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2009年02月21日

エンジェル-石田衣良

「エンジェル」 石田衣良

エンジェル
こんにちは。

誰しもあるとは思いますけど、思い出したくないこと、考えたくもないことってありますよね。でも記憶っていうのは残酷なもので、そういうことに限ってなかなか忘れてくれないんですよね。いやになっちゃいますね。パソコンのように忘れたい記憶だけ「ゴミ箱」へ捨てるなんてことができたらいいのですけどね。

さて、石田衣良「エンジェル」です。久しぶりの石田衣良な気がしますけど、全然変わっていないですね、って当たり前ですけどね。とっても石田衣良らしい物語でした。村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」が出てくるのですけど、石田衣良も貪り読んだんでしょうかね。

純一は自分が埋められている現場の上で自分がふわふわと浮いていることに気づいた。そう殺されたのだった。でも誰にどうやって殺されたのか思い出せない。むしろここ二年の記憶がない。幽霊による自分を殺した犯人探しがはじまる。

そして犯人探しの過程で美しい女優に出会う。肉体があれば恋においているのに、と果たされることのない夢を見る。その彼女が純一の記憶をなくしたきっかけだったとは思わずに。

まぁこんなお話です。

この物語を読むと、「死」というものが「リセット」にはなりえないことがわかります。この世に未練を残して死んでも生前と同じように苦しみ、悩み、恋に落ちながら肉体を持った人間には誰にも見られることなく生きていかなければならない。生前の人間と違うところは肉体があるか、ないかぐらいでしかない。たいした奇跡なんて起こすこともできない。

そしてこの物語、記憶が大きなテーマになっているのですけど、こんなセリフがでてきます。

知ることは一方通行なのです。ある事実を知ってしまうと、知らないでいる状態には決して戻れない。


自分の死の謎を追う純一にある人がいうセリフなのですけど、結局純一は知ることから逃げることはしなかった。それがいかに残酷な結末になろうとも。
でも思うのですけど、確かに残酷なこともあるけれども、知ることで幸せになることもありますよね。冒頭で思い出したくないことがたくさんあると書きましたけど、同じぐらい(と思いたい)の量の幸せな気持ちにしてくれる思い出があるはずですものね。思い出したくないことを思い出してしまったら思い出したいことを思い出せばいいのかもしれないですね。でもいい加減飽きてきてるので新しい思い出も欲しいのですけどね。



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posted by kbb at 15:55 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 石田衣良
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