはさんざんっぱら酔っぱらいまして、二日酔いになりました。帰り道に自転車で転びまして膝をしたたか打ってしまいましたよ。したたか打つなんて口語ではなかなかいいませんよね。おはようございます。頭が痛いので、筋の通らない文章になることをお許しください。え?いつも通ってないって?そりゃ失礼をばいたしました。

さてさて、気をとりなおして。第二回このミステリーがすごい大賞をとった「パーフェクト・プラン」です。第一回は「四日間の奇蹟」でしたね。この賞はすごいですね。今のところはずれなしです。今作もすらすらと読めてしまいました。おもしろかった。題材は誘拐事件なんですけどね。ES細胞やら代理母やら株取引やら美容整形やら、はたまた幼児虐待の話しなんかもでてきて、それでいてどろどろせず、なんだかこういう本もいいですね。気持ちが落ち込むことも考えすぎてしまうこともないもの。そういえば昨日の本も株取引に風説の流布がでてきたのですけど、今作も風説の流布まがいのことをしていますね。題材として株取引に風説の流布はつきものなんでしょうかね。昨日のはそれが大きな出来事として扱われるのですけど、今作では風説の流布まがいのことをしているのに、それでは捕まらないのですけどね。今作では誘拐事件を起こすのだけれど、それを誘拐事件にしないために、脅迫もゆすりもしない。ただ安全に保護していますよ、ってところからはじまっていざ子供を返そうってときに、やっぱり返せないみたいな話しから警察が動き出してさあ大変。こっからがおもしろい!みたいになってすーーっと物語が動き出します。

興味深かったのはハッキングの場面ですね。これを読むと自分のコンピュータや家にあるパソコンすべてのファイルを一から確認してみたくなりますね。うちのセキュリティは大丈夫なのかしら。一応ノートンが入っていますけどね。まぁうちのパソコンなんてハッキングしたところでたいした情報も入っていないのだけれどね。それにして、個人情報のかたまりですからねぇ。中にはみられたくない写真とかもあるわけですしね。昔の彼女の写真とかね。そういえば、友人がおもしといことを言ってたな。新しい恋人ができると、男はフォルダを新規作成するように昔の彼女との思い出を大切にとっておくのだけれど、女性はフォルダを上書き保存するように昔の恋人との思い出を忘れていくんですって。なんだか思い当たる節がありませんか?僕はありまくりですよ。

ちょっとね、一つだけ言わせてください。今作で誘拐される子供なんですけどね。その子について何回か自閉症気味とかって表現がでてくるのですけど、自閉症気味で天才的に一度見たものを瞬間的に記憶して二度と忘れないとかって表現なんですけどね。サヴァン症候群とか表現もありましたね。でも、読んでいる限り彼は自閉症でもサヴァン症候群でもないですから。たぶん扱いやすいネタだから自閉症とサヴァン症候群を作家さんは使うのだろうと思うのだけど、もう少し考えて欲しい。こういうネタを使う人多すぎませんか。もう飽きちゃいましたよ。そんな生やさしい病気じゃないのに。実際。こんな高機能自閉症の人の方が数的には少ないのですよ。高機能ってのはコミュニケーションがとれる時点でもうそうなるのだけれどね。普通自閉症といえば、殻にこもりがちな子供をすべてさすのかもしれないけれど、それはただの引っ込み思案とか人見知りのはげしい子供であって、それらがすべて自閉症なわけではないのだからね。

ふーっ。熱く語ってみました。そうそう、今作の登場人物に僕と同じ名字の人がでてくるのだけれど、それがあんまりいい役の人でなくてね。その名前が呼び捨てにされるたびに思わず「すいません」ってあやまってしまいましたよ。そんなにどこにでもある名字ってわけでもないのにねぇ。こんなのはじめて(ハート♪)って感じでしたね。まぁなんにせよおもしろい作品でしたね。夜中に一人でデニーズに行って、その日だけはなぜか機嫌のいいウエイトレスさんにコーヒーのおかわりを10杯ぐらいただきながら読み終えてしまいましたとさ。そんなに飲んでいるのに、時間になるとちゃんと寝られるのはカフェインがどうとかじゃなくて、気持ちの問題なのかしらね。

posted by kbb at 07:44 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ ヤ行

2006年02月09日

波のうえの魔術師-石田衣良

「波のうえの魔術師」 石田衣良

波のうえの魔術師おはようございます。

2冊目の石田衣良の本読みましたよ。やっぱり短編がうまい人は長編もさらっと読ませてくれますね。

「波のうえの魔術師」はフジテレビで長瀬智也と植木等主演で放映された連続ドラマ「ビッグマネー!〜浮世の沙汰は株しだい」の原作です。連続ドラマは毎回毎回ひっぱるように終わるのが許せないので見ないのでこのドラマもちらっとしか見ていないのですけど。

