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2008年08月31日

辞書はジョイスフル-柳瀬尚紀

「辞書はジョイスフル」 柳瀬尚紀

辞書はジョイスフルこんにちは。八月最後の週末ですが、なんだかもう秋が始まったって言う感じの陽気ですね。朝晩が涼しくて昼暑いだなんて一日の中に四季がある感じですね。って喜んでもいられないですよね。日本らしくないですものね。

さて、全然関係のない前置きでした。「辞書はジョイスフル」です。翻訳不可能と言われたジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」の訳者による辞書の遊び方の本です。七年もかけて訳されたらしいのですけど残念ながらこの作品の存在も知りませんでした。今回の作品の中でも「フィネガンズ・ウェイク」の訳しかたというか、翻訳時の苦労などが描かれています。「フォネガンズ・ウェイク」自体が英語での言葉遊びを多用している作品のようで、柳瀬さんがいろんな辞書を引き引きしながら日本語の海のなかからちょうどよい貝殻を探してきてそれの中にヤドカリを一匹一匹いれるような作業に七年も費やしたように感じ取れました。

でもそんな貝殻都合よく落ちているわけもなく、国語辞書から英語辞書はもちろん、漢字辞典なども駆使しながら広大な言葉の海の中から探したようですね。こういう努力のできる人っていうのが、翻訳者なのかもしれないですね。

さて、中学、高校の頃は通学時電車の中で英語の辞書を「読んで」いた僕ですが、辞書って結構おもしろいですよね。もちろんそれは英和辞書に限らず国語辞書でもなんでもいいのですけど、こんな言葉あったのかぁとか、こんな言葉にこんな意味が?とか、こんな例文誰もつかわねぇよなんてつっこんでみたりして。いろんな楽しみ方があると思います。

もちろん日本語のすべてを使いこなせる人なんていないとは思いますけど、少しでも多くの言葉を使えるようになりたいと思うのは、誰もが感じることでしょうね。それのためにも少しでも多くの辞書を読むのがいいのでしょう。

そんな堅苦しいことを考えなくても、仕事中に辞書で調べ物をしていると見せかけて、辞書や辞典を読みながら暇つぶしなんてことをしている人もきっといるでしょうね。ってかここにいるんですけどね(笑)




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2008年08月30日

ゴミの定理-清水義範

「ゴミの定理」 清水義範

ゴミの定理こんばんは。

先日すごいニュースを見ました。三井化学が二酸化炭素からプラスチックを作るための実証実験プラントを作るという物でした。技術はもうほぼできあがっていて、あとは大規模にできるかどうかって段階まできているようです。
原油価格高騰で石油から作られるプラスチックの価格は現在高騰しているそうですけど、大気中にいくらでもあってしかもみんなからの嫌われ者の二酸化炭素から誰にとっても役に立つプラスチックがつくれるとなれば夢の技術なのかもしれないですね。

でももしこの技術が確立されたら、今よりももっと安価にプラスチックが作れるようになるのではないでしょうか。安いとなったら今よりももっとプラスチックの消費が増え、土に埋めても何百年もそのままの状態を保つプラスチックが増えて廃棄の問題が解決されないということにはならないのでしょうかね。それともプラスチックに似た全然違う物質で廃棄しても二酸化炭素に戻るものになるのでしょうかね。もしそうならば、本当に夢の技術なのかもしれないですね。原油の消費量も減るってことになるでしょうしね。

フジ産経ビジネスアイ8/26「CO2からプラ原料 化学各社 脱石油に向け加速 」

そんな風に二酸化炭素もプラスチックも、人間でさえも、人間にとって不要となれば「ゴミ」と扱われてしまいますけど、そこのところを鋭く考察しているのが清水義範の「ゴミの定理」です。

ある数学者が書いた論文という体裁となっておりますが、清水義範の鋭い見解がうまく描かれています。そこにはいくつかの数式がかかれていて、文章に説得力を持たせています。曰くすべての物質はゴミになりたがっている。物質がゴミではない状態であるためにはエネルギーが必要である。よってゴミとなるのに必要なエネルギーをA、ゴミでないものであるのに必要なエネルギーをBとすると
A<B
となる。
整理整頓されていればそれはゴミだとみなされない。よって
G×S=1 Gはゴミ、Sは整理整頓、定数1は地球上の全部物質を表す。

なんて、なんてアホなことを考えるのでしょうかね、この人は。たしかにその通りだけど、それをまじめにふまじめに一生懸命こんなことを考えている彼がおもしろい、なんて思いながら読んじゃいました。しかも極めつけの数式がこれ。

G=aD二乗-k
これはゴミの量を表しているのですけど、Gはゴミの量、Dは主婦のだらしなさ、aは定数、kは夫の几帳面さ。ちゃんと夫の几帳面さを数式にいれて、整理整頓がゴミを減らすという数式とも整合性をもたせているところが細かいでしょ。

こんな風に作家までもまじめにふまじめに考えちゃうほど環境問題は危機なんでしょうね。ここ最近は毎晩雷雨でなんだか熱帯のどこかの国のスコールのような雨が降っています。これも地球の環境が変動している証拠なのかもしれないですね。せめて雨に流されないように必死にどこかにしがみついておこうと思います。




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2008年08月25日

ま・く・ら-柳家小三治

「ま・く・ら」 柳家小三治

ま・く・らこんばんは。

土日を使って、夏の最後の思い出を、ということで友人11人と一泊で九十九里浜に行って来ました。初日はあいにくの天気で浜まで行ったはいいものの、寒くて誰も水着になろうともせず早めに切り上げてバーベキューの食材とお酒を大量に買ってさっそく飲み会スタート。いっぱい笑って、おいしい食事をしてきました。伊勢エビやハマグリ、サザエっていう地元の食材も焼いていいおつまみでした。といっても、貝をそこまで好きではない僕はその喜びを感じることは無かったんですけどね。

そして二日目、昨日のリベンジだ!とばかりに浜に行ったら前日よりも暖かくて水着の美女がいっぱいいる!前日には二〜三人しかいなかったから大違いです。といっても10人ぐらいしかいなかったんですけどね。そこで海を楽しんでいたら一緒に行った友人がボディーボードを持ってきていました。こんなの初めて(*/∇\*)キャと言うわけで初の波乗りをしたかったんですけど、他の友人はいっぱい波に乗っているのに、俺だけできない・・・。何が違うのかさっぱりわからないまま、黒い雲が空に広がっていきその日も終わってしまいました。その日初めてやった友人は人生で二番目に楽しいものを見つけたっていうぐらいはまってしまいました。うらやましい限りですね。何事もうまくいかないと好きにはなれないものですものね。

趣味はいくらでも多い方がいいですけど、不器用な僕にはなかなかそうはいかないみたいですね。今日の作品は趣味をたくさんもっていることで有名(らしい)柳家小三治の「ま・く・ら」です。彼は人生全てが趣味で、バイクや音楽が大好きそして職業である落語ですら趣味っていっているぐらいらしいです。きっと落語が大好きなんでしょうね。

彼の落語は話のはじまりであるまくらがうまいことでも有名らしいです。落語よりもまくらの方がうまいなんていわれちゃうぐらいです。彼のそのまくらばかりを集めた作品集になっています。彼の高座を録音したのを書き起こしたのか、口語体で書かれていてとっても読みやすく文章に思わず入り込んでしまうこともしばしばで、昼の喫茶店や帰りの電車の中で思わず笑ってしまうこともたくさんありました。さすが話すことが仕事の噺家さんですね。

