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2008年09月28日

デッドエンドの思い出-よしもとばなな

「デッドエンドの思い出」 よしもとばなな

デッドエンドの思い出こんばんは。

知らない街を歩くのが好きだ。海外に行ったりすると、一日中歩いていても飽きることがない。小さな店から出てきた人を観察してみたり、通りを渡ってきた風の薫りを感じてみたり。知るはずもない曲がり角を曲がってみようというちょっとした勇気を出してみたり、変なにおいのする通りをびくびくしながら早歩きで通り過ぎてみたり。そうやって歩くとその街の大きさを体で学べるから次に行ったときにはもう迷うことはない。そうやって知らない街を歩くときは絶対に戻ろうとは思わない。どうしても一筆書きでその街を制覇したくなる。でもそんなこちらの気持ちをきれいに裏切ってくれるのが行き止まり。どうしても元の道に戻らなくてはならない。曲がったところから行き止まりだってわかっているのなら入っていくこともないのだけれど、曲がりくねっていて見通しが悪かったり、抜けられそうな入り口なのに出口がなくて高い塀がそびえ立っていたり。そうなると悲しくなってしまう。その街を嫌いになってしまう気がして、それまで以上に一生懸命その街を歩こうとする。

行き止まり=デッドエンドの存在自体にそういう悲しさがつきまとう。
以前「ハチ公の最後の恋人」で次読もうと宣言した「デッドエンドの思い出」をやっと読み終わった。この作品のことを公式サイトでよしもとばなな自身が一番好きだと言っている。この作品のあとがきにも同じことが書いてある。

5編の作品が収録されている短編集です。最後の一編"デッドエンドの思い出"が件の一番うまく書けたと本人が言っているものです。他のももちろん読みやすく、心に残るものばかりだったけれど、「本人がうまく書けたと言っている」という予備知識を持って読み始めたので、一番最後の作品を早く読みたいと、最初の方は飛ばしぎみになってしまいました。

といっても、残念ながら"デッドエンドの思い出"はそこまで心に残るものではありませんでした。どうしても書きたくなったこんなにもつらいもの。泣かずにゲラを読むことができなかった。と書かれているけど、そこまで悲しいお話でもなければどうしようもない物語でもない。救いようのない人生が書かれているものだと思っていたので、そういうのを期待していたから失敗したのかもしれない。

でもね。読み終わって、時間をおいたら、またあの世界に戻りたいと思っている自分がいるんです。あのお話の続きを知りたいってことじゃなくて、ただその空気を感じていたい、って感じなんですけどね。なんかタバコのようなものですね。吸い続けていると苦しいだけで、こんなまずいもの、って思うけど、しばらく時間をおくとなんとなく手が伸びてしまう。

この作品はまた時間をおいて読んでみたいと思う。そういう作品ってなかなか記憶にないから、やっぱりいい本なのかもしれない。そう思う。




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posted by kbb at 23:08 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ ヤ行
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