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2008年09月22日

オートフィクション-金原ひとみ

「オートフィクション」 金原ひとみ

オートフィクションこんばんは。

最近なんだか寒いですね。今年は残暑なんかなかったんじゃないですか?人間にとっては過ごしやすかったとしても、この季節に涼しかったりしたら動物や植物にとっては決していいことではないのではないかしらと心配になってしまいます。「暑さ寒さも彼岸まで」なんて言葉を知らない子供が増えてしまうのも心配ですね。天気や食べ物ではなく、通勤しているOLのスカートの丈や、テレビや本などのメディアからしか季節を知ることができなくなっている最近がずいぶん寂しいものに感じます。

さて、金原ひとみの「オートフィクション」です。以前「蛇にピアス」(amazonで調べてみるとなぜか文庫が絶版。さらにカスタマーレビューの評価も悪い。モチーフが気持ち悪いから表面的なそれが蓋となってしまったのでしょうかね。)を読み、こんなものをモチーフにしてこのテーマを描ききるなんて絶対真似なんかできないなぁと、自分で小説を書くわけでもないのに打ちのめされてしまった作家さんです。だからなのか、読みたいって気持ちはあるのに気安く彼女の作品を開けない、そんなジレンマに陥っています。

さて「オートフィクション」とは、自伝的小説と訳されているようです。自分を題材にしてフィクションを織り交ぜることが前提となっているフィクション。もちろん全てがフィクションであってもよい。ただそれが作者自身であるだろう、という前提の元に作品がすすんでいくのならば。って感じのものでしょうかね。

主人公の女性作家は担当編集者にある日オートフィクションを書いてみないか?と言われる。
そこから始まる彼女の物語。といってもおもしろいのが、彼女の物語が過去へとさかのぼっていくこと。現在の彼女からはじまり、現在の彼女を形作る18歳の夏、16歳の夏、15歳の冬が順番に描かれていく。今の彼女をつくるのは過去の彼女である、ってことがよくわかる。

しかも、現在に進むにつれて彼女がどんどん壊れていく。「蛇にピアス」で描かれた喪失からの獲得や成長とは逆の道のりを歩む。失われている現在からそれがあった過去へ。もしくは何かを失う過程で獲得する何か。

よく練られているし、よく作り込まれている。ここまで作れる人ってこの世代の作家さんでなかなかいないんじゃないかしらね。しかもこの人の作品って書くことですっごい消耗しそうな気がする。もちろん読む方も相応の消耗を強いられてしまうのだけれど。

さて、消耗してしまった僕は明日は思い切ってお弁当でもつくって動物園に癒されに行って来ようと思っています。鮭と明太子のおにぎりに卵焼きと唐揚げのお弁当を持って猿山の前で一日ぼうーっと猿でも眺めていようかと。人間をみているよりかは猿を見ている方が少しは季節感も味わえるだろうしね。

では明日のために早く寝ないとね。おやすみなさい。




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posted by kbb at 21:49 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 金原ひとみ
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