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2009年03月26日

ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶-大崎善生

「ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶」 大崎善生

ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶こんばんは。

毎朝、毎朝どこから湧いてくるのかって思うほどたくさんの人が電車に乗っていますよね。恋人同士のベッドの上。海外から久しぶりに帰ってきた友人と抱き合う空港。どちらも距離が0になることは親密感を表しているのに、満員電車で隣の人と距離が0になると腹がたつのは不思議なことですよね。そこで腹をたてずに知らない人とでも仲良くなれれば戦争なんかなくなるのかもしれないですね。

さて、大崎善生「ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶」です。四編の作品が収められている短編集です。

パイロットフィッシュにつながりそうな熱帯魚がキーワードの物語"ドイツイエロー"。"九月の四分の一"につながる物語"キャトルセプタンブル"。初めて会ったその日の夜を共にして、二度と会わなかった男の話をいつまでも信じ続けた女の子吉岡礼子の物語"いつかマヨール広場で"。可憐な「かれん」という自分の名前がいつまでも好きになれなかった女の子が自分の名前の秘密をしる物語"容認できない海に、やがて君は沈む"。

大崎善生の描く男女は、例えセックスを共にしても、所詮は他人でしかない、どこかしら距離があるということがしっかりと描かれているように思う。そして完璧に、半分でしかないけれど、他人ではないのは親子。そういう存在である人間をしっかりと描いているのが大崎善生の物語ではないかしら、とこれを読んで強く思いました。

満員電車に乗っていても、まわりにいるのは他人。だからあんなに不快にかんじてしまうのでしょうね。恋人や仲のいい友人との抱擁のときの安心感でさえ一瞬だけの勘違いかもしれない。でもその勘違いを忘れないようにすれば人は孤独で居続けることはないのではないかしら、なんてたまには楽観的なことでも言っておきましょうかね。




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posted by kbb at 03:11 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 大崎善生
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