さて、そんな彼は映画も趣味の一つらしく、映画を字幕なしでみたい!というわけで50歳を過ぎてアメリカに一人で留学に行きます。しかも、日本で何の準備もせずに直接語学学校に行って今日からいれてくれ!なんて普通の人にはない行動力でもって、何事も切り開いていく彼の行動が一つのまくらとして描かれています。生き生きと向こうの人を描いたり、自分の行動を描いたり。落語聞きにいきたいぜ!なんてすっかり宣伝に乗っちゃっているのでしょうかね。今度新宿末廣亭に行って来ようと思います。

作品の最後は弟子の真打ち披露での口上でしめられています。弟子なんて他人なのに、それにそそぐ彼の愛情が手に取るようにわかります。笑わせた後に泣かせるなんて、彼はいっぱしのエンターテイナーですね。

趣味をたくさんもてば彼のようになれるとは思えないけれど、少しは近づけるのですか。波に乗れないからってめげずにもう少しがんばってみようかしら。なにごとも好奇心を忘れるなってことなんでしょうね。いつも悩んでいるこのブログでのまくらも趣味をたくさん持てば少しはうまくなれるのでしょうかね。




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2008年08月22日

男のための自分探し-伊藤健太郎

「男のための自分探し」 伊藤健太郎

男のための自分探しこんばんは。

昨日は日本のソフトボールが金メダルをとりましたね。表彰式の中継まで見ていましたけど、悔し涙あり、すがすがしい笑顔あり、やりきった笑顔あり、胸をはってメダルを受け取る選手あり。涙が出てきてしまって困ってしまいました。それに引き替え、野球はどうしちゃったんでしょうかね。最後の野球競技だから絶対金メダルをとると周りも盛り上げてきたせいか、日本は余裕で金メダルをとるんじゃないかって思って見ているからかもしれないですけど、点が取れないという不甲斐なさが目についてしまいますね。もちろん選手たちはがんばっているのでしょうけどね。

それにしても、今回のオリンピックは女性選手の方が活躍、注目されている気がしてしょうがないですね。バレーも女子の方が強いですし、ソフトボールも金メダルとりましたしね。男はもっとがんばらないといけないですね。ただでさえ男性よりも女性の方が生物として強いんですからね。

さて、そんな男たちに捧げる、男の生き方が書かれた作品「男のための自分探し」です。著者は東大で哲学を専攻した人。タイトルから想像していたのはくだらない生き方指南本かなって思ったのですけど、哲学的見地から男の生き方を描いた、むしろ男に限らず女性にも読んで欲しい、そんな本になっています。

内容はといえば、すっごい勉強している人が書いているなぁって感じです。まぁ哲学といわずどの学問もそうですけど、特に哲学は哲学学者がいっぱいいるほど、過去の難解な思考や思想の軌跡を追わないとスタートラインにも立てないような学問ですから、これだけ知っているのはまぁ当然なんでしょうね。でも、筆者の興味はいかに幸せに生きるかに絞られています。そしてそれを哲学的に、問いを問うところから始めます。そして幸せになるための、自分探しの目的とは、生きる目的を探すことだという結論に至ります。しかしこれだけでは、問題の解決にはなりません。生きる目的とは何か。それはやっぱり自分で常に問い続けていかなければならないものなのでしょうね。

ニーチェもウィトゲンシュタインもパスカルも誰もが探し求めた自分、幸福。それがもちろんこんな簡単に書かれた本をよんだぐらいで見つかるわけではありませんけど、それを探し求めることについてもういちど考えさせてくれる良書となっているのじゃないでしょうか?

一つおもしろいと思ったのは、国際的な調査で、「あなたは幸福ですか?」と聞いた質問。いろいろな属性にいろいろな質問をしたけれど、どれくらい幸せですか?という答えを変えた要素は一つだけだったようです。それは、その人が結婚しているかどうか。結婚している人は未婚の人の二倍ほども「とても幸せだ」と答える人がいたそうです。決して新婚夫婦にだけ聞いた訳じゃないことを考えるとなかなかおもしろい結果になっていますね。結局人間は一人では生きられないってことなのかもしれないですね。自分も早く見つけないと、って結局自分探しっていうよりかは相手探しって結論になっちゃってませんかね?(笑)





男のための自分探し
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書評/ライフスタイル



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2008年08月21日

参加型猫-野中柊

「参加型猫」 野中柊

参加型猫こんばんは。うちには犬がいます。ミニチュアダックスフンドのボビー君です。このブログでネットデビューもしました。もうおじいちゃんで15年も生きてりゃ目も耳も悪いし、歯槽膿漏なのか、口は臭いしです。でも食欲は若かったころよりもあるんじゃないかしらってぐらいなものです。先ほども焼いた鶏肉をあげたのですけど、お皿を置くや否や飛びついてきて、まだまだ熱い鶏肉をハフハフいいながら食べていました。食べ放題の焼き肉屋へ腹すかせて行ったわけじゃないんだからさぁ、なんて思いつつ、でもまぁおもしろいのでずっと見ているんですけどね。でも小型犬なので、餌の量も少なく、あっという間に1分も経たないで食べ終わってしまって、もっとくれよぅなんて顔で見上げられちゃうんで困っちゃいますよね。もう歳で、腰もそんなによくないのだから、少しは自重しなさいと思いつつ、もう先も長くないのだから好きにさせてやりたいなんて思っています。

うちにはあと二匹、犬がいたのですけど、そいつらは数年前に亡くなってしまいました、中型の頭のよい九太と体ばっかり大きくてあほな行動ばっかりやっているのだけど、僕になついて、家に帰るたんびにそのでかい体に飛びかかられて押し倒されそうになっていたゴールデンレトリバーのバロンちゃんです。二頭とも長生きしたので、生命を全うしたのだと思っていますけど、やっぱり未だにペットロスっていうんですかね、思い出して悲しみに押しつぶされそうになってしまうときがあります。その瞬間はふとやってきて、駅のホームを歩いているときや、会社で書類を読んでいるとき、スーパーで半額になったお刺身を選んでいるときなんかにふとやってくるその感情とやっと最近仲良くやれるようになってきました。

でもまた大きな犬が飼いたい。そう思います。

さて、そんな犬派の僕にはいまいち楽しめなかったのですけど、猫派の人はきっとよーくわかるんだろうなぁって思わせてくれる作品。野中柊の「参加型猫」です。タイトルの由来は本文を読んでいただくとして、作者の野中さん。本当に美人さんなんですよ。ネットでイメージ検索でもしていただければわかりますけど、僕の好み、まぁ好みは人それぞれなので美人さんって思う人がどれだけいるかはわからないですけど、ストライクゾーン内角低めにずばって感じで、打ちたいんだけど手も足もでない、ってそんな感じの美人さんです。目の前にいてもきっと声なんてかけることはできないでしょう。

で、この人、誰かに似ているなぁってずっと思っていたんですけど、昔つきあっていた女の子にそっくりなんですよね。卵形の顔の輪郭や耳の形、笑ったときの口の開き方がそっくりなんですよ。もちろんプロフィールの写真なんてきれいに見える表情をとっているもんなんでしょうけどね。だから一度飲みに行って真っ正面から笑顔で見つめ合いたい。そんな風に思っています。

でも、なぜかわからないけど、僕には人の写真をみると現実の人と相当違う風に見えるんですよ。目の前で見ているときは、すっごい美人さんだなぁなんて思っているのに、写真になっちゃうと、あれ?こんな顔だったっけ?って思っちゃう。写真なんて一瞬を切り取っちゃうものだから、一秒前の笑顔と一秒後の笑顔がつながっていないから、そうおもっちゃうのでしょうかね。

野中柊も同じようなことを今回の作品で言っています。

カンキチくんの顔を見るたびに、どうして、私の肉眼に映るあなたの顔と、鏡の中のあなたの顔とは違うんだろうって思ってた。


鏡と写真の差こそあれ、何かを通してみるっていう共通点があるような気がするんですよね。同じようなところに不思議さを感じられる野中柊さんとなら仲良くやっていけると思うのですけど、どうなんでしょうかね。でも彼女は現在ニューヨークに住んでいるらしいので、一緒に飲むためにはまず海を越えないといけないんですね。愛は障害が多いほど盛り上がるって言いますからちょうどいいかもしれないですけどね(笑)