大学卒業して、パチプロまがいの生活をしていた青年が株取引を知り尽くした老人に見そめられて株の世界に入っていく物語です。今はやりの風説の流布なんてのもストーリー上うまく使ってあってなかなか楽しめましたね。二人はいろいろな方法でメガバンクの一つに復讐をするのですけど、最後にちゃんと大どんでん返しもあってなかなか楽しめました。

株なんてやったことない人が読んだから、誰でも株をやれば儲かるんじゃないかって思わせてくれる本ですね。いろいろと取引の方法なんかも勉強になりますしね。

青年が株に手を染めはじめて、だんだんマーケットの魔力とお金に魅せられはじめた頃に大学時代からの彼女とデートをする場面がでてくるのですけど、そこで彼女は

「わたしを取るか、マーケットを取るかはっきりしてほしいの」

っていうシーンがあるのですけど、女の人って男性の成功を願うものじゃないんでしょうかね?一時的に忙しくなって、物理的に離れることがあったとしてもちゃんと戻ってくるのに、それでも離れていることが怖いのでしょうかね。会わない時間が二人を強くするって誰かが歌っていたと思ったけどそれじゃダメなんでしょうね。まぁ僕は会えないことがなにより辛いタイプの人間ですけどね。

今作の舞台は台東区や葛飾区などの下町が舞台になっているのですけど、昔何回かデートしたすごい素敵な年上の女性の住んでいたところがその辺で、何度か彼女の家まで送っていった時のことを思い出しながら読み進めてしまいました。結局うまくいかなかった恋愛でしたけど、その時の情景やらなんやらが思い出されて甘酸っぱい記憶があふれ出してしまいましたとさ。

posted by kbb at 06:31 | 東京 ☀ | Comment(2) | TrackBack(1) | 石田衣良

2006年02月08日

オンリー・ミー -私だけを-三谷幸喜

「オンリー・ミー -私だけを」 三谷幸喜

オンリー・ミーこんにちは。

最近日本全国が三谷幸喜づいていますね。映画有頂天ホテルの大ヒットから、テレビで二夜連続で「みんなのいえ」「ラヂオの時間」放送と。この二つの映画も有頂天ホテルの公開にあわせて再発売するなどフジテレビも商魂たくましいですね。まぁそれはいいんですけどね。

「みんなのいえ」も「ラヂオの時間」もテレビでみましたけど、どちらもおもしろかったですね。彼の作品はすごく予定調和的で、だからこそ安心して笑っていられて最後は予想しているエンディングに向けてがんばれって応援すらしたくなりましたよ。とくに「ラヂオの時間」はきっと実際に三谷幸喜が体験した話しなんだろうと思ってみるととても興味深かったですね。「オンリー・ミー」を読んだ限りでは「ラヂオの時間」でモロ師岡が演じたどうしようもない放送作家が彼の立場のようですね。

まぁそんな感じで三谷幸喜が最近テレビで有頂天ホテルの宣伝のためによく出てるのをみて、なんでこの人はあんなにおもしろい映画をつくるのに、彼自身はつまらないのだろうと思っていました。しゃべるのも下手そうだし、なんだかおどおどしているしってね。そこで彼のエッセイを本屋さんでみつけたので読んでみました。雑誌「とらばーゆ」に連載していたものを一冊にまとめたのがこの本です。その他にも「とらばーゆ」連載分の他に彼の笑いやコメディに対する考え方なんてのも収録されていてお得感いっぱいですよ。

彼はすごい人を観察する人なんですね。深夜のファミレスで脚本を書きながらウエイトレスさんの動きをじっくりとみていたり。その彼女にちょっとしたいたずらをして彼女のおもしろさをひきだしたり。それらがすべて彼の映画に詰まっているのだと考えたらなるほどなんて思ってしまいましたよ。

