本のタイトルは過去記事またはアマゾンへ飛びます。出版社等の確認にどうぞ。

2008年03月15日

走ることについて語るときに僕の語ること-村上春樹

「走ることについて語るときに僕の語ること」 村上春樹

走ることについて語るときに僕の語ることこんにちは。正月の箱根駅伝で東海大学の選手が踏みきりで足をくじいてから歩くのもつらいだろうに何キロも何キロも走り、棄権した。どうしてそこまで彼は走らなければならなかったのか。マラソンでどんなにつらくても、ゴールを目指す人がいる。彼ら彼女らを走らせるものはなんなのだろうか。最近そんなことを思うようになって、走ることがテーマの記事や本に目を奪われることが多くなった。

そんなときに友人から借りたのがこの作品。走る小説家・村上春樹が走ることを通して自分のことを綴った作品です。

上の疑問に対する答えは、駅伝はマラソンとは違うのでこの作品からはなにもわからない。走る理由はひとそれぞれなので、この作品からはなにもわからない。という至極当たり前の結論になってしまったけれど、久しぶりに村上春樹を読んで懐かしさの反面、やっぱりエッセイは、特に好きな作家が自分のことを語るエッセイは読むべきじゃないって結論になった。

真の紳士は、別れた女と、払った税金の話はしないという金言がある

からはじまるこの作品に、よかった、村上春樹だと思ってすんなりと作品にのめりこんでいったのは事実だ。でも、読む進めていくことがどんどんつらい作業になっていった。

彼は言う。専業小説家として長い人生を送っていくつもりなら、体力を維持しつつ、体重を適性に保つための方法をみつけなくてはならない、と。

彼の今までの小説からはそれとは正反対の匂いがたちこめていたように感じていた。"風のうたを聞け"の鼠や"1973年のピンボール"にでてくるスペイン語教師、"ノルウェイの森"のレイコさん。彼ら彼女から感じたことは、何に備えたとしても何かがやってくるのは突然だ、それをわけもなくそのままそっくり受け入れてしまうしかない、ということだったのではなかっただろうか。

この作品中でも、

明日が何を運んでくるのか、それは明日になってみないとわからないのだ。

と書いている。

僕は作家とは不健康にタバコをふかしながら深酒をして、作品を書くときはクマをつくりながら自分の身を削って作品を生み出すものだ、とはけっして思わない。しかし、すべてを準備してそこまでコツコツとやっていくマラソンをする彼とその彼が生み出す世界観に矛盾を感じてしまい、それをこれからそのまま受け入れていく自信がなくなってしまった。

彼のこの作品中でそれに対する説明をいたるところでしてくれる。「村上さんみたいに毎日、健康的な生活を送っていたら、そのうちに小説がかけなくなるんじゃありませんか?」に対して真摯に答えていたり

真に不健康なものを扱うためには、人はできるだけ健康でなくてはならない。

ということをいっていたりする。

健康的な生活と小説が両立できないとは思わないけど、彼の小説の世界とマラソンという絶対的に準備をしなければならない競技は決して両立できるものではないとおもってしまったんですよね、僕は。

こういう彼の生活観を知った後で彼の作品に浸ることがどこか自分の中で矛盾となってしまう。だから好きな作家のエッセイは読みたくないんだろうなぁ。でも川上弘美のエッセイは彼女の作品通りなんですけどね。きっと僕のこの思いは小説家のファンによるただのわがままでしかないんでしょうね。

なんだかテーマが走ることではなくなってしまいましたね。まだ頭の中が混乱していて、中途半端ですけど、今日はこの辺にしておきます。




にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ 他の方の書評を読む。

posted by kbb at 00:10 | 東京 ☔ | Comment(4) | TrackBack(0) | 村上春樹
この記事へのコメント
こんばんはです。
最近はエッセイも好きになってきましたけど
先に小説を読んで好きになった作家さんは
エッセイを読むのに勇気がいりますよねぇ。

Posted by MOW at 2008年04月14日 21:05
MOWさん。

おはようございます。

そうなんですよねぇ。特にエッセイと小説の世界がかけ離れている人ほどその傾向が強いかもしれないですねぇ。

川上弘美のはすんなり受け入れられたんだけどなぁ・・・。
Posted by kbb at 2008年04月15日 06:04
こんばんは。私も村上さんが走るの嫌なんですよ。ロックミュージシャンが過酷なステージやツアーで体力が必要だからとジムに通ったり走ったりしてるのと同じでガクッときてしまいます。 退廃的な匂いを漂わせてるパンクロッカーが体に悪いからタバコ辞めましたとか。
「真の紳士は、別れた女と、払った税金の話はしないという金言がある」 ならば、
「村上春樹とロッカーは、体力維持方と、健康方の話はしない」でほしいですぅ。
Posted by tsuki at 2008年04月16日 00:39
tsukikoさん。こんばんは。

まさに僕がいいたいことを言ってくれたと膝を打って喜んでいました。

別にそういうことしてもいいけど、見せないで欲しいですよね。

って村上春樹もそれを見せることにずいぶんためらったことはこの本を読めばわかるんですけどね。でもやっぱりやめてほしかった。

tsukikoさんの言い換えを読んで、村上春樹が別れた女の話をしなかったとしたら、彼の作品群はどうなっていただろうかと、すこし考えちゃいました。
Posted by kbb at 2008年04月16日 22:17
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

お名前・メールアドレス・ホームページアドレスを(入力があれば)クッキーに保存しますか?



この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。