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2008年11月09日

魔王-伊坂幸太郎

「魔王」 伊坂幸太郎

魔王こんにちは。

さて、今日三回目の更新です。「ぺ」がつまらなかったからだとか言って「にぎやかな部屋」をアップしましたけど、そんなのただのいいわけで、ちょっとイヤなことがあったので、文章を書いて忘れていたいだけなんでしょうね。というわけで、伊坂幸太郎の「魔王」です。

最近伊坂幸太郎ブームが自分の中でおこっているようで、短い間に何冊も読んでいる気がします。絲山秋子や瀬尾まいこもそういう時があったので、これはもうどうしようもない癖なんでしょうかね。はまっちゃうとなかなか抜け出せないんですよね。女の子にも愛情を持ってはまってあげるのに、誰も私の所へおいでと言ってくれないのはなぜなんでしょうかね。

会社員の安藤と弟の潤也が主人公の物語です。といっても、二つの物語が収録されていて、それぞれの主人公がっていう感じですけどね。

兄の安藤はある日、自分に特殊な能力があることを知る。誰かを操って自分が言わせたい言葉を言わせることができることに気づいたのだ。そんな頃日本ではある政治家が頭角をあらわしてきた。不況にあえぐ日本で、私を首相にして五年後に景気がよくなっていなければ私のクビをはねればいい、とテレビで大言を吐くような男だった。そんな言葉をはく男を日本中が熱気を持って迎える。そんな状況に不安を感じた安藤はその政治家の街頭演説会に行き、彼の支持を失わせるような言葉を彼自身に言わせようとする。その街頭演説会場で安藤は脳溢血で死んでしまう。

これが一つ目の短編"魔王"の物語。二つ目の"呼吸"は安藤が死んで五年後の物語。政治家は首相になり、五年が経とうとしている。景気もよくなり、彼の意向による憲法改正が行われようとしている。世の中が大きく変わろうとしているときに、弟、潤也も自分に特殊な能力があることに気づく。それは10分の1までの確率のものなら自分は当てられるという物。じゃんけんでは負けることはないし、10頭立て以下の競馬なら負けない。その能力を使って世の中を変えようとする潤也。

これが「魔王」という一冊の物語となっています。でも正直いって伊坂幸太郎がこの物語でいいたいことがよくわからなかった。こうやって民衆の支持によって支えられている政治家の強引な変革は怖いことなのだよ、とか、ファシズムのようにみんなの意見が一つになるのって怖くない?って言いたいのかしらなんて思いつつ読みすすめていきました。今の世の中、少し前の民衆の支持をパフォーマンスで得た首相、そこらを頭に思い描きながらね。

ところが、あとがきでこういいきります。

この物語の中には、ファシズムや憲法、国民投票などがでてきますが、それらはすべてテーマではなく、そういったことに関する特定のメッセージも含んでいません。


なんだか最後に裏切られた気分です。もし本当にそうなのであれば、僕はこの作品から何も手に入れることができなかったことになるし、もしこれが自分の身を守るために書いた物なのだとしたら、最後の最後で、やっぱやーめた、と言われて全てをなしにされた小学生のときの野球を思い出してしまいます。

この物語の続編ともいうべき「モダンタイムス」という作品がでていますね。これじゃあなんだか欲求不満になりそうだから、「モダンタイムス」も読んでしまいそうな気がします。これも伊坂幸太郎の戦略なのでしょうかね。




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posted by kbb at 14:16 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎

2008年10月11日

重力ピエロ-伊坂幸太郎

「重力ピエロ」 伊坂幸太郎

重力ピエロこんばんは。

電車内の広告で電話番号にふりがながふってあるこんなのをみつけました。

読むなら サンスポ

この読むならってところの数字が「467」なんですけど、これって「読むな」っていう風にしか思えなかったんですけど、その番号を変えるところから広報活動を始めた方がいいと思うのは僕だけなんでしょうかね。

さて、伊坂幸太郎の「重力ピエロ」です。これは傑作ですね。以前「死神の精度」のコメントでtsukikoさんからおすすめされてから二年以上経ってやっと手にとってみました。おすすめしてくれてありがとう。もっと早く読んでおけばよかった。

遺伝子をモチーフに、放火と放火犯からのメッセージが主なテーマになっています。

僕と僕の弟とガンで死にかけている親父。これが主な登場人物です。遺伝子関連の仕事をしている僕と街の落書き消しが仕事の弟。親父は末期のガンで病院で生活しています。

ある日から街で放火が起こり始め、その現場を弟が予言する。その現場には共通点があった。

なんてあらすじなんですけど、これ以上書けないのが辛い。どうか読んでみてください。あっと驚く展開です。

さて、遺伝子なんですけど、GCTAの四つの文字で書かれています。三つの文字がセットとなり、どのアミノ酸をつくるかの命令となっています。それによって作られたアミノ酸によりタンパク質が合成され、人間の生命活動が行われる。

