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2008年04月11日

毒笑小説-東野圭吾

「毒笑小説」 東野圭吾

毒笑小説こんばんは。あしたはお花見です。といっても、今週の暴風雨で桜は全部散っちゃってるんでしょうけどね。葉桜見物会だっていいじゃないか!ってちょっと古いですが、森山直太郎の「さくら」を聞きながら今この記事を書いています。気分だけでも盛り上げないとね。だってきっとあしたは僕らだけが宴会をしているだろうから、まわりから「一週間間違えたぜ、あいつら」って冷たい視線が飛んでくるはずですからね。よけい酔っぱらっちゃいますね。

さて、桜が散った後に花見をするように、世間とちょっとずれたことをするとなかなかおもしろいことが見えてくることが多いですよね。そんな風に世間をみて書いたんじゃないかってお話が12編も入っている、東野圭吾の「毒笑小説」です。以前、「怪笑小説」を記事にしましたが、それのシリーズのようなものです。巻末に京極夏彦との対談が載っていて、お笑い小説をまじめに書きたかったというようなことを言っています。以前の記事に筒井康隆や清水義範に近いものがあると書きましたが、対談でも筒井康隆が教科書だったと言っていますから、間違ってはいなかったんですね。

孫と遊べない寂しさから、その孫を誘拐してしまおうとする百億ぐらい簡単に現金でだせる超富豪の老人四人組が巻き起こす"誘拐天国"や女流作家の正体はだれだ!?の"女流作家"やいきすぎたマニュアルがとうとう警察にもやってくる"マニュアル警察"とか、どれを読んでも背筋が寒くなるようなそれでいて、にやにやしてしまう笑いにあふれています。

でも一編だけ異色の作品が収録されています。"つぐない"という四十をすぎたうだつのあがらない中年のおっさんがピアノを習い始めるという作品なんですけど、作者の意図に反してほろりとさせてくれます。これを読むだけでも価値はある作品集だったと今では思います。

よく言われることですが、いかりや長助などが泣かせる演技をするのがうまいように、人を笑わせることのできる人にとっては人を泣かせるのなんて造作のないことなんでしょうね。巻末の対談で東野圭吾はこのことを、笑いのスイッチのすぐそばに涙のスイッチがあるんだと表現しています。なかなかおもしろい表現ですね。でももっと大きなシラケルというつぼがど真ん中にあるから難しいと言っていますけどね。

京極夏彦も同じような作品を書いているとここで言っていたので、それを探してみることにします。なんか、作家さんも自分につくられたイメージを壊そうとしているんですね。花が散ったあとの桜と乾杯をして、葉桜のよさを発見してくることにします。「葉桜の季節に君を想うということ」なんて素敵なタイトルの作品もありますしね。お弁当もばっちりつくったので、あしたが楽しみです。




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posted by kbb at 23:52 | 東京 ☀ | Comment(4) | TrackBack(0) | 東野圭吾
この記事へのコメント
こんばんは!
何気に私の読んだ本と似ているので、
思わずコメント書いてしまいました。
私も、「怪笑小説」「葉桜の季節に君を想うということ」読みましたよ。
葉桜〜は、最後、えっ?!騙され続けて読んでた〜と言うか、私の思い込み勘違い!と意外な展開になりました(笑)

Posted by サユサユ at 2008年04月13日 00:13
サユサユさん。
こんばんは!はじめまして!

コメントありがとうございます。
怪笑小説や毒笑小説はなかなか売っていなくて見つけるのが大変ですよね。

葉桜〜は僕もダマされ続けた男でしたよ。ダマされている間が一番幸せでした(笑)
思いこみの強い人の方があの作品はあとの驚きが大きいですよねぇ。

またぜひ遊びにきてくださいね。

サユサユさんのところのお料理、すっごいおいしそうなので、今度つまみをつくるときに参考にさせていただきます!
Posted by kbb at 2008年04月13日 19:41
毒笑小説読みました。ほぼ全部面白かったですがひとつひとつの笑いが薄くなりがちな気もしました。最初の誘拐天国といい富裕層の見栄の笑いって庶民は笑いますね。ホームアロンもお笑いのオチみたいでした。最近はブラックユーモアが普及しすぎ多数派になった反動で蟹工船みたいな社会派が盛り返してきましたが面白いものは面白い。一時期の筒井康隆に似ているかな。
Posted by 福田浩司賞味大臣 at 2008年12月21日 22:18
福田浩司賞味大臣さん。

おはようございます。
笑いが薄くなるって気もちわかる気がします。笑いの波状攻撃が逆効果なのかもしれないですね。
おもしろい物はおもしろいっていうのは本当ですよね。
蟹工船は読んだこと無いので手に取ってみたいと思っているのですけど、もう少し暖かくなってからにしようかと思っています。
Posted by kbb at 2008年12月22日 07:58
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