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2008年11月19日

欲シガリマセン欲しがります-井上ひさし編

「欲シガリマセン欲しがります」 井上ひさし編

画像はないけどアマゾンに飛ぶよこんばんは。

とうとう明日から韓国です。やっと韓国の友人と連絡もとれ、泊まるところも確保できました。あとはパスポートと航空券さえわすれないで時間通りに空港にいけば韓国の地を踏むことができそうです。入国を断られるようなことがなければね。

さて、井上ひさし編の「欲シガリマセン欲しがります」です。タイトルからもわかるとおり太平洋戦争当時の日本の話です。

といっても、小説ではありません。主人公は大陸で戦った軍人さんでも、太平洋上で戦った軍人さんでも、ましてや特攻機を駆ってその若い命を散らせた若者でもありません。それよりも圧倒的に多数の日本国内にいた普通の人たちの物語です。

物語といいましたけど、フィクションではなく、当時からあった会社の社史の戦争当時の記述を集めています。

毎日新聞や朝日新聞などのマスコミにはじまり、岩波書店、国鉄、新日鉄、三菱銀行、東洋工業、東京国立博物館、女子学習院、後楽園スタヂアム、資生堂、高島屋などなど、いろんな業種から集められています。太平洋戦争当時からあった会社だけあって今では大企業のものばっかりですけど、当時はまだまだビルの一部を間借りして営業していたような会社もあります。

軍人さんの物語はいっぱいあります。しかも、彼らの物語は命がけです。しかし、社史に登場する普通の会社員も命がけで自分の会社、家族、生活を守ろうとしています。彼らも空襲や軍部からの圧力、総力戦という名の国からの営業妨害に負けずに戦っています。

ある人は空襲から上質紙を守るために紙をもって逃げ惑います。ある会社では売るものがなくなっていき、防空用品を売ってしのぎます。ある売店ではとうとうタバコまで統制によって売らせてもらえなくなり、甘くした水を凍らせただけのものを売っていました。あるところではお客さんの預金を守るために必死になって台帳を守ります。

そして、玉音放送によって戦争が終わります。しかし、終わったからといって安心できるわけではありません。敗戦の混乱が戦争中の空襲よりも彼らを苦しめます。売る物を作り出し、焼け跡から台帳を探し出します。占領地だった朝鮮や中国では、民衆の蜂起が発生しないように、平和裡に政権の委譲が行われるように当地の放送局が必死になって戦争が終わったことを伝えます。彼らの多くが自分の身の危険を冒してまで誰かのために生きています。

こういう普通の生活をする人たちにクローズアップした作品ってなかなかないですよね。

おもしろかったのは社史にもいろいろあるんだなぁってこと。年表などにまとめながらお堅く書かれているものから、これは大げさに書きすぎじゃないかと思いつつも小説を読んでいるかのような文学的表現がちりばめられているようなものまで。

僕がこうやって韓国にいけるのも、会社を平気で休めるのも、平和だからなんですよね。ただそれだけの理由でもいいいから、平和が長く、少しだけでも長く続けばいい。そう思うな。




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posted by kbb at 22:40 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ ア行
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