こんにちは。先ほどアップした記事で、今日を終わるのはあまりにもひどいなぁと自分がいやなので、今日の2本目です。
星新一の「にぎやかな部屋」。先ほどアップした「ぺ」と同じ時に買った本です。どうしてもその日は星新一の気分だったんですね。イキガミで話題になった"生活維持省"を読み返したからでしょうかね。
さて、星新一のショートショートを楽しみに読み始めた本書でしたが、最初のお話がなかなか終わらない。あの切れ味するどいエンディングはどこいったのだ!?未だに登場人物の背景を説明する文章が続くのはなぜなのだ!?って思ったところでやっと気づきました。これ、ショートショート集じゃなかったんですよ。あとがきを読むと星新一が最初にして最後の舞台用の脚本として書いた物だそうです。
物語がなかなか興味深くて、登場人物がいっぱいいます。まず小学6年生ぐらいの女の子。そして金貸しでお金を儲けている彼女の父親。そしてインチキ占い師の母親。彼らにはそれしかみえないのですけど、ぼくら読者にはもっと他にも登場人物が見えています。そう、それは彼らの背後霊。背後霊といったって、僕らが思っているような縁があって憑いていたり、守護霊として守ってくれるわけでもなく、死んで霊になった人が適当に選んで憑いているらしい。
さて、金貸しや占いを営む彼らの元にお客さんがひっきりなしにやってきます。そのお客さんにもそれぞれ背後霊がいて、元々いる霊たちとにぎやかにお話がすすんでいきます。
この霊たちもちゃんと自分たちで考えられる能力があるようで、もう何百年も背後霊として生活(?)している江戸時代のスリなんかがおもしろいことをいっています。曰く、人間が多すぎるから昇天できないのだと。霊の世界では、人間よりも霊の数の方が多くなり、霊が人間につけなくなるとその霊は昇天させてもらえるようになるそうです。でも、今後大きな戦争でもない限り人間の数が減ることはありえないから、霊たちが昇天することもできない。永遠に誰かの後ろに憑きながら、つまらない人の人生を眺めていなければならない。
ここでも星新一は人口が多いことを皮肉っているんですね。彼にとってはそれが大きなテーマだったのかもしれないですね。"生活維持省"も人を間引きすることによって幸福な生活が保証される世界でしたものね。
僕の後ろにも背後霊がいて、こんなつまらない人生なんて見ていたくない、なんていわれているのかもしれませんね。彼か彼女かわかりませんけど、背後霊を喜ばせるためにも少しはおもしろおかしい人生に変えないといけませんね。


