
先ほど、テレビで神戸の小中学校は校内に土足ではいるために、靴箱がないっていうことを紹介していました。靴箱がなかったら、ラブレターやバレンタインデーのチョコが靴箱にはいっているという、貴重な体験ができないなんてかわいそうって思っちゃいました。
それに合わせて読んだわけでもないのに、タイミングのよさに自分でびっくりしてしまいます。ラブレターをテーマにしたアンソロジー「Love Letter」です。石田衣良や島村洋子、三浦しをん、井上荒野など有名どころも結構かいていますが、名前も聞かないような人の作品もあって楽しさ詰め込みって感じです。
やっぱり石田衣良が一番うまいなぁって思わせるのが彼の語り方が一人の人間に語りかける手紙に似ているからなのでしょうかね。
山崎マキコの彼氏からの暴力をテーマにした作品は救いようがなくて、あまり好きにはなれなかった。井上荒野の彼女から好きになった人をうばう話もまっすぐに生きられない女を描いているようで好きになれなかった。
その点、いしいしんじの作品は少し技巧的すぎるきらいはあるけれど、うまくまとまっていて好きだった。
手紙って誰に宛てて書くか、誰から書くかっていう点で作家のテーマ性がでやすいのかもしれないですね。そういった観点からみれば、石田衣良は普段と同じことを書いていればよかったから楽だったのかもしれないですね。
僕自身はラブレターもチョコも靴箱に入っていたことはないんですけど、あれを入れる女の子の方のドラマを考えると結構素敵なことですよね。そんな二人が二十年後に出会ったら、どんな物語が始まるのでしょうかね。靴箱には入っていなかったけれど、毎年チョコをくれた隣に住んでいた女の子をことを今でも、二月になると思い出してしまいます。あの子はいま幸せにやっているんだろうか。