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2008年08月20日

六枚のトンカツ-蘇部健一

「六枚のトンカツ」 蘇部健一

六枚のトンカツこんばんは。

毎日暑いですねぇ(ってここ最近は涼しいですけどね・・・)。そんな暑い夏に負けないようにビタミンBがいいみたいですよ。そう豚肉に多く含まれているあれですよ。そういうわけでみなさん油っこいからいやだなんて言わずに揚げたてのトンカツを食べに行きましょう。本当においしいトンカツや天ぷらはまったく油っこさを感じさせないものですから、胃にもきっとやさしいはずですよ。

さて、むりやりの前フリでしたけど、そんなトンカツがタイトルの「六枚のトンカツ」です。蘇部健一という人の作品です。この作品、講談社メフィスト賞というミステリの新人賞という枠組みの賞なんですけど、この賞をとっているこの作品。確かにミステリといえばミステリなんでしょうけど、それよりも作者はくだらないギャグの方にこそ力を入れているのではないかって思えるぐらい、毎ページといえるぐらいつまらないギャグがでてきます。もちろんくだらないとかつまらないとかいいつつも、思わず笑っちゃうようなものもあるんですけど、これでもか、これでもかって出てこられると少し食傷気味になっちゃって、最後は全然笑えなくなって背筋が寒くなって暑い日にぴったりなんて落ちもつくんですけどね。

さて、14の短編が収められていますけど、どれもこれもトリックがでてきて、よくこれだけ考えられるなぁって思います。まぁトリックもそんなのあり、なんてのもあるんですけどね。特に"しおかぜ17号四十九分の謎"なんて、びっくりさせられてしまいました。ここで言えないのが辛いところですけどね。

トンカツだって食べ過ぎなければ夏に勝てるものを食べ過ぎたばっかりに逆に体をこわすなんてこともありますものね。おもしろいギャグも腹八分目にしておきなさいってことなんでしょうね。僕も少しは親父ギャグを控えないといけないですね、なんて反省させてくれる作品でした。




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2008年08月19日

愛妻日記-重松清

「愛妻日記」 重松清

愛妻日記こんばんは。

やっとたまってた本がなくなりまして、これからは普通の更新ができると思うとうれしい限りです。といってもまたすぐにためちゃうのでしょうけどね。この性格をどうにかして直したいなぁ。

男がすけべなように、この性格はきっと一生直らないんでしょうけどね。そんな男のスケベ心、性欲が前面に押し出されている物語、重松清の「愛妻日記」です。

最初匿名という条件で書いた官能小説にはまってしまった重松清がその後書き続けた官能小説が6編収録されています。

どれもこれもエロイ。この一言につきます。でもそのエロさのほとんどがAVっぽくって途中から読むのに疲れて来たのも事実です。人の想像できるエロなんてこんなものなのかしらって思っちゃいます。スカトロがあったり、複数プレイがあったり、縛ったりとどれもこれももう使い古されてきたものばっかり、その奥にある愛情なんかが全然見えてこなかった。ただただエロの洪水に流されそうになっただけでした。

でも最後の"ソースの小壜(こびん)"だけは違った。これも複数プレイのお話なんだけど。しかもネット上で知り合った見知らぬ男たちに妻を犯させる話。これだけが、他の話とちがって、セックスの裏側に見える二人の愛がしっかりと描かれていた。結局セックスなんて、それだけを楽しんでいても最後は飽きてしまう物なんでしょうね。どんなに過激なことをしていったとしても、二人が抱き合っているのが一番幸せなんだと思う。過激なプレイにその愛情を感じる道具を求めてしまうことはとっても悲しいことなのかもしれないけれど、それでも二人がお互いを求めていればそれでいいのかな、なんて思えるようなお話に仕上がっていました。

自分はこんな風なセックスをしたいとは思わないけれど、やっぱり誰かと抱き合いながら微笑んでいたい。これもやっぱりスケベ心が僕に思わせてるんでしょうかね。まずは誰かと深く愛し合うところから始めないとだめなんでしょうけどね。




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2008年08月18日

ラジ&ピース-絲山秋子

「ラジ&ピース」 絲山秋子

ラジ&ピースこんばんは。

さて昨日の問題ですが、答えは反転させておきますので、ドラッグしてお読みくださいね。

(ここから)偉い順に海賊をA,B,C,D,Eとする。
まずEに一枚の金貨をあげる。残りの三人は自分の取り分が多くなるので賛成するため、親分は殺されない。
Dに金貨を一枚あげる。残りの二人は自分の取り分が多くなるので賛成するため、親分は殺されない。
Cには金貨を一枚もあげない。残りの三人は賛成する。D,Eは自分より少ないので、Bは自分の取り分が増えるので。
Bにも金貨を一枚もあげない。自分よりも取り分が少ないので、D,Eが賛成する。
残りの98枚が親分の取り分となる。
(ここまで)

ね、簡単でしょ?言われてみれば確かにそうだよなぁって感じですよね。中間管理職が一番損するってことなんでしょうね。って自分よりも取り分が少ないからって親分が一番取り分が多くなったら賛成もできない気もしますけど、きっと心の大きな子分たちなんでしょうね。

そんな風に平和になんでもかんでも済めばいいのでしょうね。そんなピースがつまった作品「ラジ&ピース」です。大好きな絲山秋子の最新作ですね。

相変わらずのスピード感あふれる物語にノンストップで読み終えちゃうのがもったいない世界が広がっています。ラジオのパーソナリティを務める野枝ちゃんが主人公。自分のことが大嫌いで、もういい歳なのに自分になじむことができない。そんな彼女が選んだ仕事はラジオのパーソナリティ。リスナーからは心をさらけ出すメッセージがいっぱいくるけど、どうしてそんなことができるのか不思議でしょうがない。そんな野枝が仙台からそこよりも田舎の高崎の地方FM局に転職してきた。そこで出会う人々やリスナーとの交流。

そんなことが描かれている表題作"ラジ&ピース"です。

彼女は自分を嫌いでしょうがないわけだけど、どうしてそんな人がラジオのパーソナリティを志望するのだろうか、なんて思いつつも、実はそんな自分をあきらめきれないのではないだろうか、なんて思いながら読んでいくと、いくつかフムフムなんて思うところもあって、なるほどなぁって感じの物語に仕上がっていました。

併録作"うつくすま ふぐすま"は上から読んでも下から読んでも同じ名前の「ナカノカナ」が主役の物語。男なんてどうせ飽きてしまうもの。そんな風に思いながら慎一郎とつきあうカナの前に現れた同姓同名の女の子、「ナカノカナ」。自転車に乗れない彼女と一緒にプジョーの自転車を買いに行く。でも自転車屋さんから乗って帰ることのできない彼女のために一緒に公園で練習をする。

たったそれだけのあらすじの中に彼女の心の動きがはっきりと描かれている。すっごい短い物語なのに、いつまでも離れたくない、そんな風に感じさせてくれる。

うーん。やっぱり絲山秋子の作品にはずれはないですね。

でも、上の文章を読み返しても結局自分がこの記事で何を伝えたいのかさっぱりわからないですね。何事も好きな物を伝えるのは難しいものですよね。試験の答えは言われればいくらでも理解できるのにね。やっぱり文章を生業にしている作家さんってすごいですよね。それとも距離感をもって物事と接しているから伝えられる文章を書くなんて芸当ができるんでしょうかね。





