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2008年01月26日

ナイフ-重松清

「ナイフ」 重松清

ナイフ もうやめてー。目の前にきれいなOLさんが座っている昼時の喫茶店で、本を開くのがやっとという感じに混み合っている帰りの電車の中で、なんどもそう叫びそうになりました。いじめの描写、いじめられている子たちの感情、それを見守る大人たちの心の動き、どれもにリアリティがあって、ぐいぐいひっぱられてしまう。そんなひどいいじめを受けながら、そんな優しいことを考えたり、言ったりしないで!涙が何度もでてきました。喫茶店ではその涙を隠すためにトイレに立ち、満員電車の中では思わず上を見上げたり、その必要のない駅で降りて寒い中次の電車をまってみたり。

重松清の「ナイフ」です。テーマはずばりいじめ。5編からなる短篇集です。いろんなイジメの姿が描かれています。その最中の彼らの気持ち。それが終わった瞬間の彼らの気持ち。数十年経ってそれを振り返ったときの彼らの気持ち。どれもが手を抜くことなく、細部まで描かれていました。いじめの現場まで手を抜かずに描いているから読んでいる方は辛く辛くてしょうがなかった。

いじめに関しては言うことはありません。ここで何を言っても仕方がないし、自分の経験から言えばそこまでがんばって学校なんていかなくても、やめちまえばいいのに、なんて思うけど、彼らには彼らの事情というものもあるし、ひと言で片づかないのが難しいですね。まぁただ一つ言えることは、学校なんて辞めてもいくらでも取り返すことができる環境が今の日本にはあるよ、とだけですね。

しかし、親の中には"キャッチボール日和"のお父さんのように、一度逃げ出したらいつまでも逃げることになると考えている人もいますし、いじめられている人の中にだって"エビスくん"のそばから離れられなかったひろしのように、強い人に憧れて、どんなことをされても彼らのそばから離れたくないって人もいるでしょう。

人が三人いればそこには権力争いが生まれ、もしかしたらそこには弱いものいじめが生まれるのかもしれない。でも、された方は一生忘れないだろうし、心になにかしらの傷を負ってしまう。それに比べていじめた方は「そんなこともあったね」ぐらいの気持ちしかもつことはない。きっとここがいじめの最大の悪いところなんでしょうね。身体と身体をぶつけあうとっくみあいのケンカなら双方に同じようになにかしらを残すような気がしますもの。

荻原浩「コールドゲーム」、重松清「ナイフ」とイジメがテーマの作品が続いて少し、疲れちゃいました。しばらくこの種の本は手に取るのをやめておこうと心に誓うkbbなのであった。




posted by kbb at 02:10 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | 小説・エッセイ サ行
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