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2009年03月15日

石川くん-枡野浩一

「石川くん」 枡野浩一

石川くんおはようございます。休日の朝早くという時間でもないですけど、どうしてこんな時間に起きているかというと、TOEICを受けてきます。少しばかり英語が得意なので、履歴書にウリを一つでも多くつけようかと思って。そんなこけおどしが効くのかどうかわかりませんけどね。

さて、妻に話せないようなことをローマ字で日記に記していて、さらに現代ではそれが出版されてしまっている石川啄木の短歌を枡野浩一が現代語化してなおかつ、解説まで付けちゃったという豪華な作品です。

石川啄木。国語の教科書には彼の写真とともに必ず載っている人ですね。そんな偉い人をどうして石川くんなんて呼んでいるのか。それは彼の歌が必ずしも偉そうに思えないこと。彼の歌と彼の生き方がリンクしていないこと。そして石川くんは20代で亡くなっていて、枡野浩一の方が年上だから。そんな理由のようです。

はたらけど
はたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざり
ぢつと手を見る

それを枡野浩一はこうやって現代語化しています。
がんばっているんだけどな
いつまでもこんな調子だ
じっと手を見る

こんな感じで現代語化されています。
この歌は有名な歌ですが、枡野浩一によると実は石川くんは全然働いていなかったとのこと。働き者というよりも怠け者の部類に入るようですよ。友人に金を無心して、娼婦通いなんかをして散財していたようですね。

他に石川くんの歌をいくつか。

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ

打明けて語りて
何か損をせしごとく思ひて
友とわかれぬ

一度でも我に頭を下げさせし
人みな死ねと
いのりてしこと


なんかどれも共感できるのは僕も怠け者だからなのでしょうかね。でもこんな歌も残しています。これにも共感してしまうのはやっぱり怠け者の共通項なのでしょうかね。では試験がんばってきますね。

こころよく
我にはたらく仕事あれ
それを仕遂げて死なむと思う





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2008年12月10日

君の鳥は歌を歌える-枡野浩一

「君の鳥は歌を歌える」 枡野浩一

君の鳥は歌を歌えるこんばんは。

韓国語の勉強を始めたと以前書きましたけど、とりあえず初学者向けの本を読みはじめました。日本語の50音に対応させたハングルの表なんかも見つけて自分の名前を書いて喜んでいます。英語を最初に勉強したときもそうやって喜んでいたなぁ、なんて遠い昔のことのように思い出してしまいました。しかし、外国語って使う機会がなかなかないからすぐに飽きちゃうんですよね。って思っていたらよく行く飲み屋に韓国人のアルバイトさんがはいったことをこの間行って知りました。これで韓国語を使う機会もできて、韓国語を勉強し続けるモチベーションが得られてうれしいかぎりです。昨日もそのお店にいき、あいも変わらず「こんばんは」と「ありがとう」だけ韓国語でいい、酔っぱらった帰り際に「ごちそうさま」ってなんていうんだっけ?と前回とまったく進歩していませんでした。これじゃあ覚える気がないと思われちゃいますよね。次行くまでにもう一つぐらい気の利いた言葉を覚えていくことにします。

さて、枡野浩一「君の鳥は歌を歌える」です。小説や映画、舞台、はたまた川柳や短歌まで様々なものを枡野浩一による短歌に仕立て直してしまおうという実験的作品です。「鳩よ!」という雑誌で連載されていたそうです。

さてタイトルの「君の鳥は歌を歌える」ですが、ビートルズの「And your bird can sing」という曲から取ってきたようです。ネットで検索して聞いてみたのですけど、短くて悲しくて希望にあふれた歌ですね。ついつい考えさせられてしまいます。自分は
You tell me that you've got everything you want.
と言ってるyouの方なのか
But you don't get me, you don't get me.
と言ってあげている方なのか。そして
I'll be round.
と言ってあげることができるのか。