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非公認 Googleの入社試験-竹内薫編

「非公認 Googleの入社試験」 竹内薫編

非公認 Googleの入社試験こんばんは。本日五回目の更新です。確変に突入した感じですね。おっと、いけないいけない。もうパチンコは卒業したんです。だから、二度と僕を誘わないでくださいね。わかりましたか、そこの君。

さて、確変で五回大当たりが連チャンする確率はどれくらいですか?なんて問題は簡単すぎてでないであろう、Googleの入社試験が集められた作品です。タイトルにもあるとおりGoogleからは問題を提供してもらえなかたようですが、ネット上で試験を受けた人たちが公開している問題を集めた本のようです。ネット上で公開されているだけあって、その解答はトンチンカンなものも多く、深夜番組「たけしのコマ大数学科」にも出演している編者の竹内薫が模範解答をつけています。

解答者もIT技術者や数学科出身塾講師、物理系大学院生、肉体系スポーツインストラクターなど多種多彩で例えば答えが一つにきまらない問題「8歳の甥に『データベース』の意味を説明しなさい」なんて問題に興味深い解答が集まっています。

でも、有名なフェルミ推定の問題の応用編「世界にピアノの調律師は何人いる?」なんて問題に編者の竹内薫はアメリカ人に出した問題だとしたらイジワルだなんて言っているのを読んで大丈夫かしらって心配になってしまったのも事実なんですけどね。

そういうのがあったとしても、もちろんおもしろい問題はいっぱいあります。

「偉い順に5人の海賊がいます。海賊の親分は100枚の金貨をどうやって分配するかを決める権利があります。でも、残りの海賊たちが(分配が行われる毎に)投票をして、賛成が半分より少ない場合、親分は殺されます。親分が、自分の分け前をできるだけ多くしながら、生き延びるためには、どういう分け方をすればいいでしょう?(ヒント:誰か一人が金貨の98%をもらうことになります)

結構頭を悩ます問題ですが、答えを聞けばそういう風に考えればいいのね、って誰もが納得してしまいます。この解答明日か明後日にこのブログで発表しますのね楽しみにしていてくださいね。

さて、パチンコに行かないことは、行くよりも確実に得をしますって理論的な説明をしてもらえれば二度と行く気なんて起こさないんですけど、意志の弱い僕はついつい足が向かってしまいます。Googleさんどうかお願いだからそんな問題の答えを検索出来るようにしてくださいな。




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2008年08月17日

太陽の塔-森見登美彦

「太陽の塔」 森見登美彦

太陽の塔あぁ、もうこんな時間なんですね。時が経つのはずいぶん早いですねぇ。これも年をとった証拠なんでしょうかね。

生後一日の赤ん坊にとってその一日が人生の全てである。生後二日になるとその一日は人生の二分の一になる。成長していくと、その密度がどんどん薄れていく。だから時間が経つのが早く感じるなんて言葉をどっかで聞いた気がするんですけど、毎日毎日をなんにもせず、記憶に残るようなことをせずに生きていてもやっぱり毎日の密度は薄くなっていくんでしょうかね。

さて、森見登美彦の「太陽の塔」です。最近「夜は短し、歩けよ乙女」が売れているようで、本屋さんでよくみかけますね。タイトルに惹かれて一度読んでみようなんて思っていたときに友人がおもしろかったから読んでみろとこっちを勧めてくれました。

なんていうか、とっても躁的な文章なんですね。一気に思い切って書き上げたってことが感じ取れるような文章でした。荒削りとでもいうのでしょうかね。デビュー作だっていうから、その後の作品は編集さんがうまく舵をとって抑えた文章になっているかもしれませんね。だとしたら彼の作品は買いかもしれません。だってそんな躁的な文章は元気じゃない僕には少し辛かったにしても最後まで読み通すことができたんですもの。しかも楽しみながらね。

以前アメリカを旅行したときにアトランタで泊まったユースホステルで二段ベッドの上に寝ていたアメリカ人から誘われたことがあります。誘われたと言えばもちろん、あれですよ。こっちへおいでよ。なんていうからそこになにがあるの?って鈍感な僕は聞いていました。すると彼はこう答えました。

「ファンタジーさ」

その瞬間、背筋を走る悪寒とともに彼の意図にやっと気づいた僕は、タバコを吸ってくると部屋を飛び出して、彼が寝るまでの時間を外で過ごしていました。今となっては笑い話ですけど、当時の僕はきっと必死な顔をして部屋を飛び出していったことでしょうね。

この小説は「ファンタジーノベル大賞」をとっているようですが、決してそっちの世界のファンタジーでもなく、日常に潜む、頭の中に潜むファンタジーが描かれていて、自転車に乗りながら、街を歩きながら、酒を、コーヒーを飲みながらこんなこと考えているなぁ、俺もなんて思いつつ読み進めていくことになりました。この紹介じゃぁファンタジーというより妄想って聞こえちゃうかもしれないですね(笑)。でも、妄想小説って名付けてもいいぐらい、頭の中のとりとめもない言葉が次々と出てくるんですもの。頭の中もさっぱりして、日曜の昼下がりに時間を持てあましてビールを飲みながら読むことをおすすめしますよ。決して地獄の満員電車の中で化粧臭いOLをにらみながら、にんにく臭い口臭をまきちらす目の前のサラリーマンをにらみながら読まないことをおすすめします。




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ハチ公の最後の恋人-吉本ばなな

「ハチ公の最後の恋人」 吉本ばなな

ハチ公の最後の恋人こんばんは。さてこの三日間の遅れを取り戻すべく、鋭意更新中です。まとめてエイヤってやっちゃわないと、たまっていく本のプレッシャーにやられそうなんですもの(笑)

部屋の本棚に「キッチン」「白河夜船」「うたかた/サンクチュアリ」とあるのに、まったく記憶がない吉本ばななの作品、「ハチ公の最後の恋人」です。

こんな文章を書く人なんだぁ、となんだか初読の作家さんのような感じで読み始めましたけど、どんどんと話に引き込まれていき、さすが吉本ばななだなぁ、なんてまったくわかっていないくせに思ってしまいました。

宗教家の祖母から予言されたハチ公との出会い。実際にそれが起こり、ハチ公の最後の恋人となるマオ。ハチ公っていっても決して犬ってわけではなくて、立派な人間。しかもインドで里子に出されてたまたま日本に帰っている、一人の男。彼はこれから修行僧としてインドに帰る。インドで禁欲生活を送ることになるハチにとって、だからマオは最後の恋人となる。

この作品、言ってしまえば男と女の出会いから別れまでを描いた作品といえる。そこにはもちろん様々なドラマがあり、紆余曲折があるのだけれど、この二人のそれはあまり描かれることがない。なぜならば、二人が別れることは最初から決まっているから。マオはハチ公の最後の恋人になることをきめるけど、ハチがマオにとって最後の恋人になるとは祖母は予言していない。そういう言葉の一つ一つを大切に生きていくマオ。

日常が淡々と、もちろん途中に小説的なイベントも起こるのだけれど、それもさらりと描かれていて、テレビのドラマやそこらの恋愛小説のようなドタバタはない。そこがいい。無理に山あり谷ありの人生を描かなくても、そんなのは実生活にありふれているから十分ってことなのかもしれないね。それが吉本ばななの良さなのかしら。本人が公式サイトで語っているように「デッドエンドの思い出」が本人にとって一番印象に残っている作品らしいので、次はそれにしよう。噂によると、救いようのない人生が描かれているらしいのだけれどね。落ち込んじゃったりしちゃったらいやだなぁ、なんて思って積ん読中の棚からおそるおそる取り出してみることにします。




