
もう正月三が日も終わりですね。なんだかんだでだらだらと過ごしています。正月休みも明日で終わりだなんて、寂しいですね。こうやって毎日毎日どんどん過ぎていくんですね。って年末にも同じような反省をしていたのはきっと気のせいではないでしょう。
さて食っちゃ寝、食っちゃ寝を繰り返してどんどん時が過ぎていくわけですけど、それの理由の一つがこの栗田有起の作品、「オテル モル」なんです!読んでいるとページを繰る指がだんだんと止まっていき、まぶたがだんだんと下がっていってしまう。この本の魔力は怖いです。といっても、つまらなくてそういう現象が起こるわけではなくて、この作品の世界の心地よさに睡魔がおそってくるのです。
「悪夢は悪魔だ」
を合い言葉にいらっしゃったお客様に最高の眠りを提供するオテル、
「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」
「ぐっすりもぐらホテル」ぐらいの訳がつけられるこのホテル。都心の高層ビルの間の細い道を入った奥の地下にあるホテル。地下13階建てのこのオテルでは日没から日の出まで最高の眠りを手に入れるべく様々なお客様が集まってくる。
そんなオテルに就職した希里。双子の妹、沙衣は覚醒剤に溺れてリハビリ施設に入院中だ。両親は沙衣につきっきりで彼女の世話をしている。希里は沙衣の旦那と沙衣と旦那の子供、美亜と三人暮らしだ。
沙衣の旦那は希里の高校の時の彼氏。そんな複雑な家庭で過ごしている希里と沙衣は陰と陽のような存在だ。希里は誘眠顔のおかげでオテルに就職が決まったが、沙衣は覚醒顔をしている。そしてそんな沙衣にもやっぱり必要なのは安らかな眠りだった。
こんな風に物語がすすんでいくのですけど、物語を先に進みたいのに、睡魔がおそってきて二時間ぐらいの睡眠を繰り返してしまう。えてして、そういうときは夢にうなされることが多いのに、この時は心地よい夢だったみたいだ。といっても見た夢の内容なんてなんにも覚えていないから素敵な初夢を見ることができたのかわからないのですけど。
このオテルには客室係兼経営者の外山さんがいる。ビロードのカーテンには「ビロード」と書かれたプレートを、マホガニーの机には「マホガニー」のプレートをつける。そうやってきちんときちんと物事をしていかないと気が済まない。けれど、客商売の一番重要なことは「臨機応変」だってことも知っている。こういうきちんとした人が社会を回しているんでしょうね、きっと。こういう人のおかげで僕みたいな怠惰な人間がぐっすりと眠っていても世間は動いていくのでしょう。まぁそんな簡単にはかわれないのだから、少しずつ外山さんのようになろう、そう思う正月三日でした。
それにしても「コイノカオリ」に収録されていた"泣きっ面にハニー"で一気に好きになってしまった栗田有紀でしたが、間違っていませんでしたね。新年早々こんな素敵な出会いがあるなんて、今年はいい年が過ごせそうな予感がします。よかった。よかった。
kbbさんの感想読んで、面白そうだったので買ってみました。
だいぶ遅れましたが読み終わって感想かいたのでTBさせていただきました。
絲山秋子の「海の仙人」の雰囲気にちょっと通じるものがありますね。
がつんと面白い感じじゃないけれど、こういう雰囲気は好きです。
他の本も探してみようと思います。
kbbさんも他の本でよいのがあったらまた感想のせてくださいね。
こんばんは。
楽しんでいただけたみたいでうれしいです(涙)。
「海の仙人」もそうですけど、小川洋子にも似ているところがある気がします。今度是非おためし下さいな。
homamiyaさんもいっぱいご紹介くださいね^^
私、小川洋子さんもあまり読んだ事ないですね今度トライしてみます
こんにちは。
小川洋子もなかなかいいですよー。一つのものに執着した人物を描かしたら絲山秋子か小川洋子かって気がします。
おすすめは「薬指の標本」新潮文庫と「バタフライ和文タイプ事務所」です。「バタフライ〜」の方は短編ベストコレクション2005というアンソロジーに入っているので見つけにくいかもしれませんが、手に取る機会があれば是非よんでみてくださいね。