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2009年03月07日

真昼の花-角田光代

「真昼の花」 角田光代

真昼の花こんばんは。やっと転職活動が一段落しました。っていっても応募していた企業ほとんどから残念ですがって連絡がきただけなんですけどね。あと一社だけ連絡が来ていないところがあるので、それに賭けてみようかしらなんて思っています。人に審査されるのに疲れちゃってもう仕事なんかしないで全てを投げ捨てて海外に高飛びしたいなんて思うんですけど、それもできないのが辛いところです。

さて、角田光代「真昼の花」です。
表題作と"地上八階の海"が収録されています。

表題作ですが、バックパックをしょってアジア各国を放浪している兄のあと追うように同じように日本を飛び出したフリーターの女の子が主人公です。
ある島にいったら闇両替に騙されて手持ちの現金をほとんど奪われてしまう。日本企業の前で物乞いをするようにまでなる私。帰る気もなく、進む気もない。移動と言う名のモラトリアムがいつまでも終わらない。

そんなお話です。その国で出会った男と安宿をシェアしたり、日本企業が開発を中止したビルの中に大勢の現地の人とともにすむ日本人と出会い彼女はいろんなことを考える。しかし彼女を変えるものはなにもない。

移動を目的にしている彼女とそこに住むことを目的にしている日本人との間の会話が興味深かった。会話というか、彼女の言葉というよりも、彼の言葉にガツンとやられたのですけどね。

帰らないというよりも、モラトリアムも伸ばしすぎて現実へ帰れないだけなんじゃないかな。(中略)どんなに長くいたって旅は旅だ、生活じゃない。生活じゃない部分で生活の真似事ができるから魅力的なわけでしょう。(中略)人が本当に何かを得たり、見たり、あるいはわかったりするのは、生活に密着した場所でしょう


高校の頃に沢木耕太郎の「深夜特急」を読んで旅にあこがれて、ヨーロッパにシベリア鉄道で入って一周してなんて計画して、それのためにいくら必要だからといってアルバイトをはじめて、おかげで高校を辞める羽目になって社会のレールからすっぱりと置いて行かれた僕ですけど、未だにどっかいきたいなんて思っていたんだなぁって思い知らされました。

さっさと仕事を見つけて大きな顔をしてみんなと飲む酒がおいしくなるようにしないといけませんね。なにもかも投げ捨ててどっかにいくのは、いつでもできることですものね。




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2008年11月09日

だれかのいとしいひと-角田光代

「だれかのいとしいひと」 角田光代

だれかのいとしいひとこんにちは。

4冊目の更新ですね。ここまでくるとおまえ、何冊ストックしてあるんだよ!?って感じですよね。フフフ。まだまだあるんですよ、実は(笑)。更新していないときでも、通勤時間中に一日一冊ぐらい読んでしまうんですもの。先月全然更新していなかったので、そのときのがたまっているんです。お恥ずかしい話ですけどね。

さて、角田光代「だれかのいとしいひと」です。

転校生じゃないという理由でふられた女の子。元彼のアパートから大切なポスターを盗んでこようとするフリーライター。親友との仲を深めようとするあまり、なにもかも共有したくて、親友の恋人と寝る癖がある女の子。誕生日休暇を静かに過ごすつもりが一人ハワイで過ごすことになってしまった女の子。弟が事故を起こし、それの賠償金を払う羽目になり、さらに恋人にも借金をした弟が行方不明となり、恋人から盗人呼ばわりされて捨てられる女の子。

そんな変な女の子たちがいっぱいでてくる作品集です。9つの短編が収められています。

どこか変だけど、どこかしら共鳴してしまう女の子たち。僕は男だけれど、それでも彼女たちの少しずつが理解できてしまう。それはきっと、彼女たちの物語が、普段の生活をしているのに、ちょっとした横道に入ってしまっていつまでも元の道に戻れなくなってしまったようなものだからだろうか。