そんなやつ放っておけよって言いそうな気がしてしまうのが悲しいです。

これをタイトルにしているように枡野浩一もこの実験作が失敗だったと認めているのでしょうかね。短歌化されたほとんどがそのままのセリフであったり、ただのあらすじであったり。わざわざ短歌にする必要なかったんじゃない?って言えちゃうようなものばかりになっています。

しかし、それぞれの短歌を作る過程、それぞれの作品に関する枡野浩一の考え方。そういったことが短いエッセイで語られていて、それを読むだけの価値があります。自分の才能に酔っているような枡野浩一の文章の合間にでてくる一瞬の自信のなさ、創作過程での四苦八苦。そういったものが見えてくるなかなかおもしろい作品になっていました。

オオキトモユキという音楽家のエッセイ&コミック集「ひとりあそび」という作品にでてくる言葉「ホントの国際人は通訳にしゃべらす」に対する枡野浩一の短歌

ホントーの国際人は
通訳にしゃべらす
(NOVAになんかいかない)

というのがありました。(ほんとそのまんまでしょ?もちろんこんなのばっかりじゃないですけどね。)でもこれが本当なら国際人とはなんてつまらない人種なんでしょうかね。自分の言葉で相手に自分の気持ちを伝えたい、そうやって初めて交流が生まれると思います。国際交流なんていったって、所詮は人と人。身振り手振りだってなんとか通じてしまうものです。でもその上で相手の言っていることを理解し、自分が考えていることを自分の言葉で理解させたい。だからこそ外国語を学びたいのです。通訳を介した会話なんてのは所詮ビジネスにしかならないんでしょうね。

なんだか韓国語をもっと勉強したくなってきました。決めました。次回飲み屋に行く前に一つと言わず二つぐらい気の利いた言葉を覚えてからアルバイトの韓国人と会話しよう。30の手習いですががんばります。




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posted by kbb at 23:05 | 東京 ☁ | Comment(1) | TrackBack(0) | 枡野浩一

2008年11月05日

結婚失格-枡野浩一

「結婚失格」 枡野浩一

結婚失格こんばんは。

このあいだよく行くお店に飲みに行ったら、もうかれこれ5-6年ぐらい前から知っているそこの店長さんが結婚することを知りました。そして結婚式にお呼ばれしてきました。ついこの間生涯初めての結婚式を経験してきたのに、もう二度目ですよ。こうやって人はご祝儀貧乏になっていくんでしょうね。にしても、前回は大学の友人が一緒だったんですけど、今回は知り合いがいないので、どんなテーブルに座ることになるんでしょうか。それだけで緊張して普段よりも酔っぱらってしまいそうな気がします。

さて、そんな話題からこのタイトルの本にいくのは不謹慎ですかね。最近好きな歌人、作家さん、枡野浩一の「結婚失格」です。この本、おもしろいことに各章で書評をしているんですよ。しかも、そのお話というのが枡野浩一自身が経験したであろう、結婚と離婚のお話。といっても、エッセイではなく、それがちゃんと小説となっています。書評小説。なかなかみない試みですよね。それがうまく機能しているのがうれしくなっちゃいますね。

人気AV監督の速見と人気脚本家、香の離婚へ至る過程、そして調停、息子を取り戻そうと速見が奮闘するその様、それらが描かれています。

その物語の合間、合間に速見の言葉で松尾スズキや内田春菊、銀色夏生、松久淳などなど、知っている作家さんもいれば、マイナーな作家さんも含めていろんな作品の書評が載っています。

結論から言えば、速見と香の調停から、息子を巡る二人の戦いは実際に枡野浩一が経験したことらしいです。

あとがき、といか解説のようなものとして枡野浩一、穂村弘、長嶋有の対談が載っていて、結構豪華な顔ぶれなんですけど、ここでも枡野浩一は離婚した元妻に対する愚痴というか、攻撃的な言葉をこれでもか、これでもかってぐらい載せています。ここまで公表してしまったら彼女に対して逆効果なんじゃないかと思うのだけど、やはりそこは言葉を生業にしているだけあって、いくらでも言いたいことが言葉となって彼の中からわき上がってくるようです。

