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2006年03月01日

賭博と国家と男と女-竹内久美子

「賭博と国家と男と女」 竹内久美子

賭博と国家と男と女なんだか朝、鼻が苦しくて起きるようになり、今年もやっぱり来てしまったのかなんてことを思いながら鼻をかんでいます。

さてさて、またまた読んでしまいました。竹内久美子の本です。「賭博と国家と男と女」。相変わらずばったばったと男と女について動物行動学的観点から説明してくれます。今回はそれに、国家と賭博まで加わるのだから大変なもんです。国家ができたのは、賭博があったからだなんて社会学者でもなかなかいわないんじゃないかしら。むしろ社会学者だからこそ言えないのかもしれないけどね。

今回も利己的な遺伝子の話しをわかりやすく、動物の繁殖戦略の例を使って説明してくれます。伊藤博文やチンパンジー、チャウシェスク、ニワトリやクマノミなんかもでてきて、ほんとに様々な子孫を残す方法を遺伝子は考え出したんだなぁって感心してしまいました。

まぁ、まじめに反論してみれば、動物が獲得する性質はすべて遺伝子が決定するものじゃなくて、環境によってつくられるもの(性格とはこっち)もあるのだから、すべてが遺伝子によって決定されるなんてことを言うんじゃないと竹内久美子に言ってやりたいけど、そんな無粋なこと言わずにちょっと聞いてよ、なんて声が聞こえて来るような魅力が竹内久美子の作品にはありますね。

彼女が言うには、近代日本をつくったのは芸者のおかげだそうです。これには様々な理由が付されているのですけど、一番大きな理由は、芸者がうまく疑似恋愛をさせてあげることによって男はもてまくっていると錯覚して、繁殖活動をしていると思いこませて、本当の繁殖活動で使うよりも少ないエネルギーしか使わないので、あまったエネルギーを近代日本の建設に役立たせることに成功したなんて言っています。これは結構納得できますね。疑似恋愛。大切ですよね。女性にとってもかもしれないけれど、男性はこれで自信をつける人も多いのじゃないかしら。こういうことができる女性ってのは男友達が多い気がしますね。それには男側にもうまく騙される心構えのようなものも必要なのかもしれないけれど。

読んでいて一番ビックリしたのは、1992年に書かれた文章なんですけど、現在の皇位継承問題なんかにも触れていて、今のままじゃ日本の皇統は途絶えてしまうので側室や愛人を皇太子に持たせましょうなんて言っているんです。そんな昔にそこまで考えていた人っていなかったんじゃないかしら。彼女は共和制よりも社会主義よりも絶対君主制がいい、なんて言ってる人ですから結構ラディカルですよね。彼女がいうには、共和制も社会主義もたかが(!)人間の思想から生まれたもので、遺伝子が長い進化の果てに獲得した順位制(=君主制)よりもいい制度であるはずがない。なんて言ってるんですよね。でも、読みながら、彼女がしたたかでしぶといと評しているイギリス人のチャーチルが「民主主義は最悪の政治形態である。 これまで試されたあらゆる政治形態を別にすれば。」って言ったのを思い出してしまいました。「そんなバカな!」で触れていたようなミームが他の形態を淘汰して民主主義を残したのかもしれないじゃないかなんて反論してみたくなりました。

家庭内で優位に立つ男性についても書かれていて、そんなオスは広く長期的に物事をかんがえることができて、言語能力に長けており繊細緻密で女性の心を読むのもうまいなんてことが書いてあるのですけど、僕は尻に敷かれていればいいなんて思っているクマノミタイプですから、物事を長期的に見られないし、女性の心も読めないのかなんて遺伝子的に言われた気分でちょっとショックでしたね。それに進化論的にみれば、花粉症にも適応できる遺伝子が残っていくはずだから、僕みたいのは淘汰されてしまうんでしょうね。


posted by kbb at 10:38 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 竹内久美子

2006年02月01日

そんなバカな!―遺伝子と神について-竹内久美子

「そんなバカな!―遺伝子と神について」 竹内久美子

そんなバカな!.jpgおとといの天気とかうってかわって雨が降り続いていますね。天気の変わり目なのだからしょうがないですね。おはようございます。今日から本格的に中学受験が始まりますけど、足もとに気を付けて自分の力が発揮できればと思います。