この本10年以上前の連載を元にしているのですけど、彼はこの文章の中ですごいことを言っています。小泉純一郎が総理大臣になって総理のイメージを一新してほしい。彼にならできるって言ってるんですね。まだまだ小泉さんが総理になるなんて誰も考えていなかった頃ですね。彼がまだ郵政大臣をやっていたころです。さすが人をじっくりみている人は違いますね。実際に小泉さんは総理大臣の、いや政界のイメージすら変えてしまいましたものね。

こんなに頭のいい人なのだから、テレビにでている三谷幸喜は実はあれは全部演技で、僕は騙されているのかもってちょっと不安になってしまいましたよ。



posted by kbb at 15:36 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | 小説・エッセイ マ行

2006年02月07日

君はなぜ泳ぐのをやめるんだ-谷村志穂

「君はなぜ泳ぐのをやめるんだ」 谷村志穂

君はなぜ泳ぐのをやめるんだ先日新聞を読んでいたらバレンタインデー川柳なるものをメリーチョコレートが募集していて、それの入選作が発表されていました。ほほえましいのやほろっとするのや女の怖さがわかる句やらがいっぱいあっておもしろかったですよ。その中でひとつだけ引用。

願わくば  娘よ、チョコは パパにだけ

娘を持つようになったらお父さんはこんな気持ちになるんでしょうかね。自分は絶対なるだろうな・・・。だから娘はいらないのです!

とまあ、いつの世も恋愛の中身なんてたいして変わらないようで、先日テレビで紹介していた川柳もおもしろかったです。

笑うのも 泣くのも 恋の道具の一つなり

これがつくられたのが江戸時代ですって。昔から女ってやつはまったく。

さて、前置きがずいぶん長くなりましたね。昨日は谷村志穂の「君はなぜ泳ぐのをやめるんだ」を呼んでいました。1995年のバブル崩壊直後の男女を描いた短編集です。バブルでなくなったのは経済的なものだけでなく、時代そのものも勢いや男女の間にあるなにかだったって感じでその「なにか」を14の短編で描かれています。僕は幸いにもバブルまっただ中の頃はのほほんとかわいいかわいい小学生、中学生の頃だったのでここまで男女の機微を知ることもなく過ごして来たのでその「なにか」を実際に感じたことはないのだけれど、うんうんって納得できるものばかりでしたよ。

昨日の記事に沼に引きずり込まれて帰って来れなさそうって書いたのですけれど、それはこの本のストーリーや男女に感情移入しすぎたからではなくて、じゃあなんだったのかっていうとですね。谷村志穂の文章を読んでいるとすごく痛々しくて、なんで彼女はここまで自分の身を削って文章を作り出さなきゃいけないんだろうって考えてしまってね。なんだか物悲しくなってしまったのですよ。もちろんどの作家さんも文章を生み出すときには身を削っているのだとは思うけれど、彼女の場合、その削り方にすごい痛みが伴うような気がしてしまって、幾度も幾度も本を置いてしまいました。まぁそう思うのは僕だけかもしれないですけどね。

いくつか素敵な表現があったのでここにメモしておきますね。

「世の中では今日はどんなことがあったの?」
「何もないよ。今日もまた悪いことを企む人間がいて、悪い病気で死んでしまった人がいて、悪い犯人がつかまったよ」


確かにそうだけど、今でもそうは変わらないけれど、もう少し、もう少しでいいから希望を。。。

それと、すべての女性必見の素敵な女性でいられるアドバイスも彼女はしてくれていますよ。

会うときにはさぼらないで必ず短いスカートをはく。その際足を隠してしまうような黒いタイツのようなものでなく、ナチュラルなストッキングをはくんだ。それから姿勢に注意する。痩せることなんてないさ。少し緊張していればいい。


ほんとそうですよ。特に最後の姿勢に注意していれば、とびっきり素敵な女性になれますよ。きりりとしてね。猫背な女性もそれはそれでいいのかもしれないけれど、姿勢をよくして顔を少し上にあげればみんな素敵な女性なのにね。

今日はここまで。少しは素敵な女性になる秘訣がわかっていただけたかしら。こうやって少しずつ素敵な女性が増えれば、僕が素敵な女性と飲める確率も必然的に増えていくはずなんだけどなぁ。


posted by kbb at 12:57 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 谷村志穂

