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2009年04月06日

夫婦茶碗-町田康

「夫婦茶碗」 町田康

夫婦茶碗こんばんは。
先日観た料理番組で、イチゴと鶏肉の焼き鳥が紹介されていました。串にさして、一緒に焼いて肉が焼き上がったらバルサミコをかけるそうです。イチゴは焼いても甘ったるくならず、甘酸っぱくさわやかな味を楽しめるとのこと。誰が最初にイチゴを焼き鳥にして食べようなんて思いついたのでしょうかね。

さて、町田康「夫婦茶碗」です。「くっすん大黒」以来の町田康です。相変わらずパンクというか、人を酔わせる文章です。

車酔いしたときみたいに、ちょっと降ろしてって気分になるのですけど、すぐにまた作品に戻りたくなるのですけど、それがやはり町田康の文才なのでしょうかね。

"夫婦茶碗"と"人間の屑"の二作が収録されています。

"夫婦茶碗"の方は何をしても長続きしない男が茶碗ウォッシャーなんて新しい商売を初めてみるのだけれど、宣伝方法もめちゃくちゃ、商売を甘くみて、結局一日でやめてしまう。それでもご飯を食べていかなければならない。質草に家中のものを集めてみると妻の持ち物にやけに金がかかっているものが多い。ポルノ映画を観てみるとなんと妻がでているじゃないか。そうやって金を稼いでいたのか、と最近外出が多く、けんかして家出をしてしまった妻を疑い始める。
そして妻から電話がかかってきたけど、彼女のいたところはなんと病院。

そんな勘違いと妄想が渦巻く作品です。イチゴと焼き鳥を最初に焼いてみようと思うのはこういう男なのかもしれないけれど、それをちゃんと商売に出来るかどうかは別の話なのでしょうね。

"人間の屑"の方もそれと似たり寄ったりのひどい男が主人公。劇をやったりロックバンドをやってつくった借金を払えずに逃げ回る男。田舎に引きこもっていると、訪ねてきた東京時代のファンだという女の子と懇ろになって彼女を頼って東京に舞い戻り孕ませてしまう。しかしそんなもの逃げるが勝ちって感じで逃げて、彼女の友達の所へ転がり込んで、二人で東京を離れる。
二人で商売を初めてみるけどうまくいかなくなるのが怖くなり、さらに悪い方向へ動いていく。

結局何をやってもうまくいかない男が描かれている。反省はするのだけれどそれが何にも生かされていない。駄目な男が楽をするために逃げて、ますますダメになっていく物語になっている。「堕ちろ」で有名な「堕落論」だけれど、「堕落論」は堕ちていくことで成長を促していた。でもこの作品は堕ちていくだけでどこへも行かない。これが本当の人間の姿なのかもしれないけれど。

どちらもダメ人間が描かれていたけれど、リストラされて、就活がうまくいかなくて、家でごろごろしている最近の僕には耳が痛いというか、ここまで転げ落ちてしまいそうで怖い作品でした。ここで動けばこの作品の男のようにはならないのだろうけどね。そこがダメ人間とそうじゃない人間の分かれ道なのでしょうね。



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posted by kbb at 17:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説・エッセイ マ行
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