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ランチブッフェ-山田宗樹

「ランチブッフェ」 山田宗樹

ランチブッフェこんばんは。本日二度目の更新です。

オリンピックやってますねぇ。今更ですけどね(笑)
昨日は陸上100mで驚異の世界新がでたりしてすごいですよねぇ。人間が100mを、といっても世界で今のところ彼一人ですけど、9秒6代で走れるんですもの。そのうち9秒も切れそうですよね。車や飛行機なんて使わずに究極のエコとしてみんなで走るなんてのはどうでしょうかね。まぁ真っ先に反対するのは体力のない僕なんですけどね。

さて、山田宗樹の「ランチブッフェ」です。「嫌われ松子の一生」を書いた人ですね。実はこれも積ん読の棚にはいっているんですけどね(; ̄ー ̄川 アセアセ

6編の短編が収録されています。僕にとってちょうどよい長さのもので、気持ちよく読めました。

表題作"ランチブッフェ"ですが、小学校の同級生だった四十前の女性四人が一、二ヶ月毎にお昼を一緒にする。その時の会話で成り立つ物語です。アイドルになった同級生の現在の話になり、当時自分たちが何になりたかったかを話す。なりたかったものになれなくてよかったと思う者あり。今からでも遅くないと、決意を新たにする者あり。

どうして、文章のうまい男性作家っていうのは女性の気持ちがよくわかるんでしょうかね。こういう人たちはどっかでインタビューでもしてくるんでしょうかね。それともプライベートでそれだけ充実している女性との生活を送っているってことなんでしょうかね。想像力だけでは決して書けないと思うのですがいかがでしょうかね。って女性の気持ちがわかっているって、男性の僕がいっても説得力は全くないんですけどね。

オリンピック選手たち。甲子園で白球を追いかけている人たち。彼らはこのあと、その記憶だけでやっていけるんでしょうね、きっと。でもそこまでいけなくて途中であきらめざるを得なかった人たち。そういう人たちは今どうしているんでしょうかね。そういう人たちのドラマに、より興味をそそられるのはきっとそっちの方が人間くさいからなのかもしれませんね。

まぁでも一生懸命に汗を流して競技している人たちを見るのもとっても好きなんですけどね。どの国の人も、どの競技の人もみんな精一杯がんばれー。手が痛くなるぐらいテレビの前で手をたたきながら応援しています。





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言いまつがい-糸井重里

「言いまつがい」 糸井重里

言いまつがいこんばんは。

昨日までの三日間、韓国から韓国人の友人が遊びに来ておりました。アメリカで知り合い、僕が韓国に行ったときにはガイドをびっちりとやってくれて、そのお返しとばかりに滞在中はずっとつきっきりでガイドをしていました。計画は向こうが立ててくれたので僕はドライバー兼通訳という立場でいられたら気は楽だったんですけどね。ところがその計画というものが食い倒れツアーかってぐらい食べる計画がびっしりとあって、こんなの女の子には無理だと思いつつ、楽しみにやってくる人の気を害するのもいやだからと思っていたのですけど、やっぱりその計画は初日から頓挫してしまったんですけどね。だって、15時に成田についてまず渋谷で寿司をたべて、銀座をぶらぶらしてから天ぷらを食べ、そのあと木村屋のあんパンと有名なお煎餅を食べ、夕飯にまた寿司を食べようとしていたんですもの。

今回、ご両親も一緒にこられて、ご両親は日本語も英語もわからず、韓国語の話せない僕はコミュニケーションをとるのに苦労してしまいましけどね。でも、思い切って日本語で話してみると案外通じてしまうことにびっくりですね。韓国語と日本語は似ている単語も多く、語順もほぼかわらないらしいので、言いたいことさえわかればなんとか通じるものですね。

アメリカで知り合った友人ですが、彼女はここ何年間で日本語も勉強したらしく、用事をこなすぐらいの日本語なら問題なくコミュニケーションがとれるようになっていてびっくりしました。電話で話していても日本人と話しているように感じるほどで、僕も韓国語を真剣に勉強してみようかしらと、思わせてくれるものでした。

今回、日本語で話していたんですけど、ちょっとした日本語の疑問に答えられなかったり、こういう時はこう言うんだよ、なんて日本語を教えようと思っているときに、いかに自分の日本語がいい加減で適当かってとっても思ってしまいました。これじゃあいけないですねぇ。韓国語の前に日本語を勉強しないといけないですね。

さて、そんないい加減で適当な日本語とはちょっと違うもの。でも日常何気ない時の言い間違い、聞き間違いを集めた本が今回の「言いまつがい」です。前回の「谷川俊太郎質問箱」と同じ「ほぼ日」に投稿されたものを集めた作品です。

言語学では一般的に「プラトンの問題」と呼ばれるものがあります。

言語を習得する過程で入力される言語データは質や量に乏しく、時には言い間違いや明らかな間違いを含むものであり、また個々の環境によって著しく制限されたデータであるけれど、習得された言語が出力される時は間違っている文法が習得されることは滅多になく、その言語集団内では均一的なことばが話される。

この問題を解決するために言語学はいろんな仮説を立てたり猿を研究したりしているわけですが、まさにそのプラトンが問題にした言い間違いのデータが豊富に集められています。

もちろんそういう観点から読んでもおもしろいのですけど、頭を休めるために読むのもとってもいいものなんですけどね。昼休みにいつもの喫茶店で食事をしながら開くことを我慢できずに読み始め、カウンター席で目の前に人がいるのに口を押さえた手の端から声を抑えることができなくて恥ずかしい思いをしてしまいました。人前で読むにはきつすぎる本ですね。

母語を学習する上では、言い間違いなどのデータはエラーとして扱われるからなのか、それが習得されることはありませんけど、外国語となると話は変わってきますよね。他に入力の手段も少ないからなのか、間違ったデータをそのまま言葉として習得されてしまうことが多いですものね。
韓国の友人が間違った日本語を覚えないでいてくれることを願うばかりです。
もっといい先生やガイドさんを紹介してあげたほうがよかったかもしれないと反省しきりの三日間でした。




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2008年08月14日

谷川俊太郎質問箱-谷川俊太郎

「谷川俊太郎質問箱」 谷川俊太郎

谷川俊太郎質問箱こんばんは。夜中のドライブのおかげで更新できなかった昨日のために、今日は豪華二本立てです。

ってか、この作品は本当によかったので、多くの人に読んでもらいたい。

本よみうり堂の書評のページでみつけたこの本のページ。

「どうして、にんげんは死ぬの? さえちゃんは、死ぬのはいやだよ」という6歳の少女の質問に対する回答は、真剣であたたかい。<ぼくがお母さんだったら、「お母さんだって死ぬのいやだよー」と言いながらさえちゃんをぎゅーっと抱きしめて一緒に泣きます>
コラム記者が選ぶ

この書評を読んですぐに注文してしまいました。「谷川俊太郎質問箱」です。詩人の谷川俊太郎がいろんな人の質問に答えている本です。糸井重里主宰の「ほぼ日刊イトイ新聞」という毎日更新されているサイト上で連載されていたものが収録されています。
「谷川俊太郎質問箱」
夏休みこども特別企画ということで、現在も更新されています。

時には優しく、時には厳しく、そして詩のような言葉を使ったり、説教になってみたり。でも、どれもが谷川俊太郎の言葉なんだなぁって、とってもおかしなことかもしれないけれど、そう思わせてくれます。

たとえば
「たわいのないおしゃべりができません」
「谷川さんにとって『大人』とは?」
「おふろに毎日入らなくてはならないのはなぜ?」

こんな質問にまじめに、ふざけながら答えてくれます。

谷川俊太郎といえば、最初に思いつくのが教科書にも載っていた「いるか」

いるかいるか いるかいないか

なんて言葉から始まるこの詩ですが、ネット上で検索すると、この詩を教材にしていかに子供たちに教えるか、なんてページがトップにやってきます。

「一連の中に、動物のいるかは何回出てくるでしょうか?」

谷川俊太郎はこの質問になんてこたえてくれるでしょうかね。

きっと彼らしい、彼にしかできない言葉をくれるのじゃないかしら。



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posted by kbb at 00:58 | 東京 ☀ | Comment(4) | TrackBack(1) | 小説・エッセイ タ行