さて今日の本はこのサイトでは3冊目となる竹内久美子の「そんなバカな!」です。竹内久美子は進化生物学、特に利己的な遺伝子の観点から人間について考えている人です。でも、今作は今までとはちょっと雰囲気が変わって竹内久美子ってちゃんと動物行動学を勉強していた人なんだなって感じさせてくれます。ミツバチやアリ、チンパンジーなどたくさんの生物の行動を利己的な遺伝子の観点から説明してくれます。今まで利己的な遺伝子についての本はいくつか読みましたけど、この本ほどわかりやすく、うまい文章で説明してくれたものはなかったですね。

ずいぶん昔に「ミーム」という言葉を聞いたことがあって、文化の伝播について遺伝子的に説明する言葉なんですけど、この本を読むまでそんな言葉すっかり忘れていたのですけど、なかなかおもしろい考え方なんですよ、これは。利己的な遺伝子を考え出したリチャード・ドーキンスの言葉なんですけど、文化も突然変異と淘汰の観点から考えるとすんなり説明できます。個体から個体へ模倣を通してコピーされそこでいくらかのコピーミスもおきる(突然変異)。どうでもいい文化は廃れていき、役に立つ文化は残る(淘汰)。遺伝子と比較するとなかなかおもしろくて、伝達の速度は遺伝子に比べてはるかに早く、伝達が生殖を通さなくてもできるので非血縁者間でも起こる。それに突然変異がおこりやすいので多様性が生まれやすい(伝言ゲームを考えれば早いですね)。

そして、人間の行動をこの二つの観点から考えればすべて説明できるのってのが彼女(だけではありませんけど)の考え方です。遺伝か環境かなんてよく言われますけど、これはようするに遺伝かミームかってことなんですよね。彼女が言うには、宗教なんてミームが作り出したものだし、これはミームが(遺伝子のように物質としては存在しないけれども)生き残るためにどんどんコピーを増やしていったものだし、そのミームを生み出したのは生存と生殖のためにリーダーを作ることの利点を利用した利己的な遺伝子だったっていうんです。なかなかわかりやすい理論ですよ。ミームを利用して宗教(神)を生み出す方が血縁関係において一番力のあるものをリーダーとするより非血縁者をリーダーとできるのだから効率がいいってことですね。

他にも親の愛、嫁姑問題、少子化問題、それにスポーツや市民運動なんかもこの二つの観点から説明しているんです。もちろん反論したいことや疑問にもつことはたくさんありますけど大筋では賛成できる考え方でしたね。

でも、一つだけどうしても賛成できないのが、コミュニケーションに関する彼女の考え方で、彼女曰く、

コミュニケーションは正確な情報を伝える手段なんかではなく、相手を騙したり、自分の都合の良いように操作するための手段である。

と、いうんですね。たしかにそういう側面もあるのかもしれないけれど、それだけでしょうか。むしろ、生存のために情報を取得するために生まれたけど、たまたまついていた言語の特性を利用して相手を騙したり操作するために利用していると考えた方がすっきりするような気がするんですよね。だからこそ、言語という結構あいまいな記号を通して推測を行い、相互伝達がうまくいかない可能性のほうが大きいにも関わらず人間はコミュニケーションをやめることができないんじゃないかなって思うんですよね。そして、その効果がアリのように体内で生成した匂いによって情報を伝達したり、チンパンジーが毛繕いを通して相手との関係を確認するよりもはるかに効率的だからこそ今でもそのコミュニケーション手段に頼っていると思うんですよね。だって、人間言語は、チンパンジーの毛繕いのように一対一のコミュニケーションじゃないですし(スピーチやマスメディアは一対数え切れないくらい)、アリのように記号と表示が一対一じゃなくあいまいさがあるからこそ、新しい環境がでてきたときにそれを表現することができるんですもの。

今日の記事を読むとkbbもたまにはまじめなことも言えるんだなって思っていただけるかしら(笑)
posted by kbb at 10:43 | 東京 🌁 | Comment(2) | TrackBack(0) | 竹内久美子

2006年01月20日

男と女の進化論 -すべては勘違いから始まった-竹内久美子

「男と女の進化論 -すべては勘違いから始まった」 竹内久美子

男と女の進化論オチコボレ100の法則なんて見つけてしまってあてはまる項目が多すぎて落ち込んでいるkbbです。おはようございます。
このページを読んでいてなんだか気が滅入ってきた.
なんてまさにその通り。