2006年02月06日

ひとでなしバトン

なんだか谷村志穂の本を読んでいたら、沼地に引きずり込まれて戻って来れなくなりそうになってしまったので気分転換にMOWさんからいただいたバトンでも。

「M's BOOKcaSe」のMOWさんから「ひとでなしバトン」を受け取りました。答えてみたよ。
ひとでなしぶりはブログを見てもらえればわかると思うけれど、一応ね。最低な男ぶりを発揮してみました。

続きはこちらどうぞ。
posted by kbb at 17:44 | 東京 ☁ | Comment(3) | TrackBack(1) | バトンやら100の質問やら

2006年02月05日

天国までの百マイル-浅田次郎

「天国までの百マイル」 浅田次郎

天国までの百マイル今日は日差しが強いのに、寒いですね。家の前に霜が降りていて踏みつぶして遊んでいました。水の力強さに少々驚きながらね。

今日の本は、きっとこういう本と出会うことができるから読書をやめられないんだろうなっていう本でした。「天国までの百マイル」です。鉄道員(ぽっぽや)もそうでしたけど、浅田次郎は人間関係の機微なんかを描くのがうまいんでしょうね。自分の母親の入院してたときと話しをだぶらせてしまって涙腺がゆるみっぱなしになってしまいましたよ。読み終わって父親に「ありがとう」と言いたくなりました。恥ずかしくてそんなこと言えませんでしたけどね。

あらすじは単純なもので、心臓病で手術をしても助かるかどうかわからない母親を神の手を持つといわれる属者のいる病院まで連れて行く物語です。連れて行く男、安男はその母親の末っ子で、兄達と違ってバブルがはじけて自分のやっていた会社をつぶしてしまい、社会でしっかりと成功した兄たちに疎まれながらも、全然母親の世話をしようとしない兄たちに意地を張り通して自分で母親を病院まで連れて行きます。この作品では社会的成功者や権威をもつものと失敗した者と対比して書いてあり、その書き方が、物語の陰影をはっきりさせています。ああ。こういう風に書くとおもしろくない物語のようになっちゃうね。自分の文章力のなさを実感してしまう。

安男は奥さんと子供にも三行半をつきつけられて、養育費を払って自分の生活するお金もないような生活をしていますけど、マリさんという女性のいわばヒモのような生活をしています。自分は愛してないけれどしょうがなくて一緒にいるような関係です。そのマリさんってのがこんな人いないだろうって感じの人で、安男のことが大好きだから、奥さんとよりをもどした造うが安男が幸せになれるのならそっちの方がいいっって言い切っちゃうんです。この人はそれで造んとに幸せなんでしょうかね。僕は好きな人にはずっと自分のそばにいて造しいし、君には幸せになって造しいんだなんて言う人は信用しないことにしてるんです。自分はそんなことよく言ってるけどね(笑)

で、心臓病の母親は安男が生まれた直後に旦那さんをなくし、それから女手一つで自分の幸せを捨てて兄妹4人を育て上げます。で、その彼女が

幸せはお金で買える。そんなことないっていうのは、贅沢な育ちをした人よ。


って言うんですけど、それと似たような話しを正月に友人としたことを思い出しました。「お金と愛情を比べたら愛情の方が必要」って言ったら、その子は「そしたらこんな風に外食もできないし、もちろん大学に通うことだってできなかったかもしれないよ?それでもいいの?そんなこと言えるのはお金があったからじゃない?」と言ってました。そうだなぁって考えてしまったのですけど。正直言えば両方欲しいのでしょうね。愛情とお金なんて比べちゃいけないものなのかもしれませんね。

まぁこの本を読むと、なにかをするきっかけをつかんだらそれを離さずに、恥も外聞も世間体も捨てて、失敗したときのことなんて考えずにとりあえずはじめてみなさい、と今の僕に教えてくれた本となりましたね。



posted by kbb at 14:14 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(4) | 小説・エッセイ ア行

2006年02月04日

12皿の特別料理-清水義範

「12皿の特別料理」 清水義範

12皿の特別料理久しぶりに試写会に当たってうれしいkbbです。おはようございます。当たった試写会は「県庁の星」って映画なんですけど、予告を見たときからおもしろそうって思ってたんですけどね。一緒に行く人が見つからなくて、探すのをくじけそうになっています。映画は異性と見に行くなんて決まり事つくらなきゃよかった。