百鬼園随筆-内田百(ひゃっけん)

「百鬼園随筆」 内田百閨iけん)

百鬼園随筆23時。家に帰ってビールでも飲みながらブログでも書こうかと思っていると弟から電話がありました。

車の鍵を無くしたから迎えに来てほしい。

と。場所を聞くと、沼津の近くということで、片道2時間ぐらいかしらと、次の日仕事にも関わらず迎えに行くことにする。東名で帰省ラッシュに巻き込まれて渋滞にはまる。この時点ですでに一時近く。迎えに出たことを後悔しはじめる。すると、電話があり、正確な住所がわかったから知らせるとのこと。住所を聞くと、松崎だと。

松崎って、沼津の近くでもなんでもないじゃん。中伊豆ですらなくて、そこは南伊豆っていうんだよ、弟さん。ナビに入力すると、到着予想時刻は午前3時半。23時半に家をでているので、単純計算で家に帰り着くのが7時半。しかも渋滞にはまっているので、何時に動き出すかもわからない。仕事に間に合わなくなる予感がして、帰りたくなる。

夏休み中のやつのために、どうして仕事しているやつが睡眠時間を削ってやらなければならないんだと、怒りがふつふつとこみ上げてくるのだけれど、ぶつけるところもなく、ただただアクセルの踏み方やハンドル裁きが雑になっていく。幸い渋滞も早々に抜けて、少しとばしたおかげで、仕事に間に合うように帰ってこれたけど、もう弟の顔もみたくない。

こんなとき百關謳カならどうやって対処したんでしょうか。楽しみながら次の日の仕事なんてほっぽらかして、伊豆を一周でも帰ってきそう。そんな風に感じてしまう、内田百閨iひゃっけん)の随筆集、「百鬼園随筆」です。といっても、随筆ばっかりではなく、小説も入っていてエッセイ嫌いの僕でもいくらでも楽しめる作品集になっていました。しかも解説を川上弘美が書いているなんて言うことなしじゃありませんかね。

さて百關謳カ、芸術院会員に推薦されるのだけれど、断っています。その断り方もまた、彼の性格をよく表しています。その言葉は、知人に預け、芸術院院長に伝えるよう頼んだ手紙に書いてありました。

ご辞退申し上げる。
ナゼカ
芸術院という会に入るのがイヤなのです。
ナゼイヤカ
気が進まないから
ナゼ気ガ進マナイカ
イヤダカラ

この範囲の繰り返しでございます。

そんな手紙を持たされて渡すのも楽しいですが、渡された方もこれじゃあしょうがないか、なんて笑っちゃいますよね。

こうやって笑って生きていきたい。そう思う。久しぶりの伊豆へのドライブだと思えばよかったんですけど、そう思えなかったのは、まだまだ百關謳カの境地にはたどり着けないってことなんでしょうね。




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2008年08月11日

オトナの片思い-アンソロジー

「オトナの片思い」 石田衣良 三崎亜記 井上荒野 栗田有起 大島真寿美 佐藤正午 伊藤たかみ 大崎知仁 角田光代 山田あかね 橋本紡

オトナの片思いこんばんは。

この二日間で5冊の本の感想を書けました。実は手元にあと8冊の感想待ちの本が積んであります。読むべき本も積んであるのに、書くべき本もたまっているってどんだけさぼり症なんでしょうか。今でも少しそういう気配がありますが、これ以上ためるとなにを書こうと思っていたのかすっかり忘れてしまうので少し多めの更新をしていこうと思っています。といってもどうなるかはわからないですけどね。

さて、アンソロジーです。といっても、そこらのアンソロジーと違ってこの作品は贅沢ですよ。石田衣良、三崎亜記、伊藤たかみ、井上荒野、佐藤正午、角田光代などなど売れっ子で実力派の作家さんがどんどんでてきます。しかもテーマが「オトナの片思い」。それぞれの持ち味を生かしながらしっかりと書き上げられています。石田衣良は石田衣良の口振りで、三崎亜記は三崎亜記の世界観で、井上荒野は井上荒野の風景でそれぞれテーマを生かした作品に仕上がっています。

今回の直木賞のインタビューで井上荒野は今まで「島」を書くことができなかった、と言っていた記憶があります。ところがこの作品では"他人の島"という作品を書いています。受賞作を読んだわけではないので、なんともいえないのですけど、もしかして、これが受賞作に関係があったりするかもしれないですね。この作品でも、彼女の持っている「島」への特別な感情がしっかり表れています。

三崎亜記も彼独特の世界なのにそこの日常があまりにもこの世界の日常と変わらない世界が描かれています。影無きものが生活するこの町。町が影無き者を受け入れるようになって時間が経った。隣にすむ影無き者。彼と交流を持つようなったイラストレーターの彼女はだんだんと彼への親近感を持ち始める。そんな二人がいつかすれ違い、離ればなれになっていく。

となり町戦争から比べたらどんどん三崎亜記自身の世界がちゃんと機能してきてますね。これぐらいの長さが彼の世界を書くにはちょうどよい長さなのかもしれないですね。

オトナの片思いってなんだか素敵なだなぁと思いつつ、片思いじゃしょうがないじゃんって思ってしまう僕はまだまだ子供だってことなのかもしれないですね。




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2008年08月10日

All Small Things-角田光代

「All Small Things」 角田光代

All Small Thingsこんばんは。

今までで一番印象に残っているデート。それは、晴海埠頭をみたあとにお台場にまわってベイブリッジに回るような計画的なものでも、東京タワーや六本木、国会議事堂を回るような東京観光的なデートでもない。

学校帰りの彼女を車に乗せて、おなか空いたねぇと言いつつ車の向くまま浅草へ向かい、天丼を食べる。帰りに桜の咲き残った隅田川沿いを歩いて手をつないでもう今では何を話したかも思い出せないようなことを話しながら、門限のある彼女を家まで送りに行く。でも印象に残っているデートを書こうと思って最初に思い出したのがこの出来事。特になにも始まることもなく、終わることもなかった、ただの途中のデート。

そんな普通のデートが人にとって一番大切な思い出になり得ることがよく描かれているのが角田光代の「All Small Things」。

今までで一番印象に残っているデートってどんなの?

そんなところから物語が始まる。登場人物がそれに答えた上で、次の人に別の質問を投げかけていく。

もっともデートとはいえないようなデートってどんなの?
結婚していちばんよかったことってなあに?
自分が自分でなくなったような恋をしたことはある?

短いお話の中でこれらに答えていく、登場人物がでてくる。そして、

恋人と過ごしたどんな時間が心に残っている?