"誕生日休暇"でその日も休みなんてもらわずに仕事をしているつもりだったのに、まわりの誰も彼もが親切心からチケットやホテルの手配までしてくれる女の子が登場するのだけれど、僕の会社にはそんな制度がないからこれだけはうらやましかったなぁ。そんな休暇があれば、一ヶ月とか二ヶ月らいヨーロッパあたりに行きたいと常々思っているのだけれど、仕事を辞めなければ無理なんでしょうね。でも、そうやって休みもとらずに自分の経験を増やすために海外にでるような時間もとれないような会社員がなにを生産したところでそれってたかがしれているものにしかならない気がするんですよね。ってただ旅行に行きたいだけなんですけどね。って行くんですけどね、20日から韓国に行くんですけどね(笑)。

といっても、韓国に住む友人が手配してくれるというホテルの予約がすんでいないので、それだけが気がかりなんですけどね。航空券をとったよー、と伝えてから連絡が途絶えているのですけど、大丈夫なのでしょうかね。どなたか、韓国に詳しいかたいらっしゃったらここがおもしろかったよーっていうコメントをおねがいしまーす。




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2008年08月10日

All Small Things-角田光代

「All Small Things」 角田光代

All Small Thingsこんばんは。

今までで一番印象に残っているデート。それは、晴海埠頭をみたあとにお台場にまわってベイブリッジに回るような計画的なものでも、東京タワーや六本木、国会議事堂を回るような東京観光的なデートでもない。

学校帰りの彼女を車に乗せて、おなか空いたねぇと言いつつ車の向くまま浅草へ向かい、天丼を食べる。帰りに桜の咲き残った隅田川沿いを歩いて手をつないでもう今では何を話したかも思い出せないようなことを話しながら、門限のある彼女を家まで送りに行く。でも印象に残っているデートを書こうと思って最初に思い出したのがこの出来事。特になにも始まることもなく、終わることもなかった、ただの途中のデート。

そんな普通のデートが人にとって一番大切な思い出になり得ることがよく描かれているのが角田光代の「All Small Things」。

今までで一番印象に残っているデートってどんなの?

そんなところから物語が始まる。登場人物がそれに答えた上で、次の人に別の質問を投げかけていく。

もっともデートとはいえないようなデートってどんなの?
結婚していちばんよかったことってなあに?
自分が自分でなくなったような恋をしたことはある?

短いお話の中でこれらに答えていく、登場人物がでてくる。そして、

恋人と過ごしたどんな時間が心に残っている?

という質問に百人の読者が答える。

それの答えがおよそ、小説らしくない、普通の物語。でも、それぞれの胸にちゃんとそれが残っているのがわかる。

誰にでもちゃんとあるこういう思い出。そのうちの一つを角田光代が小説化してこの作品は終わる。

こういう企画本って大しておもしろくなかったりするんですけど、角田光代が前面にでているせいで、企画本ってイメージも強くなく、こういうのっていいよねぇ、って思える作品に仕上がっています。

昔のことを思い出すのをそろそろやめて、新しい思い出を作りたい、なんて思いつつ長い時間が経ってしまっています。時の経つのは早いものでなんて、当たり前のことを今更いいたくはないけど、どっかで印象に残るデートをしないと、残りの長い人生で思い出せる記憶もそろそろ少なくなりつつあり、飽きてきています。焦りますなぁ。




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2008年07月02日

菊葉荘の幽霊たち-角田光代

「菊葉荘の幽霊たち」 角田光代

菊葉荘の幽霊たちおはようございます。満員電車に乗っていて不思議に思うことがあります。これだけ肌をくっつけあっているのに誰も彼もがお互いを知らない。目を合わせることもない。むしろ迷惑に思っているのが普通でしょう。みんないらいらしているのを見ていると、もう少し仲良くすればいいのになんて思ってしまう。でも毎日毎日やっぱり同じように満員電車に乗ってぎゅうぎゅうと押し合わないといけない。まぁ同じ境遇で同じ目的地(電車の終点)へ向かっているっていうことで同志のようなものなのだからこそ、我慢できるのかもしれないですけどね。

