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2008年08月17日

太陽の塔-森見登美彦

「太陽の塔」 森見登美彦

太陽の塔あぁ、もうこんな時間なんですね。時が経つのはずいぶん早いですねぇ。これも年をとった証拠なんでしょうかね。

生後一日の赤ん坊にとってその一日が人生の全てである。生後二日になるとその一日は人生の二分の一になる。成長していくと、その密度がどんどん薄れていく。だから時間が経つのが早く感じるなんて言葉をどっかで聞いた気がするんですけど、毎日毎日をなんにもせず、記憶に残るようなことをせずに生きていてもやっぱり毎日の密度は薄くなっていくんでしょうかね。

さて、森見登美彦の「太陽の塔」です。最近「夜は短し、歩けよ乙女」が売れているようで、本屋さんでよくみかけますね。タイトルに惹かれて一度読んでみようなんて思っていたときに友人がおもしろかったから読んでみろとこっちを勧めてくれました。

なんていうか、とっても躁的な文章なんですね。一気に思い切って書き上げたってことが感じ取れるような文章でした。荒削りとでもいうのでしょうかね。デビュー作だっていうから、その後の作品は編集さんがうまく舵をとって抑えた文章になっているかもしれませんね。だとしたら彼の作品は買いかもしれません。だってそんな躁的な文章は元気じゃない僕には少し辛かったにしても最後まで読み通すことができたんですもの。しかも楽しみながらね。

以前アメリカを旅行したときにアトランタで泊まったユースホステルで二段ベッドの上に寝ていたアメリカ人から誘われたことがあります。誘われたと言えばもちろん、あれですよ。こっちへおいでよ。なんていうからそこになにがあるの?って鈍感な僕は聞いていました。すると彼はこう答えました。

「ファンタジーさ」

その瞬間、背筋を走る悪寒とともに彼の意図にやっと気づいた僕は、タバコを吸ってくると部屋を飛び出して、彼が寝るまでの時間を外で過ごしていました。今となっては笑い話ですけど、当時の僕はきっと必死な顔をして部屋を飛び出していったことでしょうね。

この小説は「ファンタジーノベル大賞」をとっているようですが、決してそっちの世界のファンタジーでもなく、日常に潜む、頭の中に潜むファンタジーが描かれていて、自転車に乗りながら、街を歩きながら、酒を、コーヒーを飲みながらこんなこと考えているなぁ、俺もなんて思いつつ読み進めていくことになりました。この紹介じゃぁファンタジーというより妄想って聞こえちゃうかもしれないですね(笑)。でも、妄想小説って名付けてもいいぐらい、頭の中のとりとめもない言葉が次々と出てくるんですもの。頭の中もさっぱりして、日曜の昼下がりに時間を持てあましてビールを飲みながら読むことをおすすめしますよ。決して地獄の満員電車の中で化粧臭いOLをにらみながら、にんにく臭い口臭をまきちらす目の前のサラリーマンをにらみながら読まないことをおすすめします。




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posted by kbb at 23:21 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(2) | 小説・エッセイ マ行
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Excerpt: 『それは異次元宇宙の彼方から突如飛来し、ずうんと大地に降り立って動かなくなり、もう我々人類には手のほどこしようもなくな...
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Tracked: 2008-09-05 09:18

★★★★☆ 太陽の塔-----森見登美彦
Excerpt: キャラ:◎ 日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 京大農学部休学中5回生、という身分の愛すべき若者、というか、バカ者が主人公の青春小...
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