でも、その文字が一つでも狂ってしまうと全然別のものができあがってしまいます。しかも文字が一つでも狂うなんてことは結構な確率で起こっているらしく、コピーに失敗したりしただけで、全然別のものができあがります。ところがうまくできているもので、ちょっとぐらい間違っていてもそれは生物にとって大きな問題となることは多くはありません。ところが、それが大きな問題となってしまうことがまれにある。そうやって狂ってしまった遺伝子の地図で、細胞の寿命をコントロールできなくなって細胞が異常増殖するガンなんてことも起こってしまう。

人間って生まれながらに体内で言葉遊びをやっていたんですね。一文字入れ替えたりして全然別のものをつくる。うまくいけばそれが進化となるし、失敗すると生命をおびやかすことになる。でもリスクはたった一つの命。でもそこで得られるリターンはその後何世代も続くことになる、その遺伝子の子孫たち。結構ローリスクハイリターンの仕組みが出来ているんですね。

というわけでサンスポの電話番号の言葉遊びも人間本来が持っているものということで、今のままの電話番号で遊び続けることがいいのかもしれませんね。なぁに、失敗したってサンスポが一社つぶれるだけですもの。大した問題じゃないですよね。




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posted by kbb at 00:28 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎

2008年09月22日

グラスホッパー-伊坂幸太郎

「グラスホッパー」 伊坂幸太郎

グラスホッパーこんばんは。

最近日曜や祝日の夜に眠れない。連休なんかになっちゃうともう眠れないのは確実ですね。昼間寝てしまうっていうのが一番の原因だっていうのは自分でもよくわかっているんですけど、それ以上に次の日が仕事の夜は眠れないんだぞって自分に暗示をかけてしまっているのではないかと、心配です。けっしてそんなつもりはないのですけどね。

さて、伊坂幸太郎の「グラスホッパー」です。いろんなところで評判になっていた作品だし、「死神の精度」なんて原作も映画もよくできていたし、「アヒルと鴨のコインロッカー」は楽しめたので、これもイケルと勢い込んで読んだのが失敗だったかもしれない。

話は普通の人とは言えないけど、登場人物の中で一番マトモな鈴木さんと、依頼されれば一家だって殺害してしまう蝉と、ターゲットを自殺させる殺し屋の鯨の物語。

一家殺害なんていうのを聞いて思わず、まだまだ謎の多い世田谷一家殺害事件なんてのも思い出してしまったのですけど、伊坂幸太郎なりのあの事件の見解なのかなぁと思いつつ読んでいました。

鈴木さんは鈴木さんで、自分の妻をおもしろ半分に車で轢いた男への復讐のためにその男の会社に入り非合法な薬を何も知らない人に売りつけたりして、その男へ近づくチャンスをうかがっていたりして、そんなことできるやつは復讐なんて考えないんじゃないの?なんて疑問に思ったりしていました。

さらに、会えば必ず自殺したくなる鯨なんて、普通の生活がいっさいおくれなくなっちゃうんじゃない?なんてよけいな心配をしたりして、暗示でもかけているのかしら?とか手口をいろいろ考えているのだけど、少しリアリティが感じられなかった。

「アヒルと鴨のコインロッカー」もそうだったけれど、肝心なところでリアリティが感じられなくて、今まで引き込まれていた物語からスッと抜け出してしまう。それが伊坂幸太郎の残念なところ。「死神の精度」のように最初からあり得ないものがでてくればそういうスタンスで読んでいけるんですけどね。

もし鯨が暗示のエキスパートなら僕の眠れないという暗示を解いてくれないかしら。目を閉じてあと一枚壁を越えれば気持ちのよい眠りの世界に入れそうなのに、どうしてもその壁を抜けることができない。あくびも出るし、目の前には膜か霞が張ったようにぼうっとしているのに、どうしてもその先に進むことができない。とりあえず横になるしかないのかもしれないですね。ではではおやすみなさい。




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posted by kbb at 03:48 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎

2008年02月13日

アヒルと鴨のコインロッカー-伊坂幸太郎

「アヒルと鴨のコインロッカー」 伊坂幸太郎
 
アヒルと鴨のコインロッカー途中の駅で彼女が乗り込んできた。背が低くて、髪の毛にかかったウェーブが彼女のもののようにしか見えなかった。以前つきあっていて、それまでの恨みをはらすかのように振った彼女だ。それで、見事なまでに、完璧に僕は落ち込んだ。彼女はドアの方をむいて、僕の前で顔を向こうにむけてたっていた。どうしたらこの子を振り向かせて顔を確認できるか一生懸命に考えた。わざと軽くけってみるとか、奇声を発して驚かせるとか。でも、どれをやっても彼女だったとして、彼女じゃなかったとしても、ただのおかしな人にしか見られないと思ってやめた。何もできないまま、電車が銀座一丁目の駅に着いて、彼女は電車をおりていった。急いでいたのだろう、振り返ることもなく改札まで一生懸命に走っていた。腕の振り方や足の運び方など、走り方まで彼女そのものだった。ぼくはそのまま電車に乗り続け、目的の駅で降りる。

