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2008年07月21日

謎の母-久世光彦

「謎の母」 久世光彦

謎の母こんにちは。三連休も終わっちゃいますね。なんだかこの三連休は遊び倒して充実なものになったんですけど、みなさんはどうでしたか?

久世光彦。初めて読む作家さんでした。川上弘美の「センセイの鞄」WOWOWで放送したときの演出をした方です。といってもこの人、本業は演出家ですが、作家としていくつも作品があります。そのうちの一つ「謎の母」です。

川上弘美の原作を映像化した人だから近いところもあるのだろうか、と読み始めましたが、期待を裏切られることはなかったです。といっても文章は全然違うので、何がどう同じって聞かれても困るのですけどね。きっと雰囲気というか、女の子の考え方が似ているのかしらって思いました。

一文一文しっかり読まないと、どっかで乗り遅れちゃうんじゃないかっていうぐら一文一文にしっかりと意味があって、無駄なところが一切ないって感じの文章で頭の中にすっと文章がはいってくるような作品でなかったのが少し疲れてしまうところでした。

物語は戦後すぐの日本が舞台です。母が幼い頃に若い男と家出した、15歳の女学生、さくらが主人公です。ある日小説雑誌で出会った小説を書いている人、朽木さん。自分のことが書かれていると思い、日記を盗み読みされたのかしら、と思わず手紙を書いてしまいます。そこから始まる作家と女学生の交流。子供のような朽木さんを見守る母のようなさくら。

でもやっぱりさくらは朽木さんに恋をしていたんだと思う。彼を自分のものだけにしたい。だけど奥さんも娘も二人いる朽木さんを自分のものにはできない。だからこそ遠くからどうしようもない男、朽木さんを見守るというスタンスに自分を押し込めてしまったのだろうな。

朽木さん、モチーフは太宰治になっています。作品の中でも朽木さんは最後の最後でちゃんと入水自殺をします。さくらと朽木さんの恋物語として読むこともできるし、昭和初期の文学史と読むこともできるようなこの作品。なるほどなぁって最後にはうならされてしまいました。

人の人生をしっかりとモチーフにしてなお自分の表現も作品に入れることのできる才能。それってやっぱり演出家の才能なのかもしれないですね。

戦後の貧しい世界では三連休を充実するなんてできなかったのかもしれないけど、やっぱり人は恋をし、じっくりと生きている。人っていつの時代も変わらないですね。

ちなみにこの作品の解説は川上弘美が書いています。やっぱりちゃんと繋がっていましたね。





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posted by kbb at 14:52 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ カ行
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