
さて、友人から借りた小説版「この胸いっぱいの愛を」です。映画を原作者の梶尾真治がノベライズというなんともまぁ回りくどい方法でできあがった作品です。原作の「クロノス・ジョウンターの伝説」とは大きく違っていて、なんだか伝言ゲームを見ているようでなかなか興味深いですね。
「この胸いっぱいの愛を」は以前試写会で観たのですけど、ミムラって美人さんだなぁって印象ばっかり残っていて、どんなエンディングだったか思い出せなくて一緒に行った友人に聞いてみたのですけど、その子も覚えていなくて、その程度の映画だったのかと思っていたのですけど、改めて小説で読んでみるといろいろと細部を思い出してしまいました。
ある飛行機に乗り合わせた五人が心に残したものがある1986年にタイムスリップしてしまう。そこで心残りなことをそれぞれが片づけると2006年に戻るってのが、この作品のクロノス・ジョウンターの効力のようです。それぞれが故郷、門司での心残りなことを片づけていくのですけど、目の不自由なおばあさんが盲導犬の最後を看取ったり、自分の子どもを亡くしてしまう事故を防いだりと行動を起こします。歴史には可変性があるのです。
しかし2006年に戻っても、結局なんにもなりません。飛行機事故でみんな亡くなってしまうのだから。そのためには1986年の時点での自分自身を変えなければなりませんでした。歴史を変えて自分自身を助けるために。ここが映画版のエンディングとは異なっている部分のようですね。なかなか希望の持てるエンディングでうれしくなっちゃいますね。映画版はそこまで歴史の可変性については強調していませんでしたしね。
映画を見たときと同じように、小説版を読んでもやっぱり盲導犬と再会するシーンでは涙ぐんでしまったし、鉢植えのシーンでも同じように涙を流していました。この作品を読んで梶尾真治はやっぱりうまいなぁって思わされてしまいました。
こんなに短い間隔で更新をちゃんとできるじゃないか!なんて自分で突っ込んでしまいましたけど、これは読んだ本も原因の一つなのかもしれませんね。