久しぶりの角田光代です。「菊葉荘の幽霊たち」。ハルキ文庫の作品でおもしろかったのは初めてかも。

あらすじといえば、ある日友人が部屋探しをすることになったわたし。最初に少しでも不満のあるところに住むと必ず悪いことがある、例えば、突然大家に出て行けと言われたり、と友人吉元は言う。そんなわけで、街の隅々まで歩いて部屋を探しにいくのだけれど、よさそうなところは全部埋まっている。そんな時吉元は言い出す。よさそうなところは全部埋まっている。それなら住んでいる人を追い出せばいいんだ、と。そしてある日見つけた菊葉荘。そこから二人の住民追い出し作戦がはじまる。わたしは住民の一人、大学生の蓼科友典に近づく。

まず、菊葉荘がそんなにいいところだと思えなかった。なんかじめじめとしていて、立て付けが悪くて、夏は暑くて冬は寒い。路地の奥にあって吹き溜まりのようなイメージ。

「わたし」は吉元のために菊葉荘の住人、蓼科に近づくのだけれどその日には酔ったあげくに性交する。フロントホックのブラジャーをはずし、何かの競技のように胸を揉み始める蓼科。そんな蓼科を出ていくように説得しながら覚めた目で観察している「わたし」。

何回か性交したことのあるぐらいの友人、吉元のために蓼科なんかと性交してしまうことなんかあるのかしら。もし、「わたし」が吉元に恋愛感情があるとしたら、なおさらそんなことしないのじゃないかしらって思うのだけれど、どうなんでしょうかね。それとも恋愛感情があるからこそ、そこまでやっちゃうのかしらね。

朝から性交性交って普段使わない言葉を言っているけど、これは筆者の言葉なので勘弁してくださいね。

そんな風にいくつか疑問点を持ちつつも楽しめたのは角田光代の文章力、物語構成力の高さによるものなのでしょうね。澱みのない文章でどこまでも止まることのない物語が続いていきます。

もしくは筆者がどこまでも楽しみながら書いたと感じられるからなのかもしれないですね。角田光代の趣味というか、好みのようなものがいくつもでてきて、ウエスト部分にばかでかいリボンのついたワンピースがでてくるのだけれど、僕好みのかわいらしい服を少女趣味と断じてみたりと好きなことを言っています。今朝もかわいらしいワンピースを見ることだけが楽しみで満員電車に乗ろうと思っているのに。

角田光代と僕の趣味はあわないのかぁ、残念だなぁ、と思いつつもこの文章力が捨て置け無いなぁと思っています。




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posted by kbb at 06:53 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 角田光代

2006年02月28日

ピンク・バス-角田光代

「ピンク・バス」 角田光代

ピンク・バス.jpgおはようございます。最近ダーツがマイブームになりつつありまして、二日連続でダーツ大会を開催しております。初日は思いっきり酔っぱらっていたのに、昨日はちょっとムキになりましてアルコールを抜いて挑戦してみました。なかなか上達しないけれど、まだまだこれからだぞってことで練習の真っ最中です。今、この時間は二日遅れでやってくるであろう筋肉痛との戦いの真っ最中です。

さてさて、ダーツなんかに夢中になっているので本を読む時間がなかなかとれなくなっていますけど、昨日は角田光代の「ピンク・バス」を読みました。"ピンク・バス"と"昨夜はたくさん夢を見た"の中編二つが収録されています。

"ピンク・バス"は妊婦サエコのお話。妊娠して喜んでいるサエコのところにある日旦那の姉の実夏子がやってきて、居候していく。実夏子はピンク・バスがお迎えに来るまでいさせてくれという。

"昨夜はたくさん夢を見た"は中古レコード屋さんでアルバイトをしながらふらふらしているカオルの物語。カオルは大学受験のために友人に家庭教師をお願いしたにもかかわらず、それに飽きちゃってスキー旅行に勝手に行って、スキーもせずに一日中かまくらをつくっているような女の子。ある日恋人でもあり、仲間の一人でもあるイタガキが青森から帰ってくると今までと変わっていた。そしてインドに旅立ってしまった。

裏表紙風にあらすじをまとめてみましたけど、ぜんぜんおもしろくなさそうですね。これじゃコピーライターや編集者にはなれそうにないですね。というより、あんまり何をいいたかったのか理解できなかったってのが本音なんですけどね。