という質問に百人の読者が答える。

それの答えがおよそ、小説らしくない、普通の物語。でも、それぞれの胸にちゃんとそれが残っているのがわかる。

誰にでもちゃんとあるこういう思い出。そのうちの一つを角田光代が小説化してこの作品は終わる。

こういう企画本って大しておもしろくなかったりするんですけど、角田光代が前面にでているせいで、企画本ってイメージも強くなく、こういうのっていいよねぇ、って思える作品に仕上がっています。

昔のことを思い出すのをそろそろやめて、新しい思い出を作りたい、なんて思いつつ長い時間が経ってしまっています。時の経つのは早いものでなんて、当たり前のことを今更いいたくはないけど、どっかで印象に残るデートをしないと、残りの長い人生で思い出せる記憶もそろそろ少なくなりつつあり、飽きてきています。焦りますなぁ。




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posted by kbb at 23:51 | 東京 ☁ | Comment(2) | TrackBack(1) | 角田光代

female-アンソロジー

「female (フィーメイル)」 小池真理子 唯川恵 室井祐月 姫野カオルコ 乃南アサ

femaleこんばんは。最近は花火大会がいろんなところで開催されているせいか、浴衣で電車に乗る女の子が多くて、思わず興奮してしまいますね。あれこそ究極のワンピースですものね。なんの飾りがなくて、女性の体、それこそが最大の飾りであるというかのような布のデザイン。ちょこちょこと下駄の音を鳴らしながら前に出す足。アップにした髪の毛がほつれて、それがかかるうなじ。うーん。どれをとってもいいですね。西洋のドレスには決して出せないエロスが香ってきます。露出が多くないって言うのもポイントなのかもしれないですね。

さて、女性作家が描くエロスの世界という裏表紙のあらすじを読んで思わず手に取っちゃうのは出版社の戦略にひっかかりまくりってことなんでしょうかね。まぁ男だからしょうがない。というわけで、アンソロジー「female」です。小池真理子、唯川恵、姫野カオル子などなど、結構有名どころの作家さんが書いているのがうれしいですね。

室井佑月も書いているのですけど、どうしてもこの人好きになれません。朝のワイドショーで解説だかコメンテーターだかよくわからないポジションでコメントを発していますけど、知性のなさが現れているような馬鹿な話し方をする彼女をどうしても好きになれませんでした。

この作品にでてくる彼女の作品も彼女のまくしたてるような話し方にそっくりの文章で、でも途中まではうまくついていったんですけど、最後の最後でそうはいかないだろう、って感じの終わりでうーん、もう少しだったのにぃ、なんて残念な、それでいてくやしい感じの読後感でした。

そんな室井佑月の話はエロって感じなんですけど、乃南アサや姫野カオル子の作品はエロスって感じで、エロとエロスの違いをうまく言葉で説明するのは難しいのですけど、それは裏ビデオとセックスの描写のでてこないけれど、お気に入りの女の子がでてくる小説。それぐらいの違いがあるのではないかしらと思います。

僕は、毎朝の地下鉄で私服で通勤するOLさんをみただけで、妄想劇場を始めながら興奮しちゃうぐらいなので、もちろんエロスの方がよけいな描写がなくて好きなんですけどね。




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posted by kbb at 00:08 | 東京 🌁 | Comment(2) | TrackBack(1) | アンソロジー

2008年08月09日

卵の緒-瀬尾まいこ

「卵の緒」 瀬尾まいこ

卵の緒こんばんは。
昨晩書いた文章を今読み返すと恥ずかしいですね。酒の力に後押しされて、勢いのままに感情を押し出して書いていますね。自己主張だけの、空虚な文章になっている気がします。

人物と適度な距離を持ちながら著者の感情が前面にでてこない。でも、それがちゃんと現れてくる。そんな文章を書く瀬尾まいこのデビュー作「卵の緒」です。

ぼっちゃん文学賞をとったらしいです、この作品。ぼっちゃん文学賞は青春文学を募集していたと思うけど、こういうのも青春文学と呼べるのかしら、と思いつつもこういう青春もありなのかしらと思わせてくれる作品でした。

主人公の育生は捨て子だ。じいちゃんとばあちゃんにも聞いても顔を背けるだけで否定すらしない。母と二人で暮らしている。母は僕のことを大好きだという。愛しているという。こんなに愛している男は他にはいないという。母がある日、上司の朝ちゃんを連れてきた。育生と同じくらい朝ちゃんはいい男だと、母は言う。

いろんな大人や大人になりきれていないような母親と生活をしながら少しずつ成長していく育生。いや、もうすっかり大人の育生がみんなに成長しているように映っているだけなのかもしれない。

最後のエンディングの言葉。ほんとうに何気ない、どこにでもありふれている言葉なのに、それでもそれが心にいつまでも残っていきます。

さすがうまいですねぇ。母親も朝ちゃんも、育生も池内君もみんな素直だし。瀬尾まいこはこういう子たちをみながら学校の先生をしているのでしょうかね。瀬尾まいこ、大好きです。

ところどころ、教員としてめくじらを立てられるような発言がでてくるけど、そういう言葉の揚げ足をとる保護者もいるんだろうなぁ、なんて思いつつ、そんなモンスターペアレンツには負けないでほしいと応援したくなる作家さんでした。




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posted by kbb at 22:49 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(1) | 瀬尾まいこ

「神」に迫るサイエンス BRAIN VALLEY研究序説-瀬名秀明編

「『神』に迫るサイエンス-BRAIN VALLEY 研究序説」 瀬名秀明編 澤口俊之 山元大輔 佐倉統 金沢創 山田整 志水一夫 瀬名秀明

「神」に迫るサイエンスこんばんは。甲子園が始まっていますね。今年はオリンピックのせいで、前倒しで始まっているそうですね。そんな開会式の直前に発覚した桐生第一高校の野球部の部員による猥褻行為。例年の甲子園の日程ならすんなり出場辞退が決まって、準優勝校が出場することになったんでしょうね。ところが幸か不幸か、日程がそれを許さなかった。理事会でも承認され出場することになりましたね。ところが、昨日こんな記事が新聞にでていました。

読売オンライン2008年8月7日

桐生一高、一般生徒の球場応援を中止…相次ぐ批判受け
 第90回全国高校野球選手権大会に出場する群馬・桐生第一高の野球部員(2年)が強制わいせつ容疑で逮捕された事件を受け、同校は7日の試合で、学校主催による一般生徒の応援を中止することがわかった。

 日本高校野球連盟が大会出場を認めた今月1日、同校は、甲子園球場での応援は自粛し、希望者のみの参加とすると説明していた。ところが、星野栄二教頭によると、それ以降も同校に「なぜ出場辞退しないのか」など批判的な内容の電話が相次ぎ、「事態はより重大と判断した」という。

 甲子園出場の際、同校からはこれまで、1試合あたり約500人の一般生徒がスタンドの応援に参加していた。7日の試合では、教職員や応援団、控えの野球部員ら約90人のほか、保護者約400人がスタンドで応援する予定という。

(2008年8月7日03時07分 読売新聞)


開会式で、文部副大臣があいさつで全国の高校野球ファンのためにがんばってくれと。

でもね、野球をしているのは彼らであって、彼ら自身のためにやっていると思うのです。誰のためでもなく自分のためにここまで練習をしてきて、だからこそ、それを見て感動できるんじゃないでしょうかね。なのに、何様かわかりませんが、わざわざ学校に電話して、出場辞退を迫るなんて、やり方が陰湿だとしか思えません。桐生第一の開会式での入場のときスタンドから起こった拍手。あれこそが全国の野球ファンの気持ちだと思っていたんですけど違うんでしょうかね。
もちろん猥褻行為なんて恥ずべきことですけど、それはそれを起こした個人の問題であって、それを所属にまで責任を広げるのはどうかと思います。もし、所属にまで広げなければならないのだとしたら、同じ日本人として、それを批判する人も批判されなければならない。同じ人間として戦争が現在起こっていることに対して責任をとることはできないでしょう。それと同じように甲子園に行った野球部の人たちはベンチ入りする選手でもない、補欠の選手が起こした事件に対して責任をとらされることはないと思いました。残念ながら桐生第一は一回戦で負けてしまいましたけど、プレーをしていた彼らの胸にはどんな気持ちがあったんでしょうかね。一緒に暮らす仲間が誰も応援にこないスタンドを見上げて自分たちの責任を痛感するのでしょうかね。それとも、人のしたことで自分たちにもこういうことが起こってしまうんだって、その後の人生の対し方に大きな影響を及ぼすことにならなければいいのですけど。これにめげずにがんばってほしい。