今日の本は竹内久美子の「男と女の進化論 -すべては勘違いから始まった」です。男と女について、社会学的文化的観点からではなく、生物学特に進化生物学的に解き明かそうとしています。なにしろすべての説明が遺伝子のせいになっているからおもしろいですよ。進化生物学とは簡単に説明するならば、突然変異と自然淘汰の連続で今の生物があるって考え方ですね。リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」の流れで彼女はすべてを説明しようとしています。きのうの僕の自己嫌悪なんて全部遺伝子のせいにしてしまえばよかったんだ!って教えてくれます。

彼女に言わせれば、口のうまい文系男と不器用な理科系男がいるのも、女性にしわができるのも、男がはげるのも全部生殖のせいだってことになってしまいます。しかもそのやり方がちゃんとマユツババナシ(ご本人がおっしゃってます)なのにもかかわらず科学的、学問的方法-客観的事実を見つけて、仮説を立て、検証する-に則ってるのでうんうんって頷かされてしまいます。科学や学問はそんな小難しいものではなくて、もっとおもしろいもんなんだってこの本は教えてくれますね。

おもしろいなぁって思ったのが、男性と女性の言語についてのところなんですけど、彼女曰く

太古以来、男は一貫して口のうまさを女の獲得のために利用してきた。(中略)女はこういう男ほどには見事なウソはつけない。それは女にとっての言語の必要性が、男を騙したり、操作するというよりも男についてあれこれと情報交換する場面において高まったからである。


である。なんていわれちゃうと、そうなんですか。って答えたくなっちゃうけれど、これはウソだな。だって僕はいつも女性に騙されていますもの。男のウソなんてすぐにわかるけれど、女性のウソは全然わかりませんよ?竹内久美子にだってほら騙されそうになったじゃないか。

最近こういう生物学系の本、特に利己的な遺伝子についての本を読んで思うのですけど、彼ら彼女ら生物学者が思っている以上に遺伝子って狡猾なんじゃないかなって思うんですよね。自殺や子殺し(メスを発情させるために他のオスによって行われるもの。ライオンやチンパンジーなんかは授乳期間中は発情しなくなる。)なんかも全部利己的な遺伝子が自分のコピーを残すために組み込まれている行動だなんていうけど、実は遺伝子はそんな個々の種についての情報なんかほとんどなくて、一番最初にできた、生命のスープに誕生した一個の単細胞生物の遺伝子をコピーするためだけにすべての生物がいるのではないかなって最近思う。進化生物学的に言えば現存するすべての生物は一個の細胞までいきつくはずです。人間とチンパンジーのDNAの違いが数パーセントでしかなかったように、その最初の遺伝子と現在の生物の遺伝子も多くの情報を共有しているはずです。その遺伝子の情報の保存が目的とすればすべての生物が今ここにいることが説明できるんじゃないかしら、なんて畑違いなりに考えてしまうのよね。

そうそう生命のスープといえば最近商品化に成功したようですよ。(参考)塩味の他にコンソメやポタージュ、中華風味もあるようです。あったかくしていただきましょう。


posted by kbb at 06:36 | 東京 ☁ | Comment(2) | TrackBack(0) | 竹内久美子

2005年10月06日

もっとウソを!男と女と科学の悦楽-日高敏隆 竹内久美子

もっとウソを! 男と女と科学の悦楽 日高敏隆 竹内久美子

を!.jpg男と女と科学について、動物行動学の観点からおもしろく説き明かしている本です。日高敏隆さんは、「科学はその時点におけるもっともレヴェルの高いウソである」と言っています。タイトルはここから来ていて、もっとウソを!みんなを説き伏せられるような考えを!ということです。

この本には決して答えは書いてありません。考え方に対するアプローチの仕方、考え方、目の付け方が書いてあります。男の性器はなんであの形をしているのか?一夫多妻制の根源的存在意義、若い女性がダイエットをする私たちも気付いていないようなことなど、男性が震え上がり、女性が小躍りするような「発見」が二人の対談を通して見られます。

科学に対する考え方も欧米と日本の違い、がわかりやすく、面白くなければ科学じゃない!と熱く語ってくれます。人がその人の興味ある事を熱く語っているときってその人は輝いているとおもいませんか?そんな人たちの話を聞いたり読んだりするのは、どんな分野に限らず大好きです。

もう一度生物を勉強しようではなく、学んでみようと思わせてくれる一冊です。


posted by kbb at 23:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 竹内久美子

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