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2008年11月09日

納棺夫日記 増補改訂版-青木新門

「納棺夫日記 増補改訂版」 青木新門

納棺夫日記 増補改訂版こんにちは。

さきほど、本の整理をしてみました。おかげで本棚のスペースが増えてまだもう少し本がおけると安心したところです。といっても、少し本を移動しただけなので、またすぐにいっぱいになっちゃうんでしょうけどね。

さて、「納棺夫日記」です。映画「おくりびと」がえらくよかったので読んでみました。本木雅弘が読んでおくりびとの製作を監督にすすめたという作品です。

納棺夫という職業についた著者が人の死、宗教、納棺夫という職業などなど死にまつわる彼の考え方が描かれています。

映画で描かれていたように、奥さんにけがらわしいと言われたり、親戚から絶縁だといわれたり、あの映画で描かれていたようなことを経験してきた著者の古今東西の宗教、哲学について、死についてがむしゃらに勉強したことがよくわかる内容になっています。

でも、そういった彼が勉強して得た知識よりもなによりも僕の心にいつまでも残っているのは彼が自分の経験から得た言葉。富山で生まれ育った彼には富山にしかない、みぞれの季節というものからみぞれと人の生死に対する考え方がよく似ていると話す。みぞれもその日の気温によって、雨と雪の混じり具合がかわるように、人の心に占める生死の割合もその時代の背景によって変わっていくという。戦争や飢饉がおこれば、死が語られることが多くなるけど、平和や繁栄の時代にはいかに生きるかということしか語られることがない。いかに死ぬかということが語られない世の中では人は死を忌み嫌う物としか感じなくなってしまうという。

だから彼は、宗教的に納棺を行うのではなく、仕事として、営みとして納棺師として納棺という仕事をしようと、心に決める。そうやって周りの反対や気持ちを押し切ってその仕事を最後までやり通す。

死に触れることが多かった彼だからこそ、書けることなのでしょうね。

元々詩人として活動していた彼でしたけど、その後吉村昭の推薦により同人誌に小説などを寄稿していたけど、経営していた喫茶店の倒産などを乗り越えて、納棺師として生きていくことになる。そういった文学的な素地のあったひとだからこそ、彼の言葉がストンと心に響いてくるのかもしれない。

本の整理をしていて、この本棚で移動させられたり、保管させられたりしている間はこいつらは生命がないような、いわば死んだ書としてしか存在することができない。だからこそ、いろんな人にいい本をいっぱい紹介して、こいつらを生き返らせることができたら、いいなぁ。そんな風に思ってしまいました。




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posted by kbb at 15:29 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ ア行
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