このブログを見ている友人にも最近おもしろそうな本読んでないねって言われちゃったしね。絶対この人の本は面白いってのはあるんだけど、新規開拓しようとしている今は自分に合わない本に出会うのはしょうがないかな、なんて今は自分を慰めています。

でも一つだけ、よくテレビでみる世界の天気なんてコーナーについての記述があって、こんなもん誰が必要とするのかしらなんてカオルは思っていたのだけれど、イタガキがインドに旅立ってからそればっかり気になってしまい、彼の現在の生活を想像するのに具体性を持たせるのに役立っているなんて描写があります。僕の友人は現在何人か海外に留学していたり遊びに行ってたりするのですけど、世界の天気を見るたびにそんな彼らの彼女らのいる場所に思いをはせていたので、共感できるところでした。

この本の解説を石川忠司という文芸評論家が書いているのですけど、"角田光代の'疲労感'について"というタイトルでこれがなかなかどうして、いわゆるセンター試験の評論文のような堅い感じの文章で、それでいて、学術論文とも体裁が違って、要するにあんたなにがいいたいのさってつっこみをいれたくなるような文章でした。こんな文章久しぶりに見たななんて、ちょっと嬉しくなってしまいました。

角田光代の本は前に「まどろむ夜のUFO」を読んだだけだけど、"昨夜はたくさん夢を見た"が一番好きな作品かななんて思っています。




posted by kbb at 11:18 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | 角田光代

2006年01月07日

まどろむ夜のUFO-角田光代

「まどろむ夜のUFO」 角田光代

まどろむ夜のUFO40代後半旦那有り、子供無しの仕事ばりばりのキャリアウーマンが少子化問題について話しているのを聞いて空しくなってしまったkbbです。こんにちは。

今日の本は角田光代の「まどろむ夜のUFO」です。中編2本と短編1本の作品集。彼女の文章との最初の出会いは毎日新聞に書いてあった「読書日記」というコラムだった。読んだ本を紹介するって主旨のものだけれど、その文章がすっごく読みやすくて表現もおもしろかったので、読んでみようと思い立ったのが3年前ぐらい。その記事は切り抜いてずっと机の前のコルクボードに貼ってあってもうすっかりタバコのせいで色も褪せている。しかし、ずっとその記事が貼ってあるにもかかわらず、最近話題になっている角田光代とまったく結びつかなかった。で、たまたま本屋に行ってたらおいてあった文庫本を買って読んでいてふと目をあげてその記事が目に付き思い出した次第です。

なんだか描こうとしているのは現実感のない川上弘美的世界なのかなって思ってしまった。でもどっちが先だかは知らないけど(デビューは角田光代の方が先みたい。ということは川上弘美の描く角田光代的世界といったほうがいいのかしら)。同じ世界なのかなと思いつつもその入り口である文章のスタイルが全然違うから文章が全然頭にはいってこない。薄い文庫本なのに読むのに3日もかかってしまいました。これは現在の自分の調子の問題であるのかもしれないけれど。なんだかこの小説を読んでいたら自分の常識というかよって立つところというか自分の立場がぐらぐら揺れはじめてしまって、自分はこんなところで何をやっているんだろうって思ってしまって、そんな時に冒頭のことがあったわけです。だからその人が何を言うのも自由だし、批判するつもりもないのだけれど、この人は何をいってるのだろうって思ってしまって空しさしか感じなかったのでした。

とにかく作品中に非現実的というか非常識というか常識ではわりきれない人たちが多くて、うまくその世界を想像できなかった。最後の短編"ギャングの夜"はおもしろいと思ったのだけれど、その前の2編で消耗しきっていたのでそこまで新鮮な喜びを感じられなかったのが残念。自分が回復したときにでも別の短編集を読んでみようと思う。てかこの人他に短編集だしているのかしら。探さないと。というわけで彼女への評価はひとまず保留です。


posted by kbb at 10:21 | Comment(4) | TrackBack(1) | 角田光代

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