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2009年02月28日

世界中が雨だったら-市川拓司

「世界中が雨だったら」 市川拓司

世界中が雨だったらこんにちは。

就職活動っていろんなことを教えてくれますね。実は自分がネクタイの結び方を知らなかったことを教えてくれたり、更級日記の作者が菅原なんとかさんだって教えてくれたり、how many times 〜をhow often 〜で書き換えられることを教えてくれたり。

さて、市川拓司「世界中が雨だったら」です。三編の短編が収められています。恋愛小説ばっかり書いているように思える市川拓司ですが、これに収められている三編は恋愛小説ではありません。というよりも人間を描いています。こういう基礎があるからこそ「恋愛寫眞」「いま、会いにゆきます」などの恋愛小説を買いても人間がしっかり描けるのでしょうけどね。

"琥珀の中に"はDVがテーマ。それに至る過程、それを克服する過程、そして高校生の女の子がいかに成長していくかが描かれています。

"世界中が雨だったら"はいじめがテーマ。少し自閉気味の男の子がいじめられて、それにいかに対応したかが描かれている。

"循環不安"は神経症気味の男がいかに今までの自分にうち勝っていくかを描いている。

と、きれいにまとめましたけど、それらが容赦なく描かれているのも特徴なのかもしれない。ひどい描写がひどく、細かく、目をそむけ、ページを閉じてしまいたくなるような表現で描かれている。人間のずるさ、ひどさまでもが醜く現れてくる。

"世界中が雨だったら"の彼はどこかしら「いま、会いにゆきます」のたっくんのように感じられるように描かれている。もしかしたら市川拓司の優しさが、"世界中が雨だったら"のようなエンディングではない彼のエンディングを考えた結果、たっくんというキャラクターがでてきたのかもしれない。
さて、優しさだけはこの世界は生きていくのは辛いのかもしれないけれど、市川拓司のように言い続ければいいのかもしれませんね。同じように知らないことがいっぱいあっても、どんどん知る努力さえ怠らなければなんとかなりそうですよね。がんばりましょう。




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posted by kbb at 16:31 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ ア行
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