さて気を取り直して、今日の作品は清水義範の短編集です。12の料理について小説を通して描いています。12皿といってもおにぎり、カレーなどポピュラーなのからはじまって鱈のプロバンス風、チキンの魔女風なんて見たことも聞いたこともないような料理まででてきます。それぞれの作品中に詳しいレシピがでてくるので参考にしてつくることもできそうです。この本にはほとんどイラストがでてこないんですけど、清水義範は文章だけで料理の作り方を描ききっています。これは彼に文章力があるからなんでしょうね。文章を読んでいるのに、頭の中でくっきりと材料とともに手順が映像化されちゃうのですもの。

料理は僕の趣味といえるぐら料理をつくるのが、もちろん食べるのもだけれど、大好きなんです。だからこういう本を読むと自分でつくりたくてうずうずとしてしまう。"鱈のプロバンス風"という作品は別れた夫婦のお話で、奥さんがよく作っていた料理をどうしてもつくりたくなった旦那が電話で作り方を訊くところから物語は進んでいきます。奥さんも久しぶりに作ってみようと思い立ちタイトルの料理をつくるのだけれど、何か足りない。そこではたと気付くのが

結局料理というのは、ひとに食べさせたいと思うから、やる気もわくものなのだ。作ってうまいと言って食べてくれる人がいれば、喜びが味わえる。


うんうん。ほんとそうだよね。自分一人の分をつくるのだったらなんだか気が滅入ってくるけど、誰かのためにつくるのだったら喜んで作っちゃうもの。それが自分の愛する人ならなおさら楽しいだろうな。鼻歌まで歌っちゃったりしてね。

"おにぎり"を読んでいて思い出したのが母がよく作ってくれたものだった。それは厳密に言えばおにぎりじゃなくて太巻きのようなものだったのだけれど、運動会とかサッカーの試合なんかのときによくつくってくれてそれは自分の小さかった頃を思い出させてくれる。それは、長めのソーセージをフライパンで焼いて簀巻きにのり、ご飯、大葉をしいて巻くという簡単なのものなのだけれど、これがめちゃくちゃうまい。ちょっと長めに作ってアルミホイルで巻いて斜めに切るとなんだかおしゃれだし、手も汚れないしね。しかも温かいときももちろんおしいけど、冷たくなった後も味がしみこんでこれがまた違った味わいがでる。飲んだ後なんかに食べてもうまいんじゃないかと思う。一度ご賞味あれ。


posted by kbb at 10:18 | 東京 ☀ | Comment(4) | TrackBack(0) | 清水義範

2006年02月03日

社内犯罪講座-浅川純

「社内犯罪講座」 浅川純

ミ内犯罪講座.jpg節分ですね。もうすぐ春だってのに寒波が来ているみたいですね。関節が痛くて風邪をひいたみたいです。おはようございます。こういう時こそ誰かのぬくもりがほしくなりますね。だから昔の彼女が今日の夢に出てきたんでしょうかね。ばっちりかわいくなっていましたよ。

先日読んだ逆転の瞬間-「オール読物」推理小説新人賞傑作選〈3〉に収録されていておもしろかった浅川純の文庫をブックオフで見つけたので買ってきました。日本株式会社的会社の吉平重機で総務、資材、経理、人事部長達が会社や自分のためにいかに犯罪を犯し、いかにそれを隠蔽していくかがミステリータッチで描かれている短編集。

前回読んだのと同じように、文章に無駄がなくて、さらにエンディングのちょっとした驚きが楽しかったですね。もう15年以上まえに発刊されたものなので、会社の内部の様子や意識などは今とは違うかもしれないけれど、それでも今とは変わらないと思える部分もあるんじゃないかしら。作者の浅川純は日立製作所に18年勤めていたらしく、こういう会社ものを描かせるとうまいのかもしれないね。解説によるとこの本の中からいくつかは翻訳もされて、海外で日本的経営とはみたいな感じで紹介もされているらしいのだけれど、これはずいぶん創作色が強いからこれを信じられても困るなって思ったけれどね。

