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2006年04月08日

光ってみえるもの、あれは-川上弘美

「光ってみえるもの、あれは」 川上弘美

光って見えるもの、あれはおはようございます。さっきテレビ寺子屋という番組にアグネス・チャンがでていましました。彼女、テレビに出ていないなぁと思っていたら教育学博士までとっていたんですね。

その彼女が番組でおもしろいことを言っていました。教育とはcorrectを教えるのではなくて、rightを教えるのだと。日本語だと、両方とも「正しさ」「正しいこと」と訳せると思いますけど、英語だと、「correct」は社会的、歴史的に正しいこと、「right」は人として正しいこと、という風にちょっとニュアンスが違うんですね。そして、教育は「correct」に対して常に懐疑的になりながら、「right」をみつけていく過程だと。

僕が小説や本を読む理由って、このrightを探すために読んでいるのではないかと思いました。よりよく生きる、何かの答えを探すために読む。そこには決して活字中毒という言葉で説明できないなにか他の理由があって、小説を手にとってしまうのではないかと。考えさせられてしまいましたね。早起きは三文の得といいますけど、ふと目覚めただけでも、こんなに得できたのだからほんとのことなんですね。それにしても、アグネス・チャンはいつまでも日本語がうまくならないですね。助詞の使い方とかね。彼女の言葉を聞いているだけでもなかなか楽しめましたよ。

さて、はたまた、川上弘美に戻ってきましたよ。「光ってみえるもの、あれは」です。川上弘美初の家族小説というか、成長の物語というふれこみの作品です。

高校生の僕、翠と同級生の花田、恋人らしく平山水絵、川上弘美の作品によくでてきそうな女性であり、翠の母親である愛子さん、そして同居しているおばあちゃんの匡子(まさこ)さんが織りなす物語です。翠が平山水絵との関係や、花田との関係、はたまた母親や遺伝上の父であり、しかし尊敬できない大鳥さんなどを通して、「correct」に違和感を感じながら「right」を見つけていく過程が描かれています。

大鳥(おおとり)さんをどうしても「おおしま」さんと読み続けてしまって、頭の中で変換するのに、手間取ったりしていたのですけどとっても楽しめる作品でしたね。最後の最後でそうきたかぁとちょっと裏切られちゃったのにはちょっと不満が残りましたけどね。

愛子さんがまた素敵な女性で、「すぐ目の前にいる人と簡単に恋愛しちゃったり」する、なんだかとってもかわいいって抱きしめたくなるような人なのですよ。愛子さんはそういうの嫌がるだろうけどな。でもたまにぎゅっと抱き返してくれそうな気もしますけどね。「あるようなないような」だったと思うのですけど、川上弘美は小さい頃に女性性や男性性が描かれているような絵本を読ませてもらったことがなく、自分の子供にも与えないようにしらずしらずのうちにしていた。という記述があったのですけど、そういういわゆる男らしさ、女らしさを植え付けられることのなかった川上弘美の描く女性がとっても女らしいというか色っぽいのがとっても不思議ですね。むしろ社会的につくられている、女性らしさってのはとっても間違っているのかもしれませんね。

大鳥さんってのがまたぱっとしないおじさんなんですけど、なぜか女性にモテモテなんですよね。どうしてだろうって参考にしようと思ったのですけど、なかなかどうして、そのやりかたというのは自然と身につけられるようなもので真似のできるようなものではないみたいですね。その彼が言うのですよ。

「女の言葉を額面通り受け取る方がいけない」
「もちろん額面通りに受け通す、ってやり方も、あることは、ある」
「でも、それは、ものすごく険しい道だぞ」
「地球上の男は誰一人として、その道の果てまで行けたことは、ないかも、しれない」

なかなかプレイボーイな発言ですよね。僕はいつも女の子の言葉を額面通りに受け取って振り回されたあげくに振り落とされて疲れてすごすごと帰ってくるパターンが多いので彼のいいたいことが身にしみてよくわかりましたよ。まったく女って生き物は。ってこの最後の締めの言葉、もう何回言っているのでしょうかね。


posted by kbb at 07:23 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(2) | 川上弘美
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