確かにこの小説を読むと、どうしても彼女の方が悪くて、枡野浩一の味方をしてあげたくなるんですけどね。でも結局男女の仲っていうのはどちらか片方だけが悪いっていうことはないだろうから、彼女側の言葉も聞いてみたいですけどね。

この本を不謹慎としないためにも、ここから何かを学び取らないといけないですね。まぁ犬も食わないのが夫婦げんかですから、つまらないことはやめろ、と言ってくることにしますかね。ってこれは宮沢賢治の言葉でしたね。こんな風に他人の言葉しかつかえない僕は決して歌人や詩人にはなれないのでしょうね。




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2008年05月20日

ますの。 枡野浩一短歌集-枡野浩一

「ますの。 枡野浩一短歌集」 枡野浩一

ますの。枡野浩一短歌集
一時間 並んで食べる ラーメンを 口に入れると 広がる寂しさ

こんばんは。随分と不格好な短歌になっちゃいました。
ラーメン屋に一時間並びながら考えて、15分後にニンニク臭い息を吐きながら完成させてみました。

枡野浩一の作品を読むと、なんとか自分でも詠んでみたくなっちゃいます。そんな枡野浩一短歌集です。タイトルが「ますの。」だなんて、なんか潔いですね。むしろビックリマークをつけたくなっちゃいますね。「ますの!!!!」ってね。

開くとビックリするんですけど、フォントがとっても大きくて、文字が力強い。そんな文字で

話し手を まぬけに見せる 手法1 「ボク」や「アタシ」はカタカナで書け


なんて言われると、そうなんだよなぁ、って強く頷かされてしまいますね。

人をよく見ているなぁって思う歌がいっぱいあってそれをたった33文字の歌にするのはすごいですよね。人が一人電車の中で座っていても、たった33文字には表せそうにないですもの。きっと人を見てどこかにフォーカスしてさらにフォーカスしてやっとつくれるのが歌なんでしょうね。

最後に気に入った歌をいくつか。

悪口は裏返された愛だけど愛そのものじゃないと思った

この夢をあきらめるのに必要な「あと一年」を過ごし始める

塩酸をうすめたものが希塩酸ならば希望はうすめた望み

イヤホンは耳をふさいで考えが生まれることを防ぐ避妊具






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2008年04月08日

ハッピーロンリーウォーリーソング-枡野浩一

「ハッピーロンリーウォーリーソング」 枡野浩一

お花見の
確認メール
送ったら
桜もないのに
なぜやるのと返事
(字余り)

今日の悲しい出来事を短歌にしてみました。

「ショートソング」の枡野浩一の短歌集「ハッピーロンリーウォーリーソング」を読んだ直後だったので、短歌という形で思いつくことになったなんて、なんて僕は流されやすい男なんでしょうかね。字余りでなんともみっともないものになってしまいましたけどね。

吉祥寺を舞台に短歌をめぐる男と女を描いた「ショートソング」でしたが、さすがに短歌を詠む人だなぁなんて思わされますね。言葉を常に真摯に受け止めて、どの言葉を捨てて、どの言葉を選び取るか、それがすっごくよく見えてきます。好きな短歌をいくつかここで。

こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう

殺したいやつがいるのでしばらくは目標のある人生である

年齢を四捨五入で繰り上げて憂えるような馬鹿を死刑に


和歌って季語は必要ないんですね。むしろリズム感があればいい。それこそ「歌」なんでしょうね。

短歌とともに写真が載っているのですが、またそれが現代日本というか、不思議な国、日本を描いていて二倍楽しめる文庫になっていました。

葉桜としてだって桜は生きていくんだ!とここは強く言って終わろうと思います。
葉桜見物会でなんかいい歌ができるといいなぁ。




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posted by kbb at 22:13 | 東京 ☔ | Comment(2) | TrackBack(0) | 枡野浩一

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