でも、そのなかで"役得疑惑を避けるために"という短編は今でもちゃんと通用するストーリーだと思った。インサイダー取引まがいのことをして妻の名義で株を買うのだけれど、それが会社に知られそうになって、元妻のしたことですって言えば逃れられると思い、偽装離婚をする。今まで女は家庭を守っていればいいという旦那のために家での生活しかしらなかった奥さんがはじめて外にでて、そこでの楽しさを見つけて結局奥さんの方から三行半をつきつける。そのときの捨てぜりふが

男は仕事が生き甲斐、というのがあなたの口癖ですから、わたしと別れても、何でもありませんよね。


こわいですね。こういう風にならないようにしないとね。

僕が勤めていたところは幸か不幸かこんな大きな組織じゃなかったし、オーナーのワンマン経営的なところもあったので、オーナー自体に魅力を感じていれば理不尽なことも素直に受け入れることができたし、小さな組織だったからこそ意志疎通も早かったけれど、それでもアルバイトさんと上司の間にたって中間管理職的苦労もあったけれど、だからこそ、こういう大きな組織の中間管理職はもっと大変だろうなって想像ができる。しかも、部長ともなればそのまま定年を迎えるかもう一つ上に行くかで大きな差ができるだけに、ミスもできないしね。

現役の会社員の人達はこの本を楽しめると同時に背筋が凍る思いで読み進めることになるのかしら。


posted by kbb at 12:26 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ ア行

2006年02月02日

四日間の奇蹟-浅倉卓弥

「四日間の奇蹟」 浅倉卓弥

四日間の奇蹟なんだか昨日のワインが残っているkbbです。こんばんは。ワインにはアルコール以外になんか人を酔わせる物質が入っているんでしょうかね。

四日間の奇蹟を読み終わりました。500ページの僕にとっては大巨編を4時間で。途中でいろいろと邪魔が入ってびえーーーんとはなりませんでしたけど、読んでる途中ずっとぐしぐし言ってました。浅倉卓弥はこれで「このミステリーがすごい」大賞を受賞してデビューしたらしいですね。文章がうまくて、読みやすいのでどんどんページが進んでしまいました。なんだか彼の文章は図形で言えば角のまったくない球みたいな感じで、なぜか白い紙に書いてあるのに行間からオレンジというか黄色というか暖色の色が見えてきて、とっても暖かくなりました。それに浅倉卓弥の描く女性もみんなかわいらしくて、千織ちゃんもかわいいし、真理子さんだって絶対身近にいたら楽しいだろうな。

脳に障害を負っている知的障害をもつ少女、千織と左手の薬指を一本失ってしまったばかりにピアノが弾けなくなってしまった男、敬輔の物語。千織が一回音を聞けばその音を再現できるという才能の持ち主であることを知った敬輔が少女にピアノの運指法を教えていき、少女の社会復帰のために二人で福祉施設などでピアノを弾いてまわっている。ある日山奥の療養所でピアノを演奏することになり、そこについた日から四日間の奇蹟が始まる。

多分そこで起こる出来事は使い古されたもので、解説に先行作品がなんとかって書いてあったけど、勉強不足なのか、特定の作家の本しか読んでこなかったからなのか、その先行作品がなんなのかは知らない。けどこの作品でなにが一番よかったかって、誰もが誰かのために生きていることなんだろうと思う。千織と敬輔に血縁関係はないし、山奥の療養所もまったく関係のない人たちが互助関係を保って生活している。昨日「そんなバカな!」を読んだからこう思うのかもしれないけど、竹内久美子に言わせると親の愛だの、非血縁者に向ける愛なんてのは遺伝子的には存在しなくて、それはミームの仕業なんて言うけど、実際こういった施設はたくさんあるし、血縁関係のない養子だって人間には存在するし、誰かのために何かをしてあげようって感情や感覚を否定することはできないきがするんだよね。

それにしても、作者の浅倉卓弥は脳についての研究とかをよく取材して、この小説を仕上げていますね。僕も結構専門に近かったからブローカ野とかウエルニッケ野なんてのがなにをしているところかを勉強したけれど、脳の最新の研究事情なんてのまででてきて、この人専門の人なのかしらって何度も表紙見返しのプロフィールを読んでしまいました。


posted by kbb at 20:47 | 東京 ☁ | Comment(2) | TrackBack(1) | 浅倉卓弥

2006年02月01日

そんなバカな!―遺伝子と神について-竹内久美子

「そんなバカな!―遺伝子と神について」 竹内久美子

そんなバカな!.jpgおとといの天気とかうってかわって雨が降り続いていますね。天気の変わり目なのだからしょうがないですね。おはようございます。今日から本格的に中学受験が始まりますけど、足もとに気を付けて自分の力が発揮できればと思います。