そんな風に僕の過去は僕の現在へとつながっている。いろんなものが積み重なって今の僕がある。

二年前の物語と現在の物語が交錯する、「アヒルと鴨のコインロッカー」を読んだ。大学入学のために引っ越してきたアパートの隣に住んでいる男に挨拶に行ったら、本屋を襲わないかと誘われる。そんな非日常から物語がはじまっていく。不思議や奇蹟の物語とは縁遠い存在でいたかったのに、周りがそれを許さない。

最後にすべてがうまくまとまっていく感じはとても素敵だったのに、その終着点までいくみちのりが長い長いレールを思わせる。途中の車窓からみえる風景が長すぎたらそれが素晴らしい景色だったとしても、少しぐらい寝てもいいかな、って思わされちゃうものね。でも寝てしまったら小説は先に進んでくれないので、我慢して読まないといけない。

それに琴美ちゃんという子があまりにもリアリティがなくて、それも途中で読むのが億劫になった原因の一つかもしれない。ペット殺しに夜の公園で盗み聞きしているのをばれて、なにもされずに解放されたのに、少し離れたところから、「警察にいいつけてやる」なんていう女の子はまず見つからないんじゃないかしらね。

他の登場人物がとってもリアリティがあって、物語にすんなりと引き込んでくれるのに、琴美ちゃんだけがどっかあさっての方を向かせていた。

以前読んだ「死神の精度」は結構すきだったのに、今回のはちょっと残念だな。伊坂幸太郎作品は短篇の方がいいのかもしれないな、なんて思って読み終わりました。映画で麗子さん役は誰がやったのかしらって気になっているのはおまけです。麗子さんになら右ストーレートをもらってうれしかったりするかもしれない。

そうそう、日曜日の飲み会の前に森永ミルクキャラメルを仕入れていったら、女性陣のウケが非常によかったです。男性諸君、あれは、いいぞぉ。といっても、僕のでなくミルクキャラメルのウケがよかっただけですけどね。




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posted by kbb at 04:00 | 東京 ☁ | Comment(4) | TrackBack(1) | 伊坂幸太郎

2006年06月26日

死神の精度-伊坂幸太郎

「死神の精度」 伊坂幸太郎

死神の精度こんにちは〜。えっと突然ですが、タバコをやめることにしました。自分に甘いのでまわりの友人達にはこうやって宣言しておいたのですけど、言葉だけでずるずると禁煙をはじめなかったので、ここらで本気ではじめようと思います。昨日最後の一箱を大事に吸って、結局最後の一本を吸う踏ん切りがつかないまま、残してあるのですけど、まぁこれはどうしてもって時のための保険ってことで置いておこうかと思います。いつまで続くか楽しみですけど、まぁできるだけ努力することにします。

そんな人間の努力なんて一瞬で無力にしてしまう死神が登場する伊坂幸太郎の「死神の精度」です。いろんなところで伊坂作品が好評なので、どれちょっと手に取ってみようと買ってみました。死神の千葉さんが一週間後にそのターゲットを殺しても大丈夫かどうか調査しにくるというお話が六編入っています。

音楽好きの死神達はレコード屋さんで視聴するのを楽しみ人間界に降りてきます。そして片手間に調査の仕事を片づけます。でもほんのちょっと人のいい千葉さんはちょっとだけまじめに調査対象を調べてくれます。といっても、「死」が不可になることはほとんどないのだけれど・・・。

六編それぞれがちょっとずつ絡み合って最後の最後には「おお」と声をあげてしまったほどうまくできた作品でしたよ。千葉さんのちょっと世間知らずなところが鼻につくところはあったとしてもね。

表題作"死神の精度"にはぱっとしないと自分のことを思っている女性が出てきます。彼女はストーカーに悩まされているのですけど、それが実は・・・なんてお話なんですけど、こういう素直じゃない子はかわいくないですね。まぁ最後はちゃんと素直になってうまくいくのですけど、素直に物事を捉えていないときの彼女はまったく魅力的でなかったです。

って久しぶりの更新なのになんだかなにをいいたいのかわからない記事になっちゃいました。実はあんまりこの作品を楽しんでいなかったのかもしれませんね。むしろニコチンのせいなのかしら・・・。
posted by kbb at 17:10 | 東京 🌁 | Comment(6) | TrackBack(1) | 伊坂幸太郎

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