なんだか長い前フリになってしまいました。まぁようは人間は脳に生かされているって話しが書いてあるのが瀬名秀明の「『神』に迫るサイエンス」。瀬名秀明のサイエンスフィクション、「BRAIN VALLEY」を科学的見地から検証してみようという企画です。その検証をしているのが、現在の脳科学やロボット工学の第一人者だっていうから、豪華な企画本です。

テーマは多岐にわたっていて、ロボットや脳はもちろんのこと、UFOや臨死体験など、今まで科学からはそっぽを向かれていたであろう分野に関しても触れられていて、現在看護大学に通う友人にここで紹介されていた医学雑誌のコピーをお願いするぐらいまで、知的好奇心を刺激される作品でした。残念ながら「BRAIN VALLEY」は手元にあるものの、未読なので、今度読んでみようと思っています。っていっても分厚い上下の作品を読む気になるのはいつになることやら。

今日は本の紹介というよりは、ニュースって感じの記事になってしまいましたね。それはそれで残念ですけど、まぁ僕も脳には逆らえないので、今日はあきらめましょう。

ではおやすみなさい。





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2008年08月07日

36倍売れた!仕組み思考術-田中正博

「36倍売れた! 仕組み思考術」 田中正博

仕組み思考術こんばんは。

会社にいると毎日のように、営業の電話がありますね。そんな電話があるたびに、もう少しうまくやればいいのに、なんて思いつつ、今忙しいからと電話を切ってしまいます。

そんな営業電話をかけてくる人に思わず、いいものがあると紹介してあげたい本があります。本が好き!経由でいただいた本です。営業マンもいない会社を立ち上げて、電話をかけるだけのパートを雇ってはじめた著者が利益を1億上げる方法を惜しげもなく紹介しています。

彼はタウンページで手に入れた電話番号にダイレクトメールを送っていいですか?という質問だけをします。もちろんその質問の方法も細かい技があってyes・noクエスチョンをすれば答えざるを得なくなるとかですね。

そしてyesの人にだけダイレクトメールを送る。送った相手はそれに少しでも興味のある人だから、その資料を見て購買をする人が多くなる。売れる人に商品を売るっていうのが安いコストで売り上げをあげるコツだってことですね。

この本のテクニックですが、女の子に自分を売り込むのに使えそうですね。まずは飲みに誘ってみる。okをもらった人に、質問形式の会話を続けながら自分のよさを売り込んでいく。最後にメールかラブレターで自分を売り込む。もちろんいつでも連絡をとれる状態にしておく。

回答率は結構高くなりそうですね。この問題はただ一つ。売れる商品が自分ただ一人だけってことですかね。自分が何人もいれば女の子がいくらいても売り続けられるのに、たった一人しかいないから、売り先も一人に決めないといけないですものね。

ってそれが、現代の一夫一婦制ってことなんでしょうけどね。そうやって甘いことばっかり考えているから一人に絞れないんでしょうね。




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2008年08月05日

秘密-東野圭吾

「秘密」 東野圭吾

秘密こんばんは。昨日はすてきな夢をみてしまいました。夢の中で誰かと戦っていて、最後は華麗なかかと落としを決めた!ところが現実にはそんな相手がいるはずもなく、フローリングの床に思いっきりかかとを打ち付けることになりました。おかげで歩くのにも苦労するぐらいの痛みが。。。思いっきりアホなことをしたってことですね。

夢のなかではなにが起きても不思議なことはありませんが、それが実際に起こったらどうなるか。夢でなら死んだ人にも出会えるけど、現実でそれが起こったら。そんなことがうまく描かれているのが、東野圭吾の「秘密」です。

広末涼子主演で映画にもなっているのでご存じの方も多いかとは思いますが、事故で死んだはずの最愛の妻が娘の体を借りて戻ってきたっていうのがあらすじです。小学校6年生の体で戻ってきた妻とのセックスはどうするのか?近所にはどう説明するのか。風呂にはいつまで一緒に入っていいのか。

なかなかどきどきする展開にところどころほろっとさせられますけど、子供から自分をやり直せるようになった妻は主人との生活をとるのか、自分の人生を思い通りにやり直すことを選ぶのか。なかなか問題が多そうですね。

さすがミステリー作家の東野圭吾だけあって、ラストはちゃんと驚きをもって終わらせてくれます。そうきたかぁ、とおもわずつぶやいてしまうような作品になっています。

もういちど自分の人生をやり直せるならどこに戻りたいか、なんて酔っぱらって他に話題がなくなってはじめて持ち上がる話題のように思えますが、実際にそれを考えてみると難しい問題がいろいろ転がっているんですね。

かくいう僕もいろんなポイントに今の自分の脳を持って戻りたいなんて思う時もあるのですけど、やっぱりそれは無理な相談っていうやつで、今を精一杯生きなければなんて思います。

「秘密」で最後の場面で思わず平介に同情してしまったのは僕だけではないですよね?



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posted by kbb at 23:32 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東野圭吾

2008年08月03日

鍋の中-村田喜代子

「鍋の中」 村田喜代子

鍋の中こんにちは。
もう八月になってしまいましたね。毎年同じことを言っているような気もしますけど、時の経つのが早いものでもう今年も残すところあと4ヶ月ですね。2/3がもう終わってしまったということですね。みなさん充実した時間を過ごしていますか。僕の場合は読書だけは充実した時間を過ごせているんですけどねぇ。

さて、あれからもうどれぐらい時が経ったのか忘れてしまいましたけど、中学か、高校の時に国語の授業で読まされた「鍋の中」村田喜代子です。1987年の芥川賞受賞作です。「無名時代の私」で久しぶりに村田喜代子の名前をみかけて随分懐かしくなってしまって、まだ本棚の中にしかっりと残っていた本を手に取りました。四つの短篇が収録されています。

読み始めてもちっとも、読んだ記憶がよみがえってこなくて、実は読んでいないんじゃないかと思って読み終わった"鍋の中"。これまたまったく記憶がない"水中の声"。実験作のような読みにくい文章で途中で投げ出したくなってしまった"熱愛"。なぜか書き込みがあってもしかして、これが国語の授業の課題だったのではないかと思うも、結局内容がまったく記憶に残っていないことがわかった"盟友"です。

芥川賞をとっているはずの"鍋の中"はいまいちでしたが、子供を事故で亡くしてしまった親による地域パトロールの様子を描いた"水中の声"は改めて読むと、ぐっとぐるものがあり学生のころよりかは少しは人の気持ちが想像できるようになったのかしらと思いました。また、スカートめくりをして懲罰を受けることになった塚原とタバコがみつかって懲罰を受けることになった僕のトイレ掃除の様子を描いた"熱愛"は高校のころのなんでもないことに熱くなれたころを思い出して懐かしくなってしまいました。

村田喜代子は何気ない日常を描くのがうまい作家なんでしょうね。自身は主婦をしながらまだまだ高価だったワープロをどこからか安く手に入れて個人誌を発行していたっていうことが「無名時代の私」に書かれていましたが、書くことが大好きなんだろうなぁって気づかせてくれるような文章です。

村田喜代子は今でも文芸雑誌に作品を発表しているようなので、新しい作品も読んでみようかと思っています。

記憶の中からはすっかりと抜け落ちているこの作品ですが、本棚にはしっかりとこの文庫本は残っていました。これが本というものもすばらしさなのかもしれませんね。いつでも手にとって、思い返すことができる。新たな気付きを手に入れることもできる。時が経つのは早いものだし、記憶から物事がすり抜けていくのも早いですけど、いつまでもこうやって新たな何かを手に入れていきたいものです。

ちなみにこの作品集は絶版になってしまっています。下記の作品に"鍋の中"が収録されています。他の作品が収録されている本は見つからないので、図書館でしか手に入らないかもしれないですね。


八つの小鍋

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posted by kbb at 15:56 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ マ行

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