さて今日の本はこのサイトでは3冊目となる竹内久美子の「そんなバカな!」です。竹内久美子は進化生物学、特に利己的な遺伝子の観点から人間について考えている人です。でも、今作は今までとはちょっと雰囲気が変わって竹内久美子ってちゃんと動物行動学を勉強していた人なんだなって感じさせてくれます。ミツバチやアリ、チンパンジーなどたくさんの生物の行動を利己的な遺伝子の観点から説明してくれます。今まで利己的な遺伝子についての本はいくつか読みましたけど、この本ほどわかりやすく、うまい文章で説明してくれたものはなかったですね。

ずいぶん昔に「ミーム」という言葉を聞いたことがあって、文化の伝播について遺伝子的に説明する言葉なんですけど、この本を読むまでそんな言葉すっかり忘れていたのですけど、なかなかおもしろい考え方なんですよ、これは。利己的な遺伝子を考え出したリチャード・ドーキンスの言葉なんですけど、文化も突然変異と淘汰の観点から考えるとすんなり説明できます。個体から個体へ模倣を通してコピーされそこでいくらかのコピーミスもおきる(突然変異)。どうでもいい文化は廃れていき、役に立つ文化は残る(淘汰)。遺伝子と比較するとなかなかおもしろくて、伝達の速度は遺伝子に比べてはるかに早く、伝達が生殖を通さなくてもできるので非血縁者間でも起こる。それに突然変異がおこりやすいので多様性が生まれやすい(伝言ゲームを考えれば早いですね)。

そして、人間の行動をこの二つの観点から考えればすべて説明できるのってのが彼女(だけではありませんけど)の考え方です。遺伝か環境かなんてよく言われますけど、これはようするに遺伝かミームかってことなんですよね。彼女が言うには、宗教なんてミームが作り出したものだし、これはミームが(遺伝子のように物質としては存在しないけれども)生き残るためにどんどんコピーを増やしていったものだし、そのミームを生み出したのは生存と生殖のためにリーダーを作ることの利点を利用した利己的な遺伝子だったっていうんです。なかなかわかりやすい理論ですよ。ミームを利用して宗教(神)を生み出す方が血縁関係において一番力のあるものをリーダーとするより非血縁者をリーダーとできるのだから効率がいいってことですね。

他にも親の愛、嫁姑問題、少子化問題、それにスポーツや市民運動なんかもこの二つの観点から説明しているんです。もちろん反論したいことや疑問にもつことはたくさんありますけど大筋では賛成できる考え方でしたね。

でも、一つだけどうしても賛成できないのが、コミュニケーションに関する彼女の考え方で、彼女曰く、

コミュニケーションは正確な情報を伝える手段なんかではなく、相手を騙したり、自分の都合の良いように操作するための手段である。

と、いうんですね。たしかにそういう側面もあるのかもしれないけれど、それだけでしょうか。むしろ、生存のために情報を取得するために生まれたけど、たまたまついていた言語の特性を利用して相手を騙したり操作するために利用していると考えた方がすっきりするような気がするんですよね。だからこそ、言語という結構あいまいな記号を通して推測を行い、相互伝達がうまくいかない可能性のほうが大きいにも関わらず人間はコミュニケーションをやめることができないんじゃないかなって思うんですよね。そして、その効果がアリのように体内で生成した匂いによって情報を伝達したり、チンパンジーが毛繕いを通して相手との関係を確認するよりもはるかに効率的だからこそ今でもそのコミュニケーション手段に頼っていると思うんですよね。だって、人間言語は、チンパンジーの毛繕いのように一対一のコミュニケーションじゃないですし(スピーチやマスメディアは一対数え切れないくらい)、アリのように記号と表示が一対一じゃなくあいまいさがあるからこそ、新しい環境がでてきたときにそれを表現することができるんですもの。

今日の記事を読むとkbbもたまにはまじめなことも言えるんだなって思っていただけるかしら(笑)
posted by kbb at 10:43 | 東京 🌁 | Comment(2) | TrackBack(0